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第49話 今だけ限定です
「チャプチャプ♪」
僕は大きな桶を借りてラリーをシャンプーしていた。実は、アワアワ粉(僕はそう呼んでいる)を袋に入れて持ち歩いている。いつ何時、チェト達をシャンプーする事になってもいいように。役に立ってる!
「しかしお前は、なぜそんな物を持ち歩いているんだ」
「え? こうやって洗う為?」
「冒険中にする事じゃないだろう!」
「え~。チェトが真っ黒になるかもしれないじゃないか! 前に血だらけになったからさ」
そう答えたらユイジュさんが、いつも通りため息をついた。
「血、血だらけ!?」
僕達の会話を聞いていたアルリアちゃんが驚いている。
「あのね、モンスターの血で汚れたの」
「そうなんだ。ビックリしたぁ。あ、この子達も一緒に冒険しているの?」
大人しく順番待ちをしているチェト達に振り返って聞いた。
「うん。二人共賢いんだ」
「賢いんだって……」
後ろで何故かユイジュさんが復唱している。
「へえ」
「あ、大人しくしようね」
ラリーが逃げようとしたからそう言うと、ピタッと動きを止めた。
「この子も偉いね」
「うーん。私以外に懐くなんて。お姉ちゃんって調教師?」
「調教師?」
「うん。動物やモンスターを躾る人だって」
「へえ」
「へえって。お前より下の子が知っているのになぜ知らない」
「え! だって、初めて聞いたし」
『ロマド、まだか?』
「もう急かさないの。はい。じゃばー」
ラリーにぬるま湯を掛けて、泡を落とす。
「じゃ、拭いて水気をとってももらっていい?」
「うん!」
「じゃ、チェトおいで~」
『やっと、われの番だ』
毛を濡らすと、チェトは一回り小さくなる。
「ふんふんふふん♪」
「お前、冒険者よりこっちの仕事の方が向いているんじゃないか? まあそんな仕事はないがな」
とさっきからユイジュさんが見ているだけなのに煩い。
「もう、後ろで見ているだけなら手伝ってよ」
「は? なぜ俺が……」
「あらぁ。ワンちゃん綺麗にしてもらってるの?」
どこぞのおばさんだ。
「あ、こんにちは! うん。シャンプーしてブラッシングしてます」
「まあ。この黒い子、凄く綺麗だけどシャンプーをするのかしら?」
「あ、ラリーをするって事になったらしてほしいって言うから」
「こ、この子もなんていいかしら」
「うん。順番で……」
「まて! そんな事をしていたら終わらないぞ!」
「そう思うなら手伝って! ラリーを乾かしてほしい」
「……どうやって?」
「うーん。そっか。ここには装置がないんだ。温かい風とか出せない?」
「俺は魔法を使えない!」
「あははは。じゃ、水気をしっかりととるすかないな。ほれユイジュ」
「ダダルさん、面白がっているでしょう?」
ダダルさんがタオルを持って来てユイジュさんに渡した。ダダルさんは協力的だ。
「いやぁ。暇だからさ。ほれ、拭いてやろう」
とダダルさんがラリーに手を伸ばすと、慌ててラリーはアルリアちゃんの腕の中に飛び込んだ。
「なぜそんなに怖がる……」
「ご、ごめんなさい。この子、本当は怖がりで。私以外はいつもこうなんです」
アルリアちゃんがそう言うと、ダダルさん達が僕を見た。
「お前、凄いな」
ダダルさんに褒められちゃった。
それから数時間、僕達はシャンプーとブラッシングに勤しんだ。
□
「うーん。腰が痛い」
立ち上がり腰を反らす。チラッと並んでいる人たちを見た。その人達は、犬を抱っこしている。
あと三人か。
一時期十人程並んでいた。整列してもらっていたら『整列』のスキルを覚えた。
「お前、冒険者なのに一銭にもならない事ばかりやっていたら暮らしていけないぞ」
ごしごしと犬を拭きながらユイジュさんが言った。どうもダダルさんだと犬が怖がるから結局渋々、ユイジュさんが拭く係りをしてくている。
