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第三章 仕掛けられた罠
第三十話
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次の日の午後、ティモシーは街中で目を輝かせていた。
配達の帰り道に街中に立ち寄ったのである。
今日はベネットと一緒で、気分転換に少しだけど言ってくれたのだった。
「ねえ、ティモシー」
「はい?」
「よく聞いてほしいの」
真面目な顔でベネットは、ティモシーを見つめた。ティモシーも真面目な顔で頷く。
「怒らずに最後まで聞いてね」
そう前置きすると、ベネットは語り出す。内容はエイブの噂話だった。
彼は三年前、アリックと同じ二十三歳という若さで王宮専属薬師になった。そして女性を取っ替え引っ替え交際、薬師の腕は確かだが性格に問題ありと注意を受けた。
だが彼は、二股を掛けている訳でもなく、どちらかというと振られているんですと言った。だがその後、ある事件が起こる。
事件と言っても失踪事件で、彼が付き合っていた事のある女性の行方がわからなくなったのだ。
そこでも彼は、自分は関係ないときっぱりと言った。別れた後のことだし振ったのは向こうだと。だが、どちらから別れを切り出したのか、本当に別れたのかは、わからないままだった。
そして半年後、また失踪事件が起きた。
今度は交際中の出来事だった。でも彼は、自分も探していると言ったのである。彼が関係あるかわからず、今でも二人は見つかっていない。
そのうち、失踪ではなくて彼が殺したのではないか、という噂が広がった。王宮側も彼の処遇を悩んだが、彼が関わりがあるという証拠もまたその逆の証拠もない。
そこに一緒に研究する者から抗議の声が上がった。そこで彼を倉庫係に部署替えをしたのである。
話し終えると、何故かベネットの方が辛そうな顔をしていた。
彼女はこのままだと、ティモシーはアリック達との関係もうまくいかなくなるし王宮内で浮く。皆をまとめるのは自分の仕事だと、アリックが敬遠していた内容を話したのである。
(そっか自業自得ってそういう事だったんだ。確かにこんな噂ならアリックだけじゃなくて、ランフレッドもダメだって言うはずだ。でも……)
ティモシーは悩む。彼は噂の人物とはほど遠かった。取っ替え引っ替えが本当だとしても失踪に関わっているようには見えない。
それにこの噂、付き合ったあとの話である。ティモシーは、もし自分に下心があったとしても男だと知ればそれまでだし、もし万が一、切れて襲ってきた所で負ける気はしなかった。
(振られた腹いせに殺すか? それに、他の振った人たちは何故無事なんだ?)
付き合った事もないティモシーが俯いて必死に考えていると、『ごめんね』と呟く声が聞こえ顔を上げると、ベネットが心配そうにティモシーを見ていた。
「あ、大丈夫です。話してくれてありがとうございます。皆が心配するはずだ……よね」
「さあ、二人には内緒よ。三十分ほどだけど見て帰りましょう」
ベネットが元気付けようとした言葉に、ティモシーは元気に頷き、それぞれ見て回る事にした。
「ティモシーさん?」
少しした頃、後ろから声が掛かり振り返った。
「え? エイブさん? どうしてここに!」
「今日が休みになったから色々と買い物をしにね。断りに来た時に話したよね?」
驚くティモシーに、にっこりとして説明をした。
ティモシーが断りに行くと、自分も休みの日が変更になって伝えに行こうとしていたと言われた事を思い出す。
「仕事中にさぼり? いいなぁ。新人の特権だよね。俺なんて部屋から出る事ないし……」
ちょっと寂しそうにエイブは言う。
「ねえ、そう言えばこの前話した道具屋すぐそこなんだけど行く?」
「え?」
「あ、ランフレッドさんにバレたらまずいか……」
エイブは苦笑いをするが、ティモシーは首を横に振った。
(事実を確かめよう)
道具屋に行っても行かなくても、男だと話そうと思ったのである。そうすれば、この悩みは解決する。だが、ティモシーはエイブを信じていた。だからとれる行動だった。
「今、ベネットさんと来ているんだ。三十分は自由行動からちょっとだけ覗きたい!」
「いいの?」
ティモシーは、うんと頷くとエイブはこっちと街の奥を指差した。
