55 / 192
第五章 疑惑の彼
第五十五話
しおりを挟む
翌日の朝、ティモシーは作戦を決行する。っといっても大した作戦ではない。レオナールの部屋には行かずに、調合室に行くだけである。つまりは仕事をする。アリックは休むだろうが、ダグは来るかもしれない。そうすれば、ベネットもいるだろう。という思惑である。
たった今、ランフレッドはルーファスの元に向かった。後は、見つからずに調合室に行くだけだ。
ティモシーとランフレッドは、同じ部屋で三階。調合室には階を移動せずに向かえる。気を付けるなら、ブラッドリーだけだろう。
そっと廊下を伺い、誰もいないのを確認する。
(よし! 誰もいない)
ティモシーは、足早に調合室に向かった。
「ティモシー?」
しかし、暫くして後ろから声が掛けられ、ティモシーはビクッとして振り向いた。そこには、ダグが立っていた。彼は驚いた顔をしている。
(なんだ。ダグか……)
「あ、えっと、おはようございます」
「あぁ、おはよう。って、お前怪我はいいのか?」
ティモシーは頷く。
「俺はてっきり休みかと思った。しかし、あの人思ったよりスパルタだな……」
あの人とは、ランフレッドを指すのだろう。
「あ、えっと。実は王宮に泊まって……暇だから……」
「あ、なるほど! ってお前、暇で仕事するのか……。俺なら、これ幸いと寝て過ごすけどな」
っと、ダグはいつも通り笑う。ティモシーは、ふうっと安堵する。だが、今日に限ってまた声が掛かる。
「おや? ダグだけじゃなくティモシーもいるのか……」
微かに聞き取れた声に二人は振り向いた。その相手に驚く。ルーファスだったのである。
「おはよう」
「おはようございます」
「おはようございます……」
ダグは軽く頭を下げ、ティモシーはスッとダグの後ろに下がる。
ティモシーは、やばいと思った。調合室につく前に見つかったと。だがよく見ると、ランフレッドはいなかった。
「ティモシー。君はレオ殿の所に行ったのではなかったのか?」
ルーファスもレオナールの所に行く事を知っていたのかとティモシーは焦る。
「レオって確か……。うん? 殿?」
『レオ』の名に聞き覚えがあるダグは、ルーファスが『殿』を付けて呼んだ事に疑問を持ち、ボソッと零す。
「まあ、いいか。今日はベネットは休みだが? 二人共どうする事になっている?」
「え! 休みなの!?」
「うんじゃ、帰るかな……」
ティモシーは驚くも、ダグの方はそれこそ幸いと、家に帰って寝る気なのだろう。
「夕方まで馬車は出ない。今、ここも兵士が少ないからな」
「マジかよ……」
「連絡の行き違いがあったようだな。……では、暇だろう。どうだこれから、私の用事に付き合わないか?」
ルーファスの突然の誘いに二人共キョトンとする。ティモシーはともかくとして、ダグに声が掛かるとは思っていなかった。ルーファスに招待を受けるほど接点などないからである。
「あの……どちらに? お供のランフレッドさんは……」
「居た! ルー……ファス王子! ここにお出ででしたか!」
ダグの質問と被るように、遠くから声が響いた。言うまでもなく、ランフレッドである。
(げ! とうとう来た!)
「お探ししたのですよ! どうして部屋にいらっしゃ……って、ティモシー、お前! どうしてここにいる! レオ……ふがふが」
「君は煩い!」
ランフレッドの口を突然、ルーファスがパっと塞いだ。これには、塞がれた本人もそうだが、ティモシー達も驚いた。
「これから三人で森に行くことになった」
「はぁ? 森? いやいや、この状況下で森って……」
ルーファスは、ランフレッドの口を塞いだ手を服にこすりつけながら言うと、ランフレッドは驚いた。ティモシー達も行き先が森でこちらも驚く。
「ランフ、地に戻ってる。……森と言っても敷地内のそこだ。問題ない。暇そうだし見せてやろうかと思ってな」
「違う日にして頂けませんか? 森の見回りの兵士も昨日の夜から街の見回りに当てております。危険です」
「行きたいです!」
ダグはランフレッドの意見に賛成して頷くが、ティモシーはルーファスの意見に賛成した。森に行けないと、レオナールの部屋行きが確定だからである。
「大丈夫だ。剣も持って来た。それにこの頃警備が強化されて、うさぴょんが怯えて姿を現さない。今日なら見れるかもしれない」
「………」
「はい! 見たいです!」
「……兎より自分の事を考えてくれよ」
大賛成のティモシーだが、ランフレッドはボソッと呟き、大きなため息を漏らす。ダグは、少し眉をひそめるだけだった。
「では、行くぞ」
「はいはい」
話は決まったとルーファスが歩き出すと、仕方なしにランフレッドは彼の後ろを歩く。ティモシーは意気揚々とダグは緊張気味に後をついて行った。
