【完結】ケーキの為にと頑張っていたらこうなりました

すみ 小桜(sumitan)

文字の大きさ
53 / 83

第53話

しおりを挟む
 何かおかしいわ。部屋自体は広くないけど、警備は部屋の外。おもてなしはないけど、ソファーに座れている。
 レオンス様も同じような待遇だといいけど。

 パタン。
 いきなり人が入って来た。
 って、ルイス様!? なんで? え、命令を下したのってガムン公爵ではなくて、彼? いやこの場合、父親ノーモノミヤ公爵か。

 慌てて私は立ち上がった。

 「そんな警戒しなくていいよ。襲ったりしないから」
 「………」

 やっぱり知っているのね。
 私をどうする気かしら。レオンス様を動かす為に、私を盾に取る気かしら。絶対にそんなの嫌!

 「わ、私を盾にしたってレオンス様は言う事なんて聞かないわよ」
 「別に。彼には興味はない」
 「え……」

 興味はないですって?
 まあ確かに彼の方がレオンス様より爵位は上だけど。ではここには何をしに来たわけ?

 「私が興味があるのは君だよ。あ、でも婚約者とかになりたいと言う訳ではないから。協力者になろうって事」
 「協力者?」
 「まずさ。これ、聞いてほしんだよね」

 少し離れていた場所にいたルイス様が近づき、目の前のテーブルに魔法アイテムを置いた。
 魔法アイテムと言っても、魔法陣がむき出しのものだけど。
 しかもこれって、闇属性のだわ!

 私が驚いて彼を見れば、ニヤリとして私を見ていた。

 「やっぱりわかるんだね。これがどういう物かもわかるかい?」

 私を試しているの?
 真ん中に、5つの魔法陣に囲まれた魔法陣があって、魔法陣の円が触れているから連携されているわよね。
 真ん中のは、音の出力? 知らない図形もチラホラ。
 闇魔法の図形は、他の属性で使われない図形が多数あるのよね。

 周りの魔法陣は、殆どが同じね。音の記憶? あぁ、一時間ずつぐらいに区切られているんだ。だから全部で五時間ほど記憶できるって事かしら。
 あ、人の声を感知したら記憶を始める様ね。

 って、もしかしてこれ、盗聴器とか!?
 この世界でこんな発想をする人がいるなんて。
 待って。なぜこんな物を私に見せるの? 何が録音されているのよ。

 「これが何かわかったみたいだね」
 「と、盗聴器?」
 「トウチョウキか。いいね。そうこれは、人の音声を記憶する魔法陣。もちろん、こんな品物出回ってなんていないよ」
 「じゃ、ガムン公爵が手配したもの?」
 「あの人が、そんな事を考えるわけないだろう。魔法陣どころか魔法すらよくわかってない人なんだから」
 「………」

 少なくともガムン公爵と手は組んでいなさそうね。
 で、一体何が録音されているのよ。

 「録音内容が知りたいようだね。聞かせてあげる」

 『君って、無属性だけど全種類の適性持ちで入学したって本当?』
 『よくご存じで』
 『でも使えるの水魔法と風魔法なんだよね。レオンスは、2属性持ちだけど、風魔法も使えたみたいだけど』
 『まあ、練習すれば少しは使えるようになりますから』
 『では君は? 最初から素質があったのだから、本当は全種類扱えるのではないの?』
 『ベビット殿下には敵いませんね。一応、全種類使えますよ。これ内緒ですよ』

 ぎゃぁ! やらかしたぁ! まさか盗聴されているなんて思わないじゃない!

 「こ、これどうする気?」
 「別にどうする気もないよ。君しだい」
 「……何に協力させたいのよ」

 まさか、これで脅されるとは思わなかったわ。
 せっかく誤魔化して、魔法博士になったのに。

 「僕の野望かな?」
 「え? 野望? まさか世界征服とか?」
 「何それ。僕にそんな事出来るわけないだろう」
 
 そうなんだ。じゃ一体なんなのよ。

 「僕の力を認めさせたいのさ」
 「力……魔法の事?」
 「そう。もうわかったよね。僕は闇魔法の属性持ちなんだ」
 「えぇ!?」
 「そこまで驚く事? 君もだろう。でも君は、それ以外も扱えたから魔法学園に通えた」
 「もしかして、闇魔法だから反対されたとか?」
 「いいや。試験は受けたさ。学力テストも通過。だが、魔力測定で落とされた。闇属性持ちは、無属性扱いでさ。闇属性以外、合格ラインを越えなかった。だから不合格になったんだ」
 「え……」

 どういう事? 闇属性は越えたのよね。

 「闇属性は、カウントされないんだ。先生もいないしね。不合格だけど、闇属性持ちに渡される書籍をもらったよ。……僕は! 魔法の勉強をしたかったんだ! ちゃんと闇属性は基準を超えたのに、闇属性だからと不合格になったんだ! そんな理不尽があるか!?」

 後半は怒鳴るようにルイス様は語る。
 余程悔しかったのでしょうね。

 「僕は、密かに闇魔法の研究をする事にした。いつか見返してやると思ってね。ねえ、知っているかい。闇魔法で、魔物を封印したんだ。凄い魔法なのに、闇属性ごとそれこそ闇に葬った」

