138 / 245
◆135◆善意か悪意か
しおりを挟む
はぁ……。
膝を抱えさっきから隣に座るイラーノがため息ばかりしている。
僕達は、話を聞いてから青い鳥に宿をとった。今日は、照明ありの部屋。
窓があるかと思ったけどなかった。部屋の奥にランプが置いてあるだけ。
「あ、あのさ。明日は怪我人来るかもよ?」
「来ないよ。戦争や狂暴なモンスターがいる所じゃないと、ヒールを使う事なんてないよ」
「あ、じゃ、違う仕事探してみる?」
「……俺に何が出来るんだ」
何がって僕に聞かれても。
「今までしていた仕事をこっちでも探せばいいんじゃない?」
「それこそ無理だよ。お父さんの口利きで、病院の仕事をさせてもらっていたから。勿論治療じゃなくて、色々お手伝いね。それで治癒が必要な時だけしていた。けどヒールをしたのって、ほとんどない」
知らなかった。
ロドリゴさんって、身内に甘かったんだ。
「君が羨ましいよ」
「え!?」
そんな事言われたの初めてだ!
「あのさ。暫くは、自分が出来る仕事探してみたら? 僕達パーティー組んでいるんだし、イラーノの分は暫く僕が払えばいいからさ」
「出来ても稼げないかもしれないよ? お金返せないかもしれない」
「貸すとかそういうのじゃなくて、協力しあおうって事」
「ありがとう。俺、年上なのに頼りないよね……」
何か泣きそうな顔をして言われると、僕が悪いんじゃないかって気になるんだけど。
「そんな事ないよ。信頼してるから」
「うん。頑張るね」
イラーノは、リゼタよりずっと信頼できる。
信頼と言えば、あのタリューグさんは信頼できる人なんだろうか?
「ねえイラーノ。タリューグさんって信用していいのかな?」
「え? 何突然。いい人ぽかったけど」
「うん。ほら、ムダマンスはさ……」
「え? 誰?」
「誰って、僕達を殺そうとしたテイマーの人!」
「あぁ。あの人」
「名前、知らなかったの?」
「全く知らない人だよ。あの日知った」
え? 僕より長く街にいたのに知らなかったの?
「ミーレンの事は?」
「うーん。見た事はあるけど話した事はなかったよ。あのさ。俺、冒険者だけど剣士じゃないから剣士が受ける仕事を受けたりしないし、だから冒険者でも接点がなければ知らない人の方が多いよ」
そう言えばそうかも。
ミーレンは、僕達の護衛に着いて来たから知り合った。それがなければ、知らないままだったのかもしれない。
ムダマンスだって、ミーレンが紹介するって言って顔を合わせたんだった。
商人ならなおさら会う機会なんてないか。
「で? その人がどうしたの?」
「うん? あ、そうそう。ムダマンス達は、僕がテイマーだと知っていて近づいたんだ。だからさ……タリューグさんも何か裏があって近づいているんじゃないかって思って」
「なるほどね。うーん。クテュールに近づくメリットねぇ……。タリューグさんは、クテュールがテイマーだと知らないし、知って近づいたとしても君を嵌める為じゃないと思うけど?」
「確かに知っている訳ないか」
「まあ、鑑定で確認したんだとしたら知っているかもしれないけどね」
「え!? あの人鑑定持ちなの? 何でわかったの?」
「あのね。商人ギルドで働いている人だよ。そこで働くなら鑑定持ってるでしょ普通は」
そういうもんなのか。
鑑定の存在忘れてた。
メインジョブを剣士にしても鑑定されれば、眷属がいるのがばれるからテイマーだと知られちゃうんだ!
