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第三章 仕掛けられた罠
第二十九話
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「あいつだけはダメだ!」
ティモシーに近づいたランフレッドは、真面目な顔で言った。
「なんでさ! 買い物に行くだけだろう! 本当はランフレッドも一緒にってエイブさん、言ってくれたんだ! でもあんた、買い物に行くのも許してくれないじゃないか! だから二人で行くことにしただけだ! そんなに心配ならついてくればいいじゃないか! それに、荷物を届けるのに街中は何度も通ってるけど、声なんか掛けられてないから!」
そうティモシーは、たくしあげた!
「そりゃそうだろう。王宮専属薬師におかしな真似しようなんて考えるやつなんてそうそういない! 俺が言ってるのは、エイブに近づくなって事だ!」
「え? なんで?」
ティモシーは心底驚いた顔をした。
街に出掛けるのがダメなのではなく、彼と出掛けるのがダメだっといったからである。ランフレッドは、ティモシーが男なのを知っているし、それなりに強いのも知っている。もし迫られたとしてもいつも通り蹴散らすか、男だとバラせばすむ。
「なんでもだ! あいつには悪い噂もあるし……」
「は? 噂? 意味わかんね……」
男のティモシーには、その噂があったとしても気にする内容ではないはずだからである。
「もう、イチイチうるさいんだよ!」
「ちょ! お前!」
ティモシーは、ランフレッドに対し蹴りを繰り出した。慌ててランフレッドが後ろに下がり交わす。
『アリックがいるんだぞ』
そうランフレッドが口パクをするもフンとそっぽを向く。
「確かに父さんに厳しくって頼まれたかもしれないけど、一年しか……ううう!」
ティモシーが話していると、突然ランフレッドが勢いよく近づき手で口を塞ぐ。そしてそのまま柵に背中を打ち付けたティモシーは、ズルズルと座り込んだ。
「あ、わりぃ……」
「っげほ、っげほ。ったく、何すんだよ!」
「お前な、一年しか居るつもりないって言うのは、他人には言うな!」
片膝をついて屈んだランフレッドは、ティモシーにそう囁いた。
「ちょっと! ランフレッドさん、やり過ぎじゃ……」
慌ててアリックが近づいて来た。
「あはは。勢い余ってしまって」
「大丈夫?」
そう言って手を伸ばして来たアリックの手をティモシーは払いのけた。
「ホント大きなお世話だよ! わかった! 二人がそこまで言うなら行かない!」
そう言い切ると、ティモシーは立ち上がる。
「約束すれよ」
「わかったって!」
ティモシーは唇をかみしめる。ランフレッドには、口でも力でも勝てないのが悔しかったのである。
そしてその足で、エイブに断りに行ったのだった。
ティモシーに近づいたランフレッドは、真面目な顔で言った。
「なんでさ! 買い物に行くだけだろう! 本当はランフレッドも一緒にってエイブさん、言ってくれたんだ! でもあんた、買い物に行くのも許してくれないじゃないか! だから二人で行くことにしただけだ! そんなに心配ならついてくればいいじゃないか! それに、荷物を届けるのに街中は何度も通ってるけど、声なんか掛けられてないから!」
そうティモシーは、たくしあげた!
「そりゃそうだろう。王宮専属薬師におかしな真似しようなんて考えるやつなんてそうそういない! 俺が言ってるのは、エイブに近づくなって事だ!」
「え? なんで?」
ティモシーは心底驚いた顔をした。
街に出掛けるのがダメなのではなく、彼と出掛けるのがダメだっといったからである。ランフレッドは、ティモシーが男なのを知っているし、それなりに強いのも知っている。もし迫られたとしてもいつも通り蹴散らすか、男だとバラせばすむ。
「なんでもだ! あいつには悪い噂もあるし……」
「は? 噂? 意味わかんね……」
男のティモシーには、その噂があったとしても気にする内容ではないはずだからである。
「もう、イチイチうるさいんだよ!」
「ちょ! お前!」
ティモシーは、ランフレッドに対し蹴りを繰り出した。慌ててランフレッドが後ろに下がり交わす。
『アリックがいるんだぞ』
そうランフレッドが口パクをするもフンとそっぽを向く。
「確かに父さんに厳しくって頼まれたかもしれないけど、一年しか……ううう!」
ティモシーが話していると、突然ランフレッドが勢いよく近づき手で口を塞ぐ。そしてそのまま柵に背中を打ち付けたティモシーは、ズルズルと座り込んだ。
「あ、わりぃ……」
「っげほ、っげほ。ったく、何すんだよ!」
「お前な、一年しか居るつもりないって言うのは、他人には言うな!」
片膝をついて屈んだランフレッドは、ティモシーにそう囁いた。
「ちょっと! ランフレッドさん、やり過ぎじゃ……」
慌ててアリックが近づいて来た。
「あはは。勢い余ってしまって」
「大丈夫?」
そう言って手を伸ばして来たアリックの手をティモシーは払いのけた。
「ホント大きなお世話だよ! わかった! 二人がそこまで言うなら行かない!」
そう言い切ると、ティモシーは立ち上がる。
「約束すれよ」
「わかったって!」
ティモシーは唇をかみしめる。ランフレッドには、口でも力でも勝てないのが悔しかったのである。
そしてその足で、エイブに断りに行ったのだった。
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