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第37話 とまどい

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 本当に結婚って……。魔女になれって事?

 ルナードは、ふとディアルディを見た。彼も驚いた顔をしている。目が合うと困り顔になった。

 「マカリー様も無理を言いますよね。魔女と結婚なんて……」

 ディアルディは、首を横に振る。

 「違う。俺は、あなたの人生を狂わせた相手なのに、その者と結婚させるのかって事。本当にごめんなさい」

 立ち上がると、ディアルディは頭を下げて謝った。

 「やめて! マカリー様が言った通り、あなたが悪いわけじゃない!」

 「ありがとう」

 「その、あなたは、犯人が見つかって解決したらどうする気だったの?」

 「男に戻る気だった。いや、父の元へ母と一緒に帰るつもりだった。それしか、解決した後に生きて行く方法がないと思っていた」

 「そう……。じゃ、そうするといい」

 「でも俺は、今まで通りこの姿でもいいかなって思っている」

 「は?」

 「つまり、君と結婚してもいいと思っているって事。君は、神官を続けたいんだよね?」

 驚いてルナードは、うんと頷けずにいた。
 ディアルディの言う通り、ルナードには女に戻ると言う選択肢は、最初からなかった。だから結婚なんて出来ないと。
 でもディアルディは、この関係を続けようと言い出したのだ。

 「な、何の為にそんな事を続けるの? 別に恩を返そうととか、謝罪のつもりなら……」

 「違う! 結婚するなら君がいいと思ったからだ」

 「え?」

 「たぶん、戻ればすぐに結婚させられると思う。君の事が気になるんだ」

 「マカリー様はあぁ言ったけど、反対される! 魔女なんてダメだって!」

 「俺の母も魔女だ……」

 その言葉に、ルナードは信じられなくてディアルディを見上げた。彼には、魔女に対する偏見はない。それだけは、はっきりとわかった。

 「私がいいだなんて、かわってる。どうみても男でしょう」

 「そうだね。見た目はね。でも君の恋愛の対象は、男だろう?」

 「え?」

 「こんな美女に何もときめかなかっただろう?」

 「……なにそれ。私は、男にだってときめいた事はない!」

 「俺もなかった。君に出会うまでは……。考えてほしい。そして、解決した時に改めて聞くから」

 「え!?」

 顔を真っ赤にして、ディアルディは部屋を出て行った。

 「うん? 何今の? プ、プロポーズ!?」

 え~~!! 意味わかんない。こんなどこから見ても男の私のどこがいいの!

 ルナードは、混乱していた。女性に恋心を持たれた事はあったが、男に好きだと言われた事など初めてだった。

 まさか、男の私に惚れたって事ないよね? じゃないとあり得ない!!

 もうどうしたらいいか、ルナードはわからなかった。
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