「だ、大丈夫かな?」
「いやいや。してないと思うよ。君をテイマーだと思っていたらもっと違うリアクションだと思う。国に一人いるかいないかなんでしょ? 商人ギルドで働けるぐらいだから、鑑定のスキルのレベルは高いと思うよ。だから、人の鑑定はそうそうしないと思うけど」
「そう言えば、高いと逆に色々見えすぎて魔力が凄く消費するんだっけ?」
うんうんとイラーノは頷く。
「俺もそうなんだよね。怪我の程度が違っても魔力の消費は同じ」
「そうなんだ。なるほどね。取りあえず、タリューグさんは善意でって事か」
「まあ下心はあるけど、自分でありますって言ってるからね。そこまで警戒しなくていいんじゃないかな」
「でも何で、言ったんだろう」
「君が単純そうに見えたからかもね。恩を売れば、それに応えてくれると思ったんじゃない?」
「……な、なるほど」
確かに、ムダマンスと出会ってなければ、何も疑わず専属になったりしていたかもね。
膝を抱えさっきから隣に座るイラーノがため息ばかりしている。
僕達は、話を聞いてから青い鳥に宿をとった。今日は、照明ありの部屋。
窓があるかと思ったけどなかった。部屋の奥にランプが置いてあるだけ。
「あ、あのさ。明日は怪我人来るかもよ?」
「来ないよ。戦争や狂暴なモンスターがいる所じゃないと、ヒールを使う事なんてないよ」
「あ、じゃ、違う仕事探してみる?」
「……俺に何が出来るんだ」
何がって僕に聞かれても。
「今までしていた仕事をこっちでも探せばいいんじゃない?」
「それこそ無理だよ。お父さんの口利きで、病院の仕事をさせてもらっていたから。勿論治療じゃなくて、色々お手伝いね。それで治癒が必要な時だけしていた。けどヒールをしたのって、ほとんどない」
知らなかった。
ロドリゴさんって、身内に甘かったんだ。
「君が羨ましいよ」
「え!?」
そんな事言われたの初めてだ!
「あのさ。暫くは、自分が出来る仕事探してみたら? 僕達パーティー組んでいるんだし、イラーノの分は暫く僕が払えばいいからさ」
「出来ても稼げないかもしれないよ? お金返せないかもしれない」
「貸すとかそういうのじゃなくて、協力しあおうって事」
「ありがとう。俺、年上なのに頼りないよね……」
何か泣きそうな顔をして言われると、僕が悪いんじゃないかって気になるんだけど。
「そんな事ないよ。信頼してるから」
「うん。頑張るね」
イラーノは、リゼタよりずっと信頼できる。
信頼と言えば、あのタリューグさんは信頼できる人なんだろうか?
「ねえイラーノ。タリューグさんって信用していいのかな?」
「え? 何突然。いい人ぽかったけど」
「うん。ほら、ムダマンスはさ……」
「え? 誰?」
「誰って、僕達を殺そうとしたテイマーの人!」
「あぁ。あの人」
「名前、知らなかったの?」
「全く知らない人だよ。あの日知った」
え? 僕より長く街にいたのに知らなかったの?
「ミーレンの事は?」
「うーん。見た事はあるけど話した事はなかったよ。あのさ。俺、冒険者だけど剣士じゃないから剣士が受ける仕事を受けたりしないし、だから冒険者でも接点がなければ知らない人の方が多いよ」
そう言えばそうかも。
ミーレンは、僕達の護衛に着いて来たから知り合った。それがなければ、知らないままだったのかもしれない。
ムダマンスだって、ミーレンが紹介するって言って顔を合わせたんだった。
商人ならなおさら会う機会なんてないか。
「で? その人がどうしたの?」
「うん? あ、そうそう。ムダマンス達は、僕がテイマーだと知っていて近づいたんだ。だからさ……タリューグさんも何か裏があって近づいているんじゃないかって思って」
「なるほどね。うーん。クテュールに近づくメリットねぇ……。タリューグさんは、クテュールがテイマーだと知らないし、知って近づいたとしても君を嵌める為じゃないと思うけど?」
「確かに知っている訳ないか」
「まあ、鑑定で確認したんだとしたら知っているかもしれないけどね」
「え!? あの人鑑定持ちなの? 何でわかったの?」
「あのね。商人ギルドで働いている人だよ。そこで働くなら鑑定持ってるでしょ普通は」
そういうもんなのか。
鑑定の存在忘れてた。
メインジョブを剣士にしても鑑定されれば、眷属がいるのがばれるからテイマーだと知られちゃうんだ!
