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第三章 仕掛けられた罠
第三十四話
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ティモシーは暗闇の中にいた……。
(どこだここ?)
辺りを見渡すと、明かりが漏れている場所があった。恐る恐る近づくとそれはドアだった。それがスーッと開いた。
(入ってはダメだ!)
そう思っているのにティモシーは、ドアの向こう側へ歩みを進める。そこには――エイブが不気味にほほ笑んでいた。
「ティモシーさん、偶然会えるなんて運命だよね?」
「うわーー」
ティモシーは、飛び起きた。辺りを見渡すと見慣れた部屋だ。
(俺の部屋……夢か。そうだ、夢だよな……)
「ティモシー! 大丈夫か?」
声を聞きつけたのか、ランフレッドが部屋に入って来る。そして、ベネットも。
「あれ、ベネットさん?」
二人は心配そうな顔をして、ティモシーに近づく。
「何か食べれそう?」
「えっと……」
ベネットに優しく声を掛けられるも、ティモシーは状況がわからない。
「覚えてないか? お前、丸二日寝込んでいたんだ……」
「……そうなんだ」
ランフレッドにそう言われ、ティモシーは俯いたままそう答えた。
「とりあえず、粥でも作ってくるわね」
「悪いな」
ベネットは首を横に振ると、ドアをぱたんと閉め部屋を出て行く。
ティモシーは、ドアが閉まった音にビクッと体を震わす。
(大丈夫、結界は張られてない……。いや、そもそもあれは夢!)
ティモシーは夢だった事にしようと、一生懸命自分に言い聞かせる。
ドアが閉まっただけでビクつくティモシーを見て、ランフレッドもどうしていいかわからなかった。
「ごめんな……」
聞いた事がない弱弱しい声で、ランフレッドはボソッと呟く。いや一度だけあった『巻き込んでごめんな』そう確かに聞いた記憶がある。
「なんであんたが謝るんだよ……」
「お前、エイブに懐いていただろう? 出来るだけ傷つけずに引き離そうと思っていた。だからあの時、アリックに噂の内容を知らないみたいだと聞いても噂の事を言い出せなかった。教えておけばこんな事には……」
ベットの横で膝を折り、ランフレッドは悲痛な顔つきでそう言った。
(俺、ランフレッドをすげー傷つけたのか……。エイブさんの方を信じたばかりに……)
ティモシーは、約束は守れって言われていたのに、噂は違うと証明しようとして、自分がどれだけランフレッドを心配させ傷つけたか思い知る。こんな彼を見た事なかった。いつもお道化ていて口うるさくて、そして守ってくれていた。
「……知っていてついて行ったんだ……。ついていく直前にベネットさんに聞いた。でも、噂とは結びつかなくて……」
ランフレッドは、凄く驚いた顔をしてティモシーを見て口を開く。
「お前、そんなに道具とか欲しかったのか……」
「そうじゃなくて、証明しようとしたんだ。噂は間違ってるって……男だと明かそうと思って……。そうすれば、決着つくと思っていた。エイブさんが俺の事、女だと思っているはわかっていたから。知っても態度は変わらないハズだって信じて……バカみたいだな、俺」
そこでティモシーは泣き出す。そして、鮮明に思い出す。
「男の人が乗り込んできて、エイブさんは殺された……」
「は? いやいや、殺されてないから!」
「え? 生きてるの? 魔術師だから殺されたんじゃ……」
そう思い込んでいたティモシーは、驚いてランフレッドに振り向き、ジッと見つめると、彼はそうじゃないと首を横に振った。
「エイブは犯罪者だ。だから捕らえた。まあ、やり過ぎだけだと俺も思うけどな……。しかもお前の前であんな残酷に……」
ランフレッドは、少し顔を歪ませて言った。
(どこだここ?)
辺りを見渡すと、明かりが漏れている場所があった。恐る恐る近づくとそれはドアだった。それがスーッと開いた。
(入ってはダメだ!)
そう思っているのにティモシーは、ドアの向こう側へ歩みを進める。そこには――エイブが不気味にほほ笑んでいた。
「ティモシーさん、偶然会えるなんて運命だよね?」
「うわーー」
ティモシーは、飛び起きた。辺りを見渡すと見慣れた部屋だ。
(俺の部屋……夢か。そうだ、夢だよな……)
「ティモシー! 大丈夫か?」
声を聞きつけたのか、ランフレッドが部屋に入って来る。そして、ベネットも。
「あれ、ベネットさん?」
二人は心配そうな顔をして、ティモシーに近づく。
「何か食べれそう?」
「えっと……」
ベネットに優しく声を掛けられるも、ティモシーは状況がわからない。
「覚えてないか? お前、丸二日寝込んでいたんだ……」
「……そうなんだ」
ランフレッドにそう言われ、ティモシーは俯いたままそう答えた。
「とりあえず、粥でも作ってくるわね」
「悪いな」
ベネットは首を横に振ると、ドアをぱたんと閉め部屋を出て行く。
ティモシーは、ドアが閉まった音にビクッと体を震わす。
(大丈夫、結界は張られてない……。いや、そもそもあれは夢!)
ティモシーは夢だった事にしようと、一生懸命自分に言い聞かせる。
ドアが閉まっただけでビクつくティモシーを見て、ランフレッドもどうしていいかわからなかった。
「ごめんな……」
聞いた事がない弱弱しい声で、ランフレッドはボソッと呟く。いや一度だけあった『巻き込んでごめんな』そう確かに聞いた記憶がある。
「なんであんたが謝るんだよ……」
「お前、エイブに懐いていただろう? 出来るだけ傷つけずに引き離そうと思っていた。だからあの時、アリックに噂の内容を知らないみたいだと聞いても噂の事を言い出せなかった。教えておけばこんな事には……」
ベットの横で膝を折り、ランフレッドは悲痛な顔つきでそう言った。
(俺、ランフレッドをすげー傷つけたのか……。エイブさんの方を信じたばかりに……)
ティモシーは、約束は守れって言われていたのに、噂は違うと証明しようとして、自分がどれだけランフレッドを心配させ傷つけたか思い知る。こんな彼を見た事なかった。いつもお道化ていて口うるさくて、そして守ってくれていた。
「……知っていてついて行ったんだ……。ついていく直前にベネットさんに聞いた。でも、噂とは結びつかなくて……」
ランフレッドは、凄く驚いた顔をしてティモシーを見て口を開く。
「お前、そんなに道具とか欲しかったのか……」
「そうじゃなくて、証明しようとしたんだ。噂は間違ってるって……男だと明かそうと思って……。そうすれば、決着つくと思っていた。エイブさんが俺の事、女だと思っているはわかっていたから。知っても態度は変わらないハズだって信じて……バカみたいだな、俺」
そこでティモシーは泣き出す。そして、鮮明に思い出す。
「男の人が乗り込んできて、エイブさんは殺された……」
「は? いやいや、殺されてないから!」
「え? 生きてるの? 魔術師だから殺されたんじゃ……」
そう思い込んでいたティモシーは、驚いてランフレッドに振り向き、ジッと見つめると、彼はそうじゃないと首を横に振った。
「エイブは犯罪者だ。だから捕らえた。まあ、やり過ぎだけだと俺も思うけどな……。しかもお前の前であんな残酷に……」
ランフレッドは、少し顔を歪ませて言った。
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