 闇属性の魔法で魔物を封印したですって!
 まさか彼は、闇魔法で魔物を解放しようとしているのではないでしょうね。

 「魔物を解放する気?」
 「まさか。その逆だよ。魔物を消滅させる。知っているよね。エイデース帝国に滅ぼされた、ディードアウト王国があった場所に封印されているのを」

 ディードアウト王国? 知らなかった。場所は、コチラビィ王国に面したエイデース帝国の領土だと習ったけど。
 詳しいわね。本気で魔物を狩るつもりなの?
 無理よ。今より魔法が盛んだった時代にでさえ、倒せなかったのに。
 ガキンチョの野望は恐ろしい。どうすんのこれ!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

婚約者が最凶すぎて困っています

白雲八鈴
恋愛
今日は婚約者のところに連行されていました。そう、二か月は不在だと言っていましたのに、一ヶ月しか無かった私の平穏。 そして現在進行系で私は誘拐されています。嫌な予感しかしませんわ。 最凶すぎる第一皇子の婚約者と、その婚約者に振り回される子爵令嬢の私の話。 *幼少期の主人公の言葉はキツイところがあります。 *不快におもわれましたら、そのまま閉じてください。 *作者の目は節穴ですので、誤字脱字があります。 *カクヨム。小説家になろうにも投稿。

【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!

つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。 冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。 全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。 巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。

元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ
恋愛
 侯爵令嬢のアンネマリーは流行り病で生死を彷徨った際に、前世の記憶を思い出す。前世では地球の日本という国で、婚活に勤しむアラサー女子の杏奈であった自分を。  病から回復し、今まで家や家族の為に我慢し、貴族令嬢らしく過ごしてきたことがバカらしくなる。  また、自分を蔑ろにする婚約者の存在を疑問に感じる。 「あんな奴と結婚なんて無理だわー。」  無事に婚約を解消し、自分らしく生きていこうとしたところであったが、不慮の事故で亡くなってしまう。  そして、死んだはずのアンネマリーは、また違う人物にまた生まれ変わる。アンネマリーの記憶は殆ど無く、杏奈の記憶が強く残った状態で。  生まれ変わったのは、アンネマリーが亡くなってすぐ、アンネマリーの従姉妹のマリーベルとしてだった。  マリーベルはアンネマリーの記憶がほぼ無いので気付かないが、見た目だけでなく言動や所作がアンネマリーにとても似ていることで、かつての家族や親族、友人が興味を持つようになる。 「従姉妹だし、多少は似ていたっておかしくないじゃない。」  三度目の人生はどうなる⁈  まずはアンネマリー編から。 誤字脱字、お許しください。 素人のご都合主義の小説です。申し訳ありません。

【完結】勘当されたい悪役は自由に生きる

雨野
恋愛
 難病に罹り、15歳で人生を終えた私。  だが気がつくと、生前読んだ漫画の貴族で悪役に転生していた!?タイトルは忘れてしまったし、ラストまで読むことは出来なかったけど…確かこのキャラは、家を勘当され追放されたんじゃなかったっけ?  でも…手足は自由に動くし、ご飯は美味しく食べられる。すうっと深呼吸することだって出来る!!追放ったって殺される訳でもなし、貴族じゃなくなっても問題ないよね?むしろ私、庶民の生活のほうが大歓迎!!  ただ…私が転生したこのキャラ、セレスタン・ラサーニュ。悪役令息、男だったよね?どこからどう見ても女の身体なんですが。上に無いはずのモノがあり、下にあるはずのアレが無いんですが!?どうなってんのよ!!?  1話目はシリアスな感じですが、最終的にはほのぼの目指します。  ずっと病弱だったが故に、目に映る全てのものが輝いて見えるセレスタン。自分が変われば世界も変わる、私は…自由だ!!!  主人公は最初のうちは卑屈だったりしますが、次第に前向きに成長します。それまで見守っていただければと!  愛され主人公のつもりですが、逆ハーレムはありません。逆ハー風味はある。男装主人公なので、側から見るとBLカップルです。  予告なく痛々しい、残酷な描写あり。  サブタイトルに◼️が付いている話はシリアスになりがち。  小説家になろうさんでも掲載しております。そっちのほうが先行公開中。後書きなんかで、ちょいちょいネタ挟んでます。よろしければご覧ください。  こちらでは僅かに加筆&話が増えてたりします。  本編完結。番外編を順次公開していきます。  最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。 しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。 そんな時、隣国から王太子がやって来た。 王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。 すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。 アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。 そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。 アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。 そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?

雨宮羽那
恋愛
 元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。 ◇◇◇◇  名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。  自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。    運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!  なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!? ◇◇◇◇ お気に入り登録、エールありがとうございます♡ ※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。 ※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。 ※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))

この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~

柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。 家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。 そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。 というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。 けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。 そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。 ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。 それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。 そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。 一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。 これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。 他サイトでも掲載中。

処理中です...