四人はバルコニーの下にあるドアから広場に出て、そこから森に繋がる道に進んで行った。
たった今、ランフレッドはルーファスの元に向かった。後は、見つからずに調合室に行くだけだ。
ティモシーとランフレッドは、同じ部屋で三階。調合室には階を移動せずに向かえる。気を付けるなら、ブラッドリーだけだろう。
そっと廊下を伺い、誰もいないのを確認する。
(よし! 誰もいない)
ティモシーは、足早に調合室に向かった。
「ティモシー?」
しかし、暫くして後ろから声が掛けられ、ティモシーはビクッとして振り向いた。そこには、ダグが立っていた。彼は驚いた顔をしている。
(なんだ。ダグか……)
「あ、えっと、おはようございます」
「あぁ、おはよう。って、お前怪我はいいのか?」
ティモシーは頷く。
「俺はてっきり休みかと思った。しかし、あの人思ったよりスパルタだな……」
あの人とは、ランフレッドを指すのだろう。
「あ、えっと。実は王宮に泊まって……暇だから……」
「あ、なるほど! ってお前、暇で仕事するのか……。俺なら、これ幸いと寝て過ごすけどな」
っと、ダグはいつも通り笑う。ティモシーは、ふうっと安堵する。だが、今日に限ってまた声が掛かる。
「おや? ダグだけじゃなくティモシーもいるのか……」
微かに聞き取れた声に二人は振り向いた。その相手に驚く。ルーファスだったのである。
「おはよう」
「おはようございます」
「おはようございます……」
ダグは軽く頭を下げ、ティモシーはスッとダグの後ろに下がる。
ティモシーは、やばいと思った。調合室につく前に見つかったと。だがよく見ると、ランフレッドはいなかった。
「ティモシー。君はレオ殿の所に行ったのではなかったのか?」
ルーファスもレオナールの所に行く事を知っていたのかとティモシーは焦る。
「レオって確か……。うん? 殿?」
『レオ』の名に聞き覚えがあるダグは、ルーファスが『殿』を付けて呼んだ事に疑問を持ち、ボソッと零す。
「まあ、いいか。今日はベネットは休みだが? 二人共どうする事になっている?」
「え! 休みなの!?」
「うんじゃ、帰るかな……」
ティモシーは驚くも、ダグの方はそれこそ幸いと、家に帰って寝る気なのだろう。
「夕方まで馬車は出ない。今、ここも兵士が少ないからな」
「マジかよ……」
「連絡の行き違いがあったようだな。……では、暇だろう。どうだこれから、私の用事に付き合わないか?」
ルーファスの突然の誘いに二人共キョトンとする。ティモシーはともかくとして、ダグに声が掛かるとは思っていなかった。ルーファスに招待を受けるほど接点などないからである。
「あの……どちらに? お供のランフレッドさんは……」
「居た! ルー……ファス王子! ここにお出ででしたか!」
ダグの質問と被るように、遠くから声が響いた。言うまでもなく、ランフレッドである。
(げ! とうとう来た!)
「お探ししたのですよ! どうして部屋にいらっしゃ……って、ティモシー、お前! どうしてここにいる! レオ……ふがふが」
「君は煩い!」
ランフレッドの口を突然、ルーファスがパっと塞いだ。これには、塞がれた本人もそうだが、ティモシー達も驚いた。
「これから三人で森に行くことになった」
「はぁ? 森? いやいや、この状況下で森って……」
ルーファスは、ランフレッドの口を塞いだ手を服にこすりつけながら言うと、ランフレッドは驚いた。ティモシー達も行き先が森でこちらも驚く。
「ランフ、地に戻ってる。……森と言っても敷地内のそこだ。問題ない。暇そうだし見せてやろうかと思ってな」
「違う日にして頂けませんか? 森の見回りの兵士も昨日の夜から街の見回りに当てております。危険です」
「行きたいです!」
ダグはランフレッドの意見に賛成して頷くが、ティモシーはルーファスの意見に賛成した。森に行けないと、レオナールの部屋行きが確定だからである。
「大丈夫だ。剣も持って来た。それにこの頃警備が強化されて、うさぴょんが怯えて姿を現さない。今日なら見れるかもしれない」
「………」
「はい! 見たいです!」
「……兎より自分の事を考えてくれよ」
大賛成のティモシーだが、ランフレッドはボソッと呟き、大きなため息を漏らす。ダグは、少し眉をひそめるだけだった。
「では、行くぞ」
「はいはい」
話は決まったとルーファスが歩き出すと、仕方なしにランフレッドは彼の後ろを歩く。ティモシーは意気揚々とダグは緊張気味に後をついて行った。
四人はバルコニーの下にあるドアから広場に出て、そこから森に繋がる道に進んで行った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
668
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる