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第五章 疑惑の彼
第五十四話
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「さっき二人が言っていた事は間違っていません。相手は黒い石の様な物を投げて来たんです。エイブさんが投げた石に似ていたので、攻撃が来ると思たんだけど、眠りの魔術だったらしくアリックさんがかかりました」
「あなたは、そのペンダントでレジストしたのですね?」
レオナールの問いにティモシーは頷く。
「運がいいのか、悪いのか。アリックさんが俺を庇って抱き着いていたので、一緒にそのまま転倒してしまって……」
よく考えると、情けないなとティモシーは顔を赤らめた。
「彼は……ダグはどうでした?」
「直接は確認してないけど、男たちがダグさんが起きているのに驚いていたのでレジストしたんだと思います」
「やはり……」
ティモシーの回答に、レオナールは小さく呟いた。
「その後は?」
「男たちは、俺達を拉致するつもりだったといいながら、ダグさんに攻撃を仕掛けたみたいなんです。寝たふりをしていたので詳細はわかないけど……。多分また、黒い石をなげたんじゃないかと……」
「では、あの穴を開けたのは、男たちの攻撃なのですね?」
ティモシーは、はいと頷く。
「その後、ダグさんが……」
ティモシーは俯き、続きを言うのを溜めらう。二人は死んだ。だから本当の事を言うべきなんだろうが、今思えば自分達を助ける為に殺すしかなかった? とも考えてしまう。
チラッとレオナールを見ると、彼は頷く。
「大丈夫です。私を信じて話して下さい」
ティモシーは大きく息を吸った。
「ダグさんは相手の動きを奪い、男たちの首を絞めたみたいなんです。絞め殺すところは見てないんですけど……」
「見ていないとは?」
「一度首を絞めていた手を離して、倒れた男たちの首をもう一度絞めたようなんです。倒れた後は、見えなかったので……」
「なるほど。そういう事でしたか」
ティモシーの説明でレオナールは何か確信を得たようだった。
「ありがとう。とても助かりました。今はゆっくり休んで下さい」
レオナールは、スクッと立ち上がると、部屋を出て行った。
(ダグはどうなるのだろう?)
もしダグが魔術師でなければ、今頃三人はあの男たちに連れ去られていた。自分の力で逃げ出せただろうか? 二人を助ける事が自分には出来ただろうか? ティモシーは布団の中で自問してみる。
魔術を封じる事に成功すれば、逃げ出す事は可能かもしれないが、それが出来なければ、自分は殺されるだろうと思った。彼らは、魔術師を殺すつもりだったのだから……。
やはりと言うか、当然というか、王宮に泊まる事になったので、レオナールの部屋にお呼ばれし、ティモシーは彼に言われるまま魔術師の本を読んでいた。
普通の者なら王子と仲良くなれるのなら喜ぶだろう。だが相手は魔術師の王子、ティモシーでなくとも、少なからず遠慮する者もいるだろう。
「少しお話宜しいですか?」
一区切りついたのがわかったのか、レオナールはティモシーに声を掛けて来た。疑問形だが、命令である。ティモシーは頷いた。
「あなたは自分で思っている程、魔術は劣っておりません。私もあの時、驚いたほどです。あの結界は、ブラッドリーの真似をしたのでしょう?」
前回ティモシーを攻撃をした時の事を言っているのだ。
(驚いていたのか? 全然そう見えなかったけど……)
「結界なんて使った事なかったので、ブラッドリーさんが使ったのを思い出してやってみただけです……」
それを聞いたレオナールは目を丸くした。今回は、言われなくとも驚いたのがわかった。
「あなた、想像以上でした。一度も使った事がなかったとは……」
魔術師だと隠して生活していたのだから魔術など使っていないのは、当たり前だろうと思うも、そうですかとそれだけティモシーは返事を返した。
だいたい普通に生活して、いつ結界を使う時があるって言うんだと、言いたかった。
「そこにある本は全て読んで構いません! まず、知識として取り入れておきましょう!」
レオナールは、そういう言うと意気揚々と次なる本を持って来てテーブルに置いた。
(俺を寝かせる気ないだろう!)
