使えないと思った僕のバフはパッシブでした。パーティーを追い出されたけど呪いの魔導士と内密にペアを組んでます

すみ 小桜(sumitan)

文字の大きさ
28 / 63

第28話 凄いモノを発見!

しおりを挟む
 ここが奥か。
 本当に螺旋状に一本道だった。迷子になる事もなく奥まで無事にたどり着いたようだ。

 『かなり濃そうだな。これならたっぷりと蓄えられるだろう』

 リレイスタルさんの言う通りならね。

 「魔素空間」

 一応手を突き出し言ってみた。そうすると、渦を巻き魔素が集められているのがわかる。本来なら箱を開けた時の様に、真っ黒い煙が渦を巻いている感じなのだろうけど、僕にはそこだけ光の渦に見える。
 変な感じ。

 「うわぁ。だいぶ魔素が薄まったね」
 『あぁ。予想を上回る吸収力だ』

 物の数分で辺りの魔素は薄まった。

 『たぶん外と変わらないぐらいの魔素量だろう。凄いな』

 うん。あの量が、ぎゅっと魔素空間に凝縮されて入っているんだね。魔素空間とは、恐ろしい空間だ。

 『マルリード。あそこを見ろ』
 「え?」

 な、なにかがうずくまっている!?
 な、なんだと思う?

 『子犬?』

 え? うーん。生きてるの? きっと動物も人間と一緒で具合悪くなるんだよね? さっきまで凄い魔素だったんだし。

 『……あれは! 近づいてみろ!』
 「え!」

 ち、近づくの?
 危なくない?

 『大丈夫だ。たぶん』

 たぶんって。
 そろそろと僕は近づいた。
 動く気配はない。

 見ると魔法陣の様なものが見える。

 『やはりな』

 これって魔法陣?

 『あぁ。呪詛魔法陣だ』
 「呪詛!」

 それって呪いって事?
 どうすれば解けるの?

 『解くのは簡単だ。触れればいい』

 え? この子犬に?

 『そうだ』

 どっちにしても連れ出さないといけないし……。

 僕は、そっと抱き上げた。
 たぶん真っ黒い子犬。生まれたてぐらいな大きさだ。両手の平にすっぽり。
 
 魔法陣は、子犬を抱き上げたら消滅した。

 『やはりな。発動して消えたか』

 発動?

 『本来は、抱き上げたマルリードに呪いがかかる。だが君には効かないだろう?』
 「え! ひどい! もし呪われたらどうするのさ!」
 『魔眼の呪いも大丈夫だったのだからそんな事はない!』
 「あ、っそ。にしても元気ないね」
 『鑑定してみては、どうだ?』
 「そうだね。鑑定」

 『魔狼』総合レベル:1
  HP:10/10
  MP:10/10

 うん? 狼?

 『これは、モンスターみたいなものだろうな』

 え!

 『伝説というか、本当にいたのだな』

 うん? モンスターとは違うの?

 『我々の時代では、くくりは違った。知能を持つ生き物だ』

 その魔狼がどうしてここに?

 『わからないが、逃げられないように呪詛をかけられていた事から、何かしら目的がありここに置いて行ったのだろう』
 「魔素酔いさせる為以外思いつかない……」
 『私もだ。暴れさせるとしてもここで暴れても被害はないに等しい。何をしたかったのか……』
 「とりあえず、外へ出よう」
 『だな。今日は来ないと思うが、話を聞いて偵察に来る可能性がある』
 「そうだった!」

 僕は、急いで洞窟の外に出たけど、森を抜ける頃には日が暮れる時間になっていた。受けていた採取の場所へと急ぎ、言い訳づくりの為に暗い中、薬草を採取。ギルドに戻った時には、夜中になっていた。

 「よかった。心配していたんですよ。Dランクを受けたのにCランク辺りで別れたって聞いて」

 戻ると、夜担当受付のサヤドさんが心配そうに言った。

 「ごめんなさい。ちょっと迷っちゃって」
 「ではないかと思った。おや? その子は?」
 「えーと。子犬を拾って……」
 「そう。でも育てるとなると大変だよ。その子犬、どこにいたんだ?」
 「え? あ、山を下りたところ……」

 まさか洞窟の中に居たとは言えない。
 僕は、ボロが出る前にと、そそくさとギルドを後にした。
 お得意の草原まで足を運ぶ。

 「よし! まずはハイヒール!」

 すっかり忘れていたけど、僕ハイヒールを使えるんだった。
 まあ怪我してないし、HPも減ってないから効果ないかもしれないけど。

 「あとは、クリーン!」

 元から黒いし汚れているかわからないけど、あそこに居たんだから全く汚れていない事もないだろうからこれできれいになったはず。
 あとは、さっき買った皿の上に干し肉を乗せた。ミルクも深い皿に入れた。

 さっきまでぴくりとも動かなかった魔狼が、顔を上げペロッとミルクをなめた!

 「かわいい!!」
 『かわいいな。そうだ。名前はどうする?』
 「名前か……」

 紅灯の洞窟にいたから……こう? こうと? うーん。あ、ミスリルが取れる洞窟だからミスリルから名を取って『リル』なんてどう?

 『まあいいんじゃないか』
 「リル。いっぱい飲んで元気になってね」
 『連れて歩くのは構わないが、洞窟に封じ込めた奴に見つかるとやっかいだな』
 「あ、そっか。じゃ何か考えないとね」

 僕はごろんとその場に横になった。
 なんか安心したからか、すごく眠い。

 『まさかここで寝るのか?』

 だって宿に連れていけないし。見張り宜しくね。幽霊なら寝ないでしょ?

 『寝ないけど……まあ風邪ひくなよ。リルもマルリードになついたか』

 リルは、僕に引っ付いて丸くなった。うん。もうだめだ。眠くて、頭が働かない。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです

桐山じゃろ
ファンタジー
日常のなんでもないタイミングで右眼の色だけ変わってしまうという特異体質のディールは、魔物に止めを刺すだけで魔物の死骸を消してしまえる能力を持っていた。世間では魔物を消せるのは聖女の魔滅魔法のみ。聖女に疎まれてパーティを追い出され、今度は魔滅魔法の使えない聖女とパーティを組むことに。瞳の力は魔物を消すだけではないことを知る頃には、ディールは世界の命運に巻き込まれていた。

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

魔法筆職人の俺が居なくなったら、お前ら魔法使えないけど良いんだよな?!

川井田ナツナ
ファンタジー
俺は慈悲深い人間だ。 だから、魔法の『ま』の字も理解していない住民たちに俺の作った魔法筆を使わせてあげていた。 だが、国の総意は『国家転覆罪で国外追放』だとよ。 馬鹿だとは思っていたが、俺の想像を絶する馬鹿だったとはな……。 俺が居なくなったら、お前ら魔法使えなくて生活困るだろうけど良いってことだよな??

処理中です...