【完結】モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!

すみ 小桜(sumitan)

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◇228◇確証

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 ジッとルイユを見つめていたロドリゴさんが、剣を抜いた!
 一瞬の出来事で、僕達は声を発する事さえできなくて、剣はルイユの首筋に当てられている。
 ルイユも驚いた顔をして、ロドリゴさんを見つめていた。

 「何故一緒に死ぬはずのお前が生きている? 何を企む?」

 「ちょ……お父さん待って……」

 「黙っていろ!」

 僕達は、ごくりと唾を飲み込む。

 「何も企んでいません。主様にお願いしたのですが、して頂けなかったのです」

 「クテュールに?」

 「魔女を剣に封印して、僕がその剣でルイユにとどめを刺さなければいけなかったんだ。でも僕は、ルイユを殺す事なんて出来なくて……」

 「剣? 今持っている剣は、私があげた剣に見えるが? それか?」

 ロドリゴさんの質問に僕は、違うと首を横に振る。

 「コーリゼさんに預けてある」

 「何!?」

 僕の返答に、ロドリゴさんは凄く驚いた。

 「お前達はバカか! 騙されている!」

 「違う! 本当だから!」

 「俺も魔女が消滅したのを見た!」

 「よく考えろよ。クテュールは、テイマーでありながらモンスターを友達だと言った。その友達を殺せるか? 殺せないのをわかって言ったんだろう! 魔女の話もどこまで本当かわからないな!」

 ロドリゴさんが、全く信じてくれないなんて!
 あのアベガルさんは信じたのに!

 「コーリゼとグルだろう?」

 「お父さん、それは絶対にないよ! 魔女にコーリゼさんの妹が乗っ取られて……死んだんだ」

 「そう口裏を合わせていると言っているんだ」

 必死に説得するイラーノを見ずに、ルイユを睨み付けロドリゴさんはそう答えた。
 ダメだ。全然信用していない!

 「いいか、イラーノ。見た事実と真実は違う事もあるんだ。そう思う様に策を巡らせる事でな」

 もしかしてロドリゴさんは……。

 「僕の父さんの時の事を言っているの?」

 「……そうだな。あの時、あの男が商人だと知っていれば、他の者にも鑑定させただろう。だが普通は、商人があんな所にまで来ないし剣も下げていない。だから冒険者だと思っていた。真実を知った時私は、自分を呪ったよ! お前達には、そんな思いをさせたくない!」

 やっぱり!
 モンスターのルイユが、自分を差し出してまでって思ったんだ。

 「主様。彼には理解は無理の様です」

 「あぁ。今すぐにこの街から出て行け! そして二度と二人に近づくな! それと、その姿にも二度となるな!」

 「待って! コーリゼさんは嘘なんかついていない! そうアベガルさんも思ったから……」

 「お前達は、どうしてそう素直なんだ! あの男がそうすんなり信じると思うか? 何か考えがあるんだろう。反対して追うより手なずける。そう言う男だろう」

 ロドリゴさんの言っている事は正しいかもしれない。
 信じたフリして泳がせる。
 アベガルさんは、今までそうして来た。だから今回もそうかもしれない。
 けど……ロドリゴさんには信じて欲しい。

 「確証はあるのか? 本当に魔女がいたという確証。その剣に封印されたという確証。ルイユが言った話が作り話ではないという確証! どれ一つもないだろう!」

 「あるよ! コーリゼさんは、魔女の封印を守っている村に住んでいた人なんだ! 10年前、男だと偽って冒険者になった!」

 イラーノが、そう反論する。

 「魔女の件は、違う騎士団の人が調べに行ったよ。だから魔女の話が嘘だったらそれでわかる。それに、コーリゼさんが女性だった事も本当で、10年前から偽っていたのも本当だから」

 「イラーノ。それが本当だとしても、魔女の話を利用したのかもしれない」

 「もういいですイラーノ。仕方がありません。アベガルが言ったように、あの場を見ていないと信じられないのでしょう。ですが証明する方法が一つあります。主様に、私を殺してもらう事です」

 「え……。それはしないって言ったよね!」

 「別にそんな手間いらないだろう? 私が殺してやる!」

 「ダメ!」

 僕は、ルイユの前に出た。

 「確証はあるから……」

 「あるだと?」

 僕は頷く。

 「ルイユと一緒に魔女を封印したエルフの声を僕は聞いているんだ。僕に運命を授けると言っていた。あの時は何の事かわからなかったけど、チュトラリーとしての運命だった。それを受け入れたから僕は、生きている……」

 それを聞いた全員が驚いた。

 「それは、本当ですか?」

 ルイユの問いかけに僕は頷く。

 「だからケアリーヌさんは、女性かと聞いたんだ。僕が聞いた声は女性だったから。だから魔女の話もチュトラリーの話も信じたんだ!」

 僕は、ジッとロドリゴさんを見つめる。
 ロドリゴさんも僕を見つめていた。
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