この判断が、ティモシーの運命を大きく変える決断となるとは知らずに……。
配達の帰り道に街中に立ち寄ったのである。
今日はベネットと一緒で、気分転換に少しだけど言ってくれたのだった。
「ねえ、ティモシー」
「はい?」
「よく聞いてほしいの」
真面目な顔でベネットは、ティモシーを見つめた。ティモシーも真面目な顔で頷く。
「怒らずに最後まで聞いてね」
そう前置きすると、ベネットは語り出す。内容はエイブの噂話だった。
彼は三年前、アリックと同じ二十三歳という若さで王宮専属薬師になった。そして女性を取っ替え引っ替え交際、薬師の腕は確かだが性格に問題ありと注意を受けた。
だが彼は、二股を掛けている訳でもなく、どちらかというと振られているんですと言った。だがその後、ある事件が起こる。
事件と言っても失踪事件で、彼が付き合っていた事のある女性の行方がわからなくなったのだ。
そこでも彼は、自分は関係ないときっぱりと言った。別れた後のことだし振ったのは向こうだと。だが、どちらから別れを切り出したのか、本当に別れたのかは、わからないままだった。
そして半年後、また失踪事件が起きた。
今度は交際中の出来事だった。でも彼は、自分も探していると言ったのである。彼が関係あるかわからず、今でも二人は見つかっていない。
そのうち、失踪ではなくて彼が殺したのではないか、という噂が広がった。王宮側も彼の処遇を悩んだが、彼が関わりがあるという証拠もまたその逆の証拠もない。
そこに一緒に研究する者から抗議の声が上がった。そこで彼を倉庫係に部署替えをしたのである。
話し終えると、何故かベネットの方が辛そうな顔をしていた。
彼女はこのままだと、ティモシーはアリック達との関係もうまくいかなくなるし王宮内で浮く。皆をまとめるのは自分の仕事だと、アリックが敬遠していた内容を話したのである。
(そっか自業自得ってそういう事だったんだ。確かにこんな噂ならアリックだけじゃなくて、ランフレッドもダメだって言うはずだ。でも……)
ティモシーは悩む。彼は噂の人物とはほど遠かった。取っ替え引っ替えが本当だとしても失踪に関わっているようには見えない。
それにこの噂、付き合ったあとの話である。ティモシーは、もし自分に下心があったとしても男だと知ればそれまでだし、もし万が一、切れて襲ってきた所で負ける気はしなかった。
(振られた腹いせに殺すか? それに、他の振った人たちは何故無事なんだ?)
付き合った事もないティモシーが俯いて必死に考えていると、『ごめんね』と呟く声が聞こえ顔を上げると、ベネットが心配そうにティモシーを見ていた。
「あ、大丈夫です。話してくれてありがとうございます。皆が心配するはずだ……よね」
「さあ、二人には内緒よ。三十分ほどだけど見て帰りましょう」
ベネットが元気付けようとした言葉に、ティモシーは元気に頷き、それぞれ見て回る事にした。
「ティモシーさん?」
少しした頃、後ろから声が掛かり振り返った。
「え? エイブさん? どうしてここに!」
「今日が休みになったから色々と買い物をしにね。断りに来た時に話したよね?」
驚くティモシーに、にっこりとして説明をした。
ティモシーが断りに行くと、自分も休みの日が変更になって伝えに行こうとしていたと言われた事を思い出す。
「仕事中にさぼり? いいなぁ。新人の特権だよね。俺なんて部屋から出る事ないし……」
ちょっと寂しそうにエイブは言う。
「ねえ、そう言えばこの前話した道具屋すぐそこなんだけど行く?」
「え?」
「あ、ランフレッドさんにバレたらまずいか……」
エイブは苦笑いをするが、ティモシーは首を横に振った。
(事実を確かめよう)
道具屋に行っても行かなくても、男だと話そうと思ったのである。そうすれば、この悩みは解決する。だが、ティモシーはエイブを信じていた。だからとれる行動だった。
「今、ベネットさんと来ているんだ。三十分は自由行動からちょっとだけ覗きたい!」
「いいの?」
ティモシーは、うんと頷くとエイブはこっちと街の奥を指差した。
この判断が、ティモシーの運命を大きく変える決断となるとは知らずに……。
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