「いや、そんなに読めないし。どうせ王宮に泊まってるんだし。今日はこの辺で……」
「そうですね。急かしすぎましたね」
レオナールは、にっこりほほ笑む。
彼は知っているのだろう。明日から数日、ティモシーが仕事を休んでいいと言われている事を。ティモシーもまた、彼がそれを知りえている事を察知した。
何とかしなければ、ティモシーに平穏な日々はない……。
「あなたは、そのペンダントでレジストしたのですね?」
レオナールの問いにティモシーは頷く。
「運がいいのか、悪いのか。アリックさんが俺を庇って抱き着いていたので、一緒にそのまま転倒してしまって……」
よく考えると、情けないなとティモシーは顔を赤らめた。
「彼は……ダグはどうでした?」
「直接は確認してないけど、男たちがダグさんが起きているのに驚いていたのでレジストしたんだと思います」
「やはり……」
ティモシーの回答に、レオナールは小さく呟いた。
「その後は?」
「男たちは、俺達を拉致するつもりだったといいながら、ダグさんに攻撃を仕掛けたみたいなんです。寝たふりをしていたので詳細はわかないけど……。多分また、黒い石をなげたんじゃないかと……」
「では、あの穴を開けたのは、男たちの攻撃なのですね?」
ティモシーは、はいと頷く。
「その後、ダグさんが……」
ティモシーは俯き、続きを言うのを溜めらう。二人は死んだ。だから本当の事を言うべきなんだろうが、今思えば自分達を助ける為に殺すしかなかった? とも考えてしまう。
チラッとレオナールを見ると、彼は頷く。
「大丈夫です。私を信じて話して下さい」
ティモシーは大きく息を吸った。
「ダグさんは相手の動きを奪い、男たちの首を絞めたみたいなんです。絞め殺すところは見てないんですけど……」
「見ていないとは?」
「一度首を絞めていた手を離して、倒れた男たちの首をもう一度絞めたようなんです。倒れた後は、見えなかったので……」
「なるほど。そういう事でしたか」
ティモシーの説明でレオナールは何か確信を得たようだった。
「ありがとう。とても助かりました。今はゆっくり休んで下さい」
レオナールは、スクッと立ち上がると、部屋を出て行った。
(ダグはどうなるのだろう?)
もしダグが魔術師でなければ、今頃三人はあの男たちに連れ去られていた。自分の力で逃げ出せただろうか? 二人を助ける事が自分には出来ただろうか? ティモシーは布団の中で自問してみる。
魔術を封じる事に成功すれば、逃げ出す事は可能かもしれないが、それが出来なければ、自分は殺されるだろうと思った。彼らは、魔術師を殺すつもりだったのだから……。
やはりと言うか、当然というか、王宮に泊まる事になったので、レオナールの部屋にお呼ばれし、ティモシーは彼に言われるまま魔術師の本を読んでいた。
普通の者なら王子と仲良くなれるのなら喜ぶだろう。だが相手は魔術師の王子、ティモシーでなくとも、少なからず遠慮する者もいるだろう。
「少しお話宜しいですか?」
一区切りついたのがわかったのか、レオナールはティモシーに声を掛けて来た。疑問形だが、命令である。ティモシーは頷いた。
「あなたは自分で思っている程、魔術は劣っておりません。私もあの時、驚いたほどです。あの結界は、ブラッドリーの真似をしたのでしょう?」
前回ティモシーを攻撃をした時の事を言っているのだ。
(驚いていたのか? 全然そう見えなかったけど……)
「結界なんて使った事なかったので、ブラッドリーさんが使ったのを思い出してやってみただけです……」
それを聞いたレオナールは目を丸くした。今回は、言われなくとも驚いたのがわかった。
「あなた、想像以上でした。一度も使った事がなかったとは……」
魔術師だと隠して生活していたのだから魔術など使っていないのは、当たり前だろうと思うも、そうですかとそれだけティモシーは返事を返した。
だいたい普通に生活して、いつ結界を使う時があるって言うんだと、言いたかった。
「そこにある本は全て読んで構いません! まず、知識として取り入れておきましょう!」
レオナールは、そういう言うと意気揚々と次なる本を持って来てテーブルに置いた。
(俺を寝かせる気ないだろう!)
「いや、そんなに読めないし。どうせ王宮に泊まってるんだし。今日はこの辺で……」
「そうですね。急かしすぎましたね」
レオナールは、にっこりほほ笑む。
彼は知っているのだろう。明日から数日、ティモシーが仕事を休んでいいと言われている事を。ティモシーもまた、彼がそれを知りえている事を察知した。
何とかしなければ、ティモシーに平穏な日々はない……。
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