「だ、大丈夫かな?」
「いやいや。してないと思うよ。君をテイマーだと思っていたらもっと違うリアクションだと思う。国に一人いるかいないかなんでしょ? 商人ギルドで働けるぐらいだから、鑑定のスキルのレベルは高いと思うよ。だから、人の鑑定はそうそうしないと思うけど」
「そう言えば、高いと逆に色々見えすぎて魔力が凄く消費するんだっけ?」
うんうんとイラーノは頷く。
「俺もそうなんだよね。怪我の程度が違っても魔力の消費は同じ」
「そうなんだ。なるほどね。取りあえず、タリューグさんは善意でって事か」
「まあ下心はあるけど、自分でありますって言ってるからね。そこまで警戒しなくていいんじゃないかな」
「でも何で、言ったんだろう」
「君が単純そうに見えたからかもね。恩を売れば、それに応えてくれると思ったんじゃない?」
「……な、なるほど」
確かに、ムダマンスと出会ってなければ、何も疑わず専属になったりしていたかもね。
1
あなたにおすすめの小説
荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。
しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。
しかし――
彼が切り捨てた仲間こそが、
実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。
事実に気づいた時にはもう遅い。
道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。
“荷物持ちがいなくなった瞬間”から、
アレクスの日常は静かに崩壊していく。
短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。
そんな彼と再び肩を並べることになったのは――
美しいのに中二が暴走する魔法使い
ノー天気で鈍感な僧侶
そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー
かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。
自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。
これは、
“間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる”
再生の物語である。
《小説家になろうにも投稿しています》
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
レンタル従魔始めました!
よっしぃ
ファンタジー
「従魔のレンタルはじめました!」
僕の名前はロキュス・エルメリンス。10歳の時に教会で祝福を受け、【テイム】と言うスキルを得ました。
そのまま【テイマー】と言うジョブに。
最初の内はテイムできる魔物・魔獣は1体のみ。
それも比較的無害と言われる小さなスライム(大きなスライムは凶悪過ぎてSランク指定)ぐらいしかテイムできず、レベルの低いうちは、役立たずランキングで常に一桁の常連のジョブです。
そんな僕がどうやって従魔のレンタルを始めたか、ですか?
そのうち分かりますよ、そのうち・・・・
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜
長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。
コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。
ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。
実際の所、そこは異世界だった。
勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。
奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。
特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。
実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。
主人公 高校2年 高遠 奏 呼び名 カナデっち。奏。
クラスメイトのギャル 水木 紗耶香 呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。
主人公の幼馴染 片桐 浩太 呼び名 コウタ コータ君
(なろうでも別名義で公開)
タイトル微妙に変更しました。
貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~
みちのあかり
ファンタジー
同じゼミに通う王子から、ありえないプロポーズを受ける貧乏奨学生のレイシア。
何でこんなことに? レイシアは今までの生き方を振り返り始めた。
第一部(領地でスローライフ)
5歳の誕生日。お父様とお母様にお祝いされ、教会で祝福を受ける。教会で孤児と一緒に勉強をはじめるレイシアは、その才能が開花し非常に優秀に育っていく。お母様が里帰り出産。生まれてくる弟のために、料理やメイド仕事を覚えようと必死に頑張るレイシア。
お母様も戻り、家族で幸せな生活を送るレイシア。
しかし、未曽有の災害が起こり、領地は借金を負うことに。
貧乏でも明るく生きるレイシアの、ハートフルコメディ。
第二部(学園無双)
貧乏なため、奨学生として貴族が通う学園に入学したレイシア。
貴族としての進学は奨学生では無理? 平民に落ちても生きていけるコースを選ぶ。
だが、様々な思惑により貴族のコースも受けなければいけないレイシア。お金持ちの貴族の女子には嫌われ相手にされない。
そんなことは気にもせず、お金儲け、特許取得を目指すレイシア。
ところが、いきなり王子からプロポーズを受け・・・
学園無双の痛快コメディ
カクヨムで240万PV頂いています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる