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第52話
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エルダ夫人が、悔しそうに私を睨んで来た。
そうよね。騙されたと思っても仕方がないわね。
でも、私はグルではない。
本当は、書類のカラクリに気が付いたのは昨日よ。
アンナの様子を見に行って帰って来てから、なぜ手紙に書類を肌身離さず持っていろというのか気になってよく読んでみれば、ガストン様のだけ無効ではく執行したという内容だった。
ワザと無効の書類と似せて書いただろうと思う書き方。これはプロンテヌ侯爵が訪ねて来るまで保管しろという意味だと思ったのよね。大当たりだったわ。
それにしても、ルトルン伯爵までが慌てた様子を見せるなんてね。
罰則は、罰金と以後グリンマトル伯爵家に近づかないという内容だったはず。
罰金なんて、ルトルン伯爵にしてみれば大した額ではないと思うのだけど。
「さて、二人の関係は最低でも半年前からあって、今も続いているという事だな、ガストン子息」
「そ、それは……」
「そうではない。誤解によるものだろう」
「そうですわ。学園でも二人の仲は疑われたけど、それは誤解だったとなったのよね? マスティラン子息」
エルダ夫人が、フランシスク様に同意を求めた。
そう言えば、あの時の聞き取りの内容を聞いていなかったわ。
同意を求めたという事はきっと、フランシスク様もその場に居たって事よね。アンナからエルダ夫人が聞いているのだから。
「えぇ。ウルミーシュ子爵家の馬車に似た馬車に乗る、レネット嬢と同じ髪色の女性だったという事になりました」
「そうでしょう。きっとそれが変に伝わって……」
「ですので! 似た馬車と女性を探したのです」
フランシスク様の言葉にエルダ夫人が目を見開く。
「探したって何? 学園長だって見間違いだって言ったのに!」
アンナが、フランシスク様に叫んだ。
「見間違いだったと言ったのは、パスータン子息だ。学園長は、確認をしただけ。私は、彼の言葉が真実か確認をしたのです。別におかしな事ではないでしょう?」
「なぜです? 疑いは晴れたではないですか! そこまでする必要はなかったでしょう!」
エルダ夫人が、フランシスク様に食って掛かる。
「それは、私が発端でこんな噂になったからですよ。だから、ちゃんと違うという証拠を集めておこうと思ったのです。少なくともパスータン子息は、見ているのですからね」
「そうか。あなたが調べるのは自由だ。だが、その事で役所の者にそう思わせたのではないか?」
「それってまるで、私が役所の者にそう思わせる為に調べていたように振舞っていたと聞こえますが?」
「そうだろう? まあ、何の為にとは言わないでおくが」
ルトルン伯爵が、じろりと睨みつけてフランシスク様に言った。アンナが嵌めたと思ったから仕返しに、またはガストン様を貶める為にと言いたいのかしらね。
って、そう持っていくきね!
「全然違いますね」
「なんだと?」
「私が調べたのは、レネット嬢と見間違えられた女性の方と馬車だけです。なので、ルトルン子息の話なんて持ち上がりません」
「だったらなぜ、こうなった!」
ルトルン伯爵が、ガストン様の執行書を突き付け聞く。
まるで尋問でもしているようだわ。
私は、ハラハラして見ていた。
プロンテヌ侯爵が口を挟む様子も見せない。
「そんなの役所の人が、マスティラン子息がデートしている姿を見ていたからですよ」
「な、何だと!」
フランシスク様の言葉に、ガストン様がヤバいと言う顔つきになった。役所の人の見間違いではなく本当にデートしていたのね。
エルダ夫人も反応を示したから知っていたみたいね。
「見間違いだろう」
「いや、確証は得ています」
「面通しでも行ったと言うのか!」
「ある意味そう言えるかもしれませんね。のこのこと本人達が書類を提出に来たのですから」
「な、何……」
何の事を言っているのかわかったのか、ルトルン伯爵が動揺をみせた。
「薬師の登録に本人が来たので、ルトルン子息だと確証を得られたのです。で、誓約書の存在に気付き手続きをしたという訳です」
「何が誓約書の存在に気付いただ! 報告者なのだろう!」
「ずっと思っていたのですが、その報告者ってどういう意味ですか?」
「あぁ……」
プロンテヌ侯爵が納得した様にパンと手を叩き、皆が振り返ると驚く事を言った。
「マスティラン子息は、報告者ではありませんよ」
「ですから、その報告者とは何ですか?」
フランシスク様が知らない風を装って、プロンテヌ侯爵に訪ねた。
「だから! ガストンが誓約した内容を守っているか、報告する者だ。それぞれがつけただろうが! 白々しい!」
「そんな事、誓約書に書かれていなければ、知り様もないのですが?」
真面目な顔でフランシスク様がルトルン伯爵に返す。
確かに、誓約書には書いてないわね。え? 本当に違うの?
そうよね。騙されたと思っても仕方がないわね。
でも、私はグルではない。
本当は、書類のカラクリに気が付いたのは昨日よ。
アンナの様子を見に行って帰って来てから、なぜ手紙に書類を肌身離さず持っていろというのか気になってよく読んでみれば、ガストン様のだけ無効ではく執行したという内容だった。
ワザと無効の書類と似せて書いただろうと思う書き方。これはプロンテヌ侯爵が訪ねて来るまで保管しろという意味だと思ったのよね。大当たりだったわ。
それにしても、ルトルン伯爵までが慌てた様子を見せるなんてね。
罰則は、罰金と以後グリンマトル伯爵家に近づかないという内容だったはず。
罰金なんて、ルトルン伯爵にしてみれば大した額ではないと思うのだけど。
「さて、二人の関係は最低でも半年前からあって、今も続いているという事だな、ガストン子息」
「そ、それは……」
「そうではない。誤解によるものだろう」
「そうですわ。学園でも二人の仲は疑われたけど、それは誤解だったとなったのよね? マスティラン子息」
エルダ夫人が、フランシスク様に同意を求めた。
そう言えば、あの時の聞き取りの内容を聞いていなかったわ。
同意を求めたという事はきっと、フランシスク様もその場に居たって事よね。アンナからエルダ夫人が聞いているのだから。
「えぇ。ウルミーシュ子爵家の馬車に似た馬車に乗る、レネット嬢と同じ髪色の女性だったという事になりました」
「そうでしょう。きっとそれが変に伝わって……」
「ですので! 似た馬車と女性を探したのです」
フランシスク様の言葉にエルダ夫人が目を見開く。
「探したって何? 学園長だって見間違いだって言ったのに!」
アンナが、フランシスク様に叫んだ。
「見間違いだったと言ったのは、パスータン子息だ。学園長は、確認をしただけ。私は、彼の言葉が真実か確認をしたのです。別におかしな事ではないでしょう?」
「なぜです? 疑いは晴れたではないですか! そこまでする必要はなかったでしょう!」
エルダ夫人が、フランシスク様に食って掛かる。
「それは、私が発端でこんな噂になったからですよ。だから、ちゃんと違うという証拠を集めておこうと思ったのです。少なくともパスータン子息は、見ているのですからね」
「そうか。あなたが調べるのは自由だ。だが、その事で役所の者にそう思わせたのではないか?」
「それってまるで、私が役所の者にそう思わせる為に調べていたように振舞っていたと聞こえますが?」
「そうだろう? まあ、何の為にとは言わないでおくが」
ルトルン伯爵が、じろりと睨みつけてフランシスク様に言った。アンナが嵌めたと思ったから仕返しに、またはガストン様を貶める為にと言いたいのかしらね。
って、そう持っていくきね!
「全然違いますね」
「なんだと?」
「私が調べたのは、レネット嬢と見間違えられた女性の方と馬車だけです。なので、ルトルン子息の話なんて持ち上がりません」
「だったらなぜ、こうなった!」
ルトルン伯爵が、ガストン様の執行書を突き付け聞く。
まるで尋問でもしているようだわ。
私は、ハラハラして見ていた。
プロンテヌ侯爵が口を挟む様子も見せない。
「そんなの役所の人が、マスティラン子息がデートしている姿を見ていたからですよ」
「な、何だと!」
フランシスク様の言葉に、ガストン様がヤバいと言う顔つきになった。役所の人の見間違いではなく本当にデートしていたのね。
エルダ夫人も反応を示したから知っていたみたいね。
「見間違いだろう」
「いや、確証は得ています」
「面通しでも行ったと言うのか!」
「ある意味そう言えるかもしれませんね。のこのこと本人達が書類を提出に来たのですから」
「な、何……」
何の事を言っているのかわかったのか、ルトルン伯爵が動揺をみせた。
「薬師の登録に本人が来たので、ルトルン子息だと確証を得られたのです。で、誓約書の存在に気付き手続きをしたという訳です」
「何が誓約書の存在に気付いただ! 報告者なのだろう!」
「ずっと思っていたのですが、その報告者ってどういう意味ですか?」
「あぁ……」
プロンテヌ侯爵が納得した様にパンと手を叩き、皆が振り返ると驚く事を言った。
「マスティラン子息は、報告者ではありませんよ」
「ですから、その報告者とは何ですか?」
フランシスク様が知らない風を装って、プロンテヌ侯爵に訪ねた。
「だから! ガストンが誓約した内容を守っているか、報告する者だ。それぞれがつけただろうが! 白々しい!」
「そんな事、誓約書に書かれていなければ、知り様もないのですが?」
真面目な顔でフランシスク様がルトルン伯爵に返す。
確かに、誓約書には書いてないわね。え? 本当に違うの?
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