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第72話 二人を助ける条件
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気がつけば僕は病院で寝ていた。あれ? 僕は眠らされてないよね? なんで?
「目を覚ましたか? よかった」
「ダダルさん……」
「まさか出掛けてすぐ襲われるなんてな」
「ユイジュさん……どうして僕、病院にいるの?」
「覚えてないのか!?」
凄くユイジュさんに驚かれた。
「お前、出血多量で気を失ったんだ。危ないところだったんだぞ?」
「あれ? 痛くなかったのに」
ダダルさんが教えてくれたけど、変だなぁ?
「痛くなかったぁ? だとしても傷があって出血していれば、出血多量になるだろうが!」
いつも通りのユイジュさんだ。ため息交じりに言われた。
「そうだ! チェト! チェト達は?」
「保護されている」
「よかった。目を覚ましたんだね」
僕がそう言うと、二人は目を合わす。
「ロマド、よく聞いてほしい。ユイジュの兄と同じ症状で、眠ったままの状態だ。このままだと殺処分になる」
「え!? なんで!」
「動物だから人間の様な手当はしないって事だ」
ダダルさんの説明に驚くと、ユイジュさんがそう教えてくれた。
「なんでさ! 僕の友達だよ? なんで殺すんだ」
「引き取る事も可能だが、寝ているので自分でご飯を食べられないから点滴をしなくてはいけない。それだけでも相当なお金がかかる。しかも一生だ」
「そ、そんな。方法はないの?」
そう聞いてからハッとする。ある事はある。預けている羽根を使えば……。
「目覚めさせる方法はある。二人が聖獣だと言えば、起こすだろう」
そうダダルさんが言った。
「え? なんで?」
「聖獣は、特別な力を持つ動物のようなもの。まあマトルドと一緒だな」
「じゃ、マトルドは?」
「マトルドは、もう目を覚ましている」
「え? 起こせるの?」
「個人では、お金がないから出来ないだけで、ユニコーンだとわかっているマトルドは生かされた。そして今回ユニコーンのマトルドが狙われたようだと、国でマトルドを管理することになった。だからロマドのところには戻せなくなった」
僕は、ダダルさんの説明を聞いてムッとなった。だって、マトルドは助けるけど、犬だと思っているチェト達は殺すってことだから。酷くない?
「聖獣だと教えればチェト達は助かるだろうが、マトルドの様にロマドのもとには戻ってこないだろうな」
そう更にダダルさんが付け加えた。
「え? なんで?」
「国で管理するって事さ。前に言っただろう?」
ユイジュさんが答えてくれたけど、どっちにしてもチェトと一緒に居れないって事だ。だったら自分で助けよう。
「ダダルさん、お願いがあるんだけど」
「なんだ?」
「あの羽根を使ってチェト達を助けたい!」
僕では、やり方がわからないから。
「薬が出来たらユイジュさんのお兄さんにもあげていいし、余ったらあげるから! お願い! あれでチェト達を助けて!」
「いいだろう。ただし条件がある」
「な、なに?」
「チェトとサザナミを連れて街を出ていけ」
「え? それが条件?」
条件と言えないような気がするんだけど。
「チェト達が聖獣だと知れてたら俺も困る。しかも助けたのがバレたら捕まるからな。だから冒険者としてチェト達と放浪してほしい。で、今回の様な奴らを捕まえてほしいんだ。お前ならできそうな気がする」
「うん?」
あ、そっか。捕まえるのが条件なのか。
僕は、わかったと頷いた。
「だったら俺もついていく」
「え? でも、町の見回りは?」
「いいのか? わかっていると思うが一緒に行けば同罪だぞ?」
「あぁ。兄さんを助けてもらえるし、ロマド達だけだ心配だしな。それに、兄さんを眠らせたのは、どうやらそういう奴らかもしれないとわかったからな。あいつら、裏で眠り薬をさばいていた。だから協力するよ」
「ありがとう。これでモンスターが出ても大丈夫だね!」
「……お前な、少しは自分でもやれ!」
また無理な事を言う。倒せていたらあのスライムから逃げてないよ。
「あははは。人間相手には強いがモンスター相手はからっきしってか。退院して家に戻ったら出ていく用意して待ってろよ」
「うん。マトルドは大丈夫だよね? ひどい目に遭わされないよね?」
「あぁ。定期的に角をいただくだけだ。それ以外は、普通の馬として飼う。問題ない」
「よかったぁ」
マトルドを置いていかないといけないのは悲しいけど、ちゃんとご飯も当たるようだし大丈夫かな。
あとは、無事チェトとサザナミが目を覚ましてくれれば。
僕は、次の日検査の結果問題ないと退院したのだった。
待ってるからね、チェト、サザナミ!
