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◆033◆ルームメイトのイラーノ
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冒険者ギルドの建物の二階と三階にある初心者用の宿舎は、二人部屋だった。聞いた時は、エジンと同じ部屋だったらどうしようかと思ったが違った。
ホッと胸を撫で下ろす。
僕の部屋は、三階だった。
三階にはギルドマスターとサブマスター、それと女性の部屋もあった。
僕が三階なのは、二階が全部埋まっているから。
部屋の割り当てを教えてもらった時に、サブマスターがダイドさんだと知った。
やっぱり怪しい。偉い二人だけで、昨日は森を探索していた。
今日は、村まで来た。
今日から寝泊りする部屋には、ルームメイトがいた。
僕は扉をノックする。部屋から返事があり、扉が開いた。
部屋の中にいたのは、一瞬女性かと思う様な顔つきで、肩より長い銀の髪を縛りもせず下ろしている男だった。
年齢は、たぶん僕より二つ三つ年上だと思う。
「あ、えっと……クテュールです」
「あぁ、君が新しい冒険者? 入りなよ。君の部屋でもあるんだから」
「はい……」
言われるまま部屋に入った。
部屋は、正面に窓、左手に二段ベット、右手に机が並んで設置してある。
「俺はイラーノ。宜しくな。で、俺は下のベット使ってるから上使ってくれる?」
「うん……。宜しく」
ベットを指差し、イラーノさんは言った。
見た目より、さばさばしている。
「何か、年季が入ったリュックだね?」
僕がリュックを下ろすとそう言った。
父さんのお古だから年季は入ってるけど、僕が使ったのは初めてだ。
「うん。父さんにもらったやつ」
「へえ。普通、門出を祝って新しいの買ってくれ……あ、ごめん」
「いや、いい」
たぶん。父さんが亡くなっているんだと気が付いたのではなく、貧乏なんだぁって言った事になると思ったんだろう。
まあ間違ってはいないからいいけど。
そうだ! だったら!
「あのさ。ここってご飯ついてる?」
「ごはん? 朝食ならね。パンだけど支給される」
「よかったぁ。僕、馬車で来たらお金なくなっちゃって……。今日はお金がないから、寝るだけだ」
はぁっと、ため息なんかついたりして。
「………」
あからさま過ぎたかな?
トントントン。
扉をノックする音に、僕達はビクッとした。
「クテュール。街案内してあげる! 開けるわよ」
この声は、リゼタだ!
あぁ、もう! もう少しで、ご飯をたかれるところだったのに!
って、返事も返してないのにリゼタはがばっと開けた。
「こんにちは。イラーノ。クテュール連れて行くわね」
「え? 知り合い?」
「うん。同じ村の出身なの。もうこの子びびりで困っちゃうんだけど、そこがまた構いたくなるというか、母性本能をくすぐるというか」
「ちょと! 何言ってるのさ!」
変な印象を与えないでほしいんだけど!
僕がイラーノさんを見ると、なるほどと頷いて僕を見ていた。
あぁ、僕はびびりくんとしてインプットされたようだ!
ホッと胸を撫で下ろす。
僕の部屋は、三階だった。
三階にはギルドマスターとサブマスター、それと女性の部屋もあった。
僕が三階なのは、二階が全部埋まっているから。
部屋の割り当てを教えてもらった時に、サブマスターがダイドさんだと知った。
やっぱり怪しい。偉い二人だけで、昨日は森を探索していた。
今日は、村まで来た。
今日から寝泊りする部屋には、ルームメイトがいた。
僕は扉をノックする。部屋から返事があり、扉が開いた。
部屋の中にいたのは、一瞬女性かと思う様な顔つきで、肩より長い銀の髪を縛りもせず下ろしている男だった。
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「あ、えっと……クテュールです」
「あぁ、君が新しい冒険者? 入りなよ。君の部屋でもあるんだから」
「はい……」
言われるまま部屋に入った。
部屋は、正面に窓、左手に二段ベット、右手に机が並んで設置してある。
「俺はイラーノ。宜しくな。で、俺は下のベット使ってるから上使ってくれる?」
「うん……。宜しく」
ベットを指差し、イラーノさんは言った。
見た目より、さばさばしている。
「何か、年季が入ったリュックだね?」
僕がリュックを下ろすとそう言った。
父さんのお古だから年季は入ってるけど、僕が使ったのは初めてだ。
「うん。父さんにもらったやつ」
「へえ。普通、門出を祝って新しいの買ってくれ……あ、ごめん」
「いや、いい」
たぶん。父さんが亡くなっているんだと気が付いたのではなく、貧乏なんだぁって言った事になると思ったんだろう。
まあ間違ってはいないからいいけど。
そうだ! だったら!
「あのさ。ここってご飯ついてる?」
「ごはん? 朝食ならね。パンだけど支給される」
「よかったぁ。僕、馬車で来たらお金なくなっちゃって……。今日はお金がないから、寝るだけだ」
はぁっと、ため息なんかついたりして。
「………」
あからさま過ぎたかな?
トントントン。
扉をノックする音に、僕達はビクッとした。
「クテュール。街案内してあげる! 開けるわよ」
この声は、リゼタだ!
あぁ、もう! もう少しで、ご飯をたかれるところだったのに!
って、返事も返してないのにリゼタはがばっと開けた。
「こんにちは。イラーノ。クテュール連れて行くわね」
「え? 知り合い?」
「うん。同じ村の出身なの。もうこの子びびりで困っちゃうんだけど、そこがまた構いたくなるというか、母性本能をくすぐるというか」
「ちょと! 何言ってるのさ!」
変な印象を与えないでほしいんだけど!
僕がイラーノさんを見ると、なるほどと頷いて僕を見ていた。
あぁ、僕はびびりくんとしてインプットされたようだ!
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