「え? これ、お金とる行為じゃないよね?」
「いや、これだけやるなら取れるだろう? 石鹸代はどうするんだ!」
「……何か仕事して買います」
「そういう事じゃなくてだな」
「はいはい。ブラッシングするよ~」
「はぁ。俺が言ってるのは、趣味の範疇を超えているだろうって事だ」
何かユイジュさんがブツブツ言っている。
「ふんふんふふん♪」
「聞けよ、おい!」
「もう。楽しくやっているんだからいいじゃないか。ねえ」
犬は、気持ちよさそうだ。
腕と腰が痛いけど楽しいし。
そして、並んでいた犬達のブラッシングを終え僕達は、見回りに出掛けた。
「もう夕方じゃないか!」
「夕焼けが綺麗だね」
『そうだな。帰ったら遊ぶ時間はなさそうだがな』
「うーん。じゃ部屋で遊ぼう」
「本当に、お前はお気楽だな! もう手伝わないからな!」
とユイジュさんが叫んでいた。
まあ今日は帰りが夜になっちゃったけどね。
冒険者商会に戻るといつも開いているドアが閉まっていて、張り紙がしてあった。
「動物のシャンプーとブラッシングは、今後受け付けません? どういう事?」
「さあ、な」
ユイジュさんが腰を擦りながら答えた。ダダルさんに聞くしかないね。
「ただいま。ダダルさん、あの張り紙は?」
「お帰り。あぁ、どうやら冒険者の街に依頼が来たらしくてな。こっちに問い合わせが来て、ただでシャンプーとブラッシングをしていたのがバレた」
「え? タダでやっちゃいけなかったの?」
「うん? ダメではないが、冒険者の俺達が建物の前でやっていたから冒険者の仕事として捉えられたみたいだが、タダでやってしまったので次からお金を取るとかが出来ないから断れと言われてな。すまないな」
「え~~」
「助かった……」
ユイジュさんが、ふらふらとイスに座って行った。
「まあ、チェト達だけにしておけって事だな」
結構楽しかったのになぁ。
僕は大きな桶を借りてラリーをシャンプーしていた。実は、アワアワ粉(僕はそう呼んでいる)を袋に入れて持ち歩いている。いつ何時、チェト達をシャンプーする事になってもいいように。役に立ってる!
「しかしお前は、なぜそんな物を持ち歩いているんだ」
「え? こうやって洗う為?」
「冒険中にする事じゃないだろう!」
「え~。チェトが真っ黒になるかもしれないじゃないか! 前に血だらけになったからさ」
そう答えたらユイジュさんが、いつも通りため息をついた。
「血、血だらけ!?」
僕達の会話を聞いていたアルリアちゃんが驚いている。
「あのね、モンスターの血で汚れたの」
「そうなんだ。ビックリしたぁ。あ、この子達も一緒に冒険しているの?」
大人しく順番待ちをしているチェト達に振り返って聞いた。
「うん。二人共賢いんだ」
「賢いんだって……」
後ろで何故かユイジュさんが復唱している。
「へえ」
「あ、大人しくしようね」
ラリーが逃げようとしたからそう言うと、ピタッと動きを止めた。
「この子も偉いね」
「うーん。私以外に懐くなんて。お姉ちゃんって調教師?」
「調教師?」
「うん。動物やモンスターを躾る人だって」
「へえ」
「へえって。お前より下の子が知っているのになぜ知らない」
「え! だって、初めて聞いたし」
『ロマド、まだか?』
「もう急かさないの。はい。じゃばー」
ラリーにぬるま湯を掛けて、泡を落とす。
「じゃ、拭いて水気をとってももらっていい?」
「うん!」
「じゃ、チェトおいで~」
『やっと、われの番だ』
毛を濡らすと、チェトは一回り小さくなる。
「ふんふんふふん♪」
「お前、冒険者よりこっちの仕事の方が向いているんじゃないか? まあそんな仕事はないがな」
とさっきからユイジュさんが見ているだけなのに煩い。
「もう、後ろで見ているだけなら手伝ってよ」
「は? なぜ俺が……」
「あらぁ。ワンちゃん綺麗にしてもらってるの?」
どこぞのおばさんだ。