「目を覚ましたか? よかった」
「ダダルさん……」
「まさか出掛けてすぐ襲われるなんてな」
「ユイジュさん……どうして僕、病院にいるの?」
「覚えてないのか!?」
凄くユイジュさんに驚かれた。
「お前、出血多量で気を失ったんだ。危ないところだったんだぞ?」
「あれ? 痛くなかったのに」
ダダルさんが教えてくれたけど、変だなぁ?
「痛くなかったぁ? だとしても傷があって出血していれば、出血多量になるだろうが!」
いつも通りのユイジュさんだ。ため息交じりに言われた。
「そうだ! チェト! チェト達は?」
「保護されている」
「よかった。目を覚ましたんだね」
僕がそう言うと、二人は目を合わす。
「ロマド、よく聞いてほしい。ユイジュの兄と同じ症状で、眠ったままの状態だ。このままだと殺処分になる」
「え!? なんで!」
「動物だから人間の様な手当はしないって事だ」
ダダルさんの説明に驚くと、ユイジュさんがそう教えてくれた。
「なんでさ! 僕の友達だよ? なんで殺すんだ」
「引き取る事も可能だが、寝ているので自分でご飯を食べられないから点滴をしなくてはいけない。それだけでも相当なお金がかかる。しかも一生だ」
「そ、そんな。方法はないの?」
そう聞いてからハッとする。ある事はある。預けている羽根を使えば……。
「目覚めさせる方法はある。二人が聖獣だと言えば、起こすだろう」
そうダダルさんが言った。
「え? なんで?」
「聖獣は、特別な力を持つ動物のようなもの。まあマトルドと一緒だな」
「じゃ、マトルドは?」
「マトルドは、もう目を覚ましている」
「え? 起こせるの?」
「個人では、お金がないから出来ないだけで、ユニコーンだとわかっているマトルドは生かされた。そして今回ユニコーンのマトルドが狙われたようだと、国でマトルドを管理することになった。だからロマドのところには戻せなくなった」
僕は、ダダルさんの説明を聞いてムッとなった。だって、マトルドは助けるけど、犬だと思っているチェト達は殺すってことだから。酷くない?
「聖獣だと教えればチェト達は助かるだろうが、マトルドの様にロマドのもとには戻ってこないだろうな」
そう更にダダルさんが付け加えた。
「え? なんで?」
「国で管理するって事さ。前に言っただろう?」
ユイジュさんが答えてくれたけど、どっちにしてもチェトと一緒に居れないって事だ。だったら自分で助けよう。
「ダダルさん、お願いがあるんだけど」
「なんだ?」
「あの羽根を使ってチェト達を助けたい!」
僕では、やり方がわからないから。
「薬が出来たらユイジュさんのお兄さんにもあげていいし、余ったらあげるから! お願い! あれでチェト達を助けて!」
「いいだろう。ただし条件がある」
「な、なに?」
「チェトとサザナミを連れて街を出ていけ」
「え? それが条件?」
条件と言えないような気がするんだけど。
「チェト達が聖獣だと知れてたら俺も困る。しかも助けたのがバレたら捕まるからな。だから冒険者としてチェト達と放浪してほしい。で、今回の様な奴らを捕まえてほしいんだ。お前ならできそうな気がする」
「うん?」
あ、そっか。捕まえるのが条件なのか。
僕は、わかったと頷いた。
「だったら俺もついていく」
「え? でも、町の見回りは?」
「いいのか? わかっていると思うが一緒に行けば同罪だぞ?」
「あぁ。兄さんを助けてもらえるし、ロマド達だけだ心配だしな。それに、兄さんを眠らせたのは、どうやらそういう奴らかもしれないとわかったからな。あいつら、裏で眠り薬をさばいていた。だから協力するよ」
「ありがとう。これでモンスターが出ても大丈夫だね!」
「……お前な、少しは自分でもやれ!」
また無理な事を言う。倒せていたらあのスライムから逃げてないよ。
「あははは。人間相手には強いがモンスター相手はからっきしってか。退院して家に戻ったら出ていく用意して待ってろよ」
「うん。マトルドは大丈夫だよね? ひどい目に遭わされないよね?」
「あぁ。定期的に角をいただくだけだ。それ以外は、普通の馬として飼う。問題ない」
「よかったぁ」
マトルドを置いていかないといけないのは悲しいけど、ちゃんとご飯も当たるようだし大丈夫かな。
あとは、無事チェトとサザナミが目を覚ましてくれれば。
僕は、次の日検査の結果問題ないと退院したのだった。
待ってるからね、チェト、サザナミ!
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