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◇034◇リゼタの思いつき

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 はぁ……。
 僕は、ため息をついてリゼタの後ろをついて行く。そして、隣にはイラーノさん。何故か彼もついて来た。

 「おーい。リゼタ!」

 この声は、エジン!
 もっと厄介のが来た……。

 「あら、エジン」

 「酷くないか? 俺だけ置いて行くなんて!」

 「あら、約束なんてしてないでしょう?」

 「そう、だけど……」

 僕ともしてないと思うけど?
 エジンは、僕らをジロッと睨む。すると、横からため息が聞こえた。

 「彼、リゼタさんが好きみたいなんだけど、ちょっと話しただけで睨むんだよ。しかもリゼタさん、全然気づいてないし。本当に面倒な奴だよ。……あ! エジンとも知り合い?」

 愚痴を言っていたイラーノさんは、エジンもリゼタと同じ村の出身だと思い出したみたいだ。
 でもよかった同じ想いを抱く同志がいた!

 「知り合いだけど、僕も面倒だと思ってるよ。村に居た時から、あぁだから……。だから部屋割りがエジンじゃなくて、イラーノさんでよかったよ」

 「そりゃ大変だっただろうね。彼女、君の事を気に入っているみたいだし」

 「もうほっといてほしいよ。リゼタがからむからエジンに睨まれる!」

 「あら、もう仲良くなったようね!」

 僕達は、ビクッと肩を震わせた。リゼタは、気が付いたら僕達の横に来ていた。話は聞かれてなかったみたいだけど、心臓に悪い。

 「先にお昼食べる事にしたわよ」

 そう言って立ち止まった所は、昨日と同じ店の『どっかり亭』だ!

 「えっと、僕はお腹空いてないから……」

 「そう? じゃ街の中見て回ってからにする?」

 「え? いや、皆食べなよ」

 「君、マジでお金ないの?」

 驚いてイラーノさんが言った。
 やっぱり信じていなかったか。

 「お前、マジかよ」

 「仕方がないわね。おごってあげるわ」

 「リゼタ。甘やかせ過ぎだって! もうこいつは、冒険者だぜ! 自分で稼がないと!」

 エジンが思いっきり抗議する!
 もう面倒だから明日の朝食まで、部屋で寝てたい。

 「それもそうね」

 って、珍しくリゼタが折れた?
 ポンとリゼタが僕の肩に手を乗せる。

 「じゃ、私が仕事の請け負い方教えてあげるから一緒にやってみましょう!」

 何を言い出すかと思えば、突拍子もない事を言い出した!
 それは明日、新人教育のナットスさんから教わる事になっているから!

 「いや、確かにそう言ったけど、勝手にそれは……」

 「何よ。じゃ、意地悪で言ったの?」

 「え!? まさか!」

 いや意地悪で言ったんだよな?

 「じゃ、行くわよ!」

 とリゼタは、僕の腕を掴んで、ギルドに戻ろうとする。

 「ちょっと、待って! エジンの言う通り僕もそれはまずいと思うんだけど!」

 「大丈夫! 責任は私がとるから!」

 「リゼタさん、本気だったんだ……はぁ」

 イラーノさんの大きなため息が聞こえた。

 「よし、俺もサポートする!」

 エジンもリゼタに合わせてしまって……覚えていろよエジン!
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