「あ、こんにちは! うん。シャンプーしてブラッシングしてます」
「まあ。この黒い子、凄く綺麗だけどシャンプーをするのかしら?」
「あ、ラリーをするって事になったらしてほしいって言うから」
「こ、この子もなんていいかしら」
「うん。順番で……」
「まて! そんな事をしていたら終わらないぞ!」
「そう思うなら手伝って! ラリーを乾かしてほしい」
「……どうやって?」
「うーん。そっか。ここには装置がないんだ。温かい風とか出せない?」
「俺は魔法を使えない!」
「あははは。じゃ、水気をしっかりととるすかないな。ほれユイジュ」
「ダダルさん、面白がっているでしょう?」
ダダルさんがタオルを持って来てユイジュさんに渡した。ダダルさんは協力的だ。
「いやぁ。暇だからさ。ほれ、拭いてやろう」
とダダルさんがラリーに手を伸ばすと、慌ててラリーはアルリアちゃんの腕の中に飛び込んだ。
「なぜそんなに怖がる……」
「ご、ごめんなさい。この子、本当は怖がりで。私以外はいつもこうなんです」
アルリアちゃんがそう言うと、ダダルさん達が僕を見た。
「お前、凄いな」
ダダルさんに褒められちゃった。
それから数時間、僕達はシャンプーとブラッシングに勤しんだ。
□
「うーん。腰が痛い」
立ち上がり腰を反らす。チラッと並んでいる人たちを見た。その人達は、犬を抱っこしている。
あと三人か。
一時期十人程並んでいた。整列してもらっていたら『整列』のスキルを覚えた。
「お前、冒険者なのに一銭にもならない事ばかりやっていたら暮らしていけないぞ」
ごしごしと犬を拭きながらユイジュさんが言った。どうもダダルさんだと犬が怖がるから結局渋々、ユイジュさんが拭く係りをしてくている。
「え? これ、お金とる行為じゃないよね?」
「いや、これだけやるなら取れるだろう? 石鹸代はどうするんだ!」
「……何か仕事して買います」
「そういう事じゃなくてだな」
「はいはい。ブラッシングするよ~」
「はぁ。俺が言ってるのは、趣味の範疇を超えているだろうって事だ」
何かユイジュさんがブツブツ言っている。
「ふんふんふふん♪」
「聞けよ、おい!」
「もう。楽しくやっているんだからいいじゃないか。ねえ」
犬は、気持ちよさそうだ。
腕と腰が痛いけど楽しいし。
そして、並んでいた犬達のブラッシングを終え僕達は、見回りに出掛けた。
「もう夕方じゃないか!」
「夕焼けが綺麗だね」
『そうだな。帰ったら遊ぶ時間はなさそうだがな』
「うーん。じゃ部屋で遊ぼう」
「本当に、お前はお気楽だな! もう手伝わないからな!」
とユイジュさんが叫んでいた。
まあ今日は帰りが夜になっちゃったけどね。
冒険者商会に戻るといつも開いているドアが閉まっていて、張り紙がしてあった。
「動物のシャンプーとブラッシングは、今後受け付けません? どういう事?」
「さあ、な」
ユイジュさんが腰を擦りながら答えた。ダダルさんに聞くしかないね。
「ただいま。ダダルさん、あの張り紙は?」
「お帰り。あぁ、どうやら冒険者の街に依頼が来たらしくてな。こっちに問い合わせが来て、ただでシャンプーとブラッシングをしていたのがバレた」
「え? タダでやっちゃいけなかったの?」
「うん? ダメではないが、冒険者の俺達が建物の前でやっていたから冒険者の仕事として捉えられたみたいだが、タダでやってしまったので次からお金を取るとかが出来ないから断れと言われてな。すまないな」
「え~~」
「助かった……」
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結構楽しかったのになぁ。
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毎日15:10に1話ずつ更新です。
この作品は小説家になろう様・カクヨム様・ノベルアッププラス様にも掲載しています。