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第62話 ルナードの返事

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 シーンと静まり返っている中、ルナードは静かに口を開く。

 「私は、神官として全うする気持ちには、嘘偽りはありません。今でも一緒です。そして、ディアルディさんの事を好きかと問われれば、はいという答えになります」

 「ル、ルナード……」

 返事にディアルディは、安堵した。

 「ですが、あなたの妻になる気はありません」

 「え! なぜだ!」

 「簡単な事です。あなたは、男性に戻るからです。私は、神官を続けさせてもらうよう、お願いするので無理なのです」

 その言葉に、周りがざわつく。言っている意味がわからないのだ。

 「どういう意味だ?」

 陛下が問う。

 「ディは、女の子として育てました」

 驚く事をエルドアリスの口から飛び出した。

 「な、なぜそのような……」

 「申し訳ございません、陛下。私がご提案申し上げました。陛下が孫を男として育てるとよいと申されましたので、性別を偽るとバレづらいと思い、ディアルディ様を女性として育てておりました」

 「何が、育てておりましただ! 最初から孫とくっつけるつもりでいたのだろう? 陛下の気持ちを逆手にとって!」

 「何を言われますかイグーレンさん。すぐに解決すると思ったからこその作戦でした。まさか女性の結婚適齢期まで匿うとは思っていなかったのです。それで孫と偽装婚約をさせたのです」

 「「婚約だとう!」」

 王臣達は、声を揃えて驚いた。

 「やっている事と言っている事が違うだろう!」

 ミルアビが怒鳴る。

 「いや俺達は、お互い相手が同性だと思って婚約をした」

 「は?」

 「私も男性だとは思いませんでした。口が聞けない美女でしたので……」

 「び、美女?」

 イグーレンは、あんぐりとして言った。

 「ま、まて頭がついていかないが、そこまでするのならなぜ連絡をよこさなかった! 偽装婚約などさせなくともよいではないか!」

 「男に戻すと言うので、私が提案致しました」

 「提案って……相手が性別を偽っているのを知っていたのか?」

 「いいえ。その事には誓約書には書いておりませんでしたので。ただマカリーさんが呟いたのを聞いたのです。一度ルナードにも着せてやりたかったと。女性ものの服を見てね。初めそう言う趣味でもマカリーさんが持っているのかと思いましたが……」

 「え……」

 エルドアリスの言葉に、マカリーは一瞬驚いた顔をみせた。まさかその台詞を聞いてそう思うとは思わなったからだ。

 「ですが、ディが性別を偽っている様に、孫のルナードさんも性別と偽っているのではないかと。その時やっと、マカリーさんに私達を託した本当の理由がわかりました。私の身の安全と引き換えに、彼女の人生を奪ったのだと」

 「奪ったとはまた……女として育てれば宜しかったでしょうに。陛下は、案を出されただけでしょう?」

 イグーレンの言葉にミルアビはそうだと頷いた。
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