使えないと思った僕のバフはパッシブでした。パーティーを追い出されたけど呪いの魔導士と内密にペアを組んでます

すみ 小桜(sumitan)

文字の大きさ
50 / 63

第50話 これは彼女の作戦ですか?

しおりを挟む
 狭い部屋の中を元気にリルは駆け回る。
 本当に元気になったなぁ。

 『これからは、運動もさせないとだめだろうから何か対策を取らないとだめだろうな。君から離れ戻らなくなったらマジックリカバリーの魔法が使えなくなるから、リルの場所の把握ができるアイテムが必要なのではないか?』

 そう言って、錬金術をさせようとしている? まあ一理あるけど、どうしようかなぁ。

 『作るなら協力するぞ』

 はいはい。ありがとう。

 トントントン。

 「ロロリーです」
 「え? はい。リルおいで」

 僕が呼ぶとリルは駆け寄ってくる。言う事は聞くんだよね。
 リルを抱っこしてドアを開けた。

 「こんばんは。あの、エドラーラさんがお見えです」
 「うん? エドラーラさん?」

 あ、チェミンさんか。
 リルをポーチに入れ、ロロリーさんと一緒に向かう。

 「ロロリーさん。今日は残業?」
 「うん。ちょうど帰るところだったの。そこに来たから呼びに……」
 「貴様は! もう違う奴に手を出しているのか!」
 「うん? え!」

 声の主は、チェミンさんのお父さんだった。訪ねてきたのってそっち? というか僕に突進してくるんだけど。

 「貴様のせいで娘の縁談が破談になった。どうしてくれるんだ!」

 僕の両腕をギュッと掴みチェミンさんのお父さんは、ぶんぶんと僕を振りながらついでに唾を飛ばしながら大声を張り上げた。

 「あの痛いです。って、言っている事がちょっとわかんないですけど」
 「この女たらしめが! 手をつないで村の中をデートしていたそうではないか! それを見られていたんだ!」
 「え? 手を……あぁ、あれは」
 「何? 本当なのか!」
 「ちょっとリルが酔うから振らないで! 誤解ですから。ちゃんと彼女に聞いてください」
 「聞いたさ。顔を赤らめ照れておったわ!」
 「え? なんで!」
 『結構したたかだな。手を繋いだというのは事実だからな』
 「おい。あいつ……マルリードってやつだろう?」
 「いやいやいや手を引っ張っただけで……」

 げ。また変な噂がたっちゃうよ。
 僕の腕を掴むチェミンさんのお父さんの手をとり、クルっと向きを変えさせると、外へと背中を押す。

 「何をする!」
 「だから誤解ですから。外で話しましょう」

 もうなんでこうなるんだ。
 外に連れ出してもまだ憤慨したままで、どうする気だと叫んでる。

 「だから誤解なんですってば。護衛の人に聞いてくださいよ。移動させるのに手を引っ張っただけで、デートなんてしてませんから!」
 「何! 本当なのだな? ではさっきの子が恋人か!」
 「どうしてそうなるんだ。彼女は、僕を呼びに来てくれたギルド職員ですよ。もう落ち着いてください」
 「落ち着けるか!」
 「わかりました。ではスーレンさんには僕からちゃんと説明しますから」

 そういうと、静かになった。というか、凄く驚いた顔をしている。なんだ?

 「な、なぜ。名前を知っている?」
 「え? チェミンさんから聞きましたよ。フェニックスに乗り込むって言うから止めたんです」
 「なんだと! あれほど、内緒だと言ったのに! いいか! 誰にもいうなよ!」

 目の前に止めてあった馬車に慌てて乗って去って行く。一体どうなってるの?

 『口が軽い娘を持つと大変のようだな。だから護衛も必死で止めていたのか』

 って、内緒なのになんで話しちゃうかな?

 『結婚が嫌だったのだろう。だったら約束を破ればいいだけだ』

 いや破談になるだけですまなかったらどうするの?

 『ところでなぜ内密に事を進めていたのだ。あそこまで困惑するほど隠さなくてはいけない相手なのか?』

 知らないよ。

 「なあ。三角関係?」
 「ひゃ」

 リレイスタルさんと会話していたら、肩に手をまわして顔を覗き込みながらリトラさんが聞いてきた。

 「違いますから。ちょっと誤解されて。離れてください」
 「あの方、お金持ちの人よね。どなた?」

 ミューリィさんも居たんだ。まあ当たり前か。

 「エドラーラさんです」
 「へえ。それなりの金持ちだな。どういう知り合い?」

 ロメイトさんが、去って行った馬車を見送りながら聞いてきた。みんな興味津々みたいだよ。

 「べ、別にいいじゃないですか……」
 「相談に乗ってやるって言ってるんだって」

 とまた肩に手をかけてリトラさんが言う。それを外しながら僕は返す。

 「大丈夫です。自分で何とかしますので」
 「ところで先ほどフェニックスっと言っていたが」

 ロメイトさんも結構しつこい。うん? フェニックス?

 「今の話、聞いていたんですか?」
 「代表として聞いていた」

 にやっとしてリトラさんがいう。

 『こりゃもう、内緒ではなくなりそうだな。チェミンに結婚を迫られたら断り切れんな』

 あのね! それだけは絶対にないから。さっきの見たでしょう。

 「で? どうなんだ?」
 「だからそれはないって……あ、間違った」
 「「「間違った?」」」

 満月の夜の三人は、何をという顔で聞き返してきたのだった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

処理中です...