【完結】モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!

すみ 小桜(sumitan)

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◆229◆誰も悪くない

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 ロドリゴさんが、僕を睨み付けている。気迫負けしそうだけど、ここで踏ん張って信じてもらわないと!

 「それはいつの事だ?」

 「崖から落ちた時だよ。死にたくなかったから運命を受け入れた。母さんを独りぼっちにしたくなかった。ルイユに会う前の話だし、キュイが一番最初の友達だよ」

 「……で、魔女はどうする気だ? ルイユを殺さないと倒せないって事なんだろう?」

 「それを探す旅に出る」

 「な、何を言っているんだ!」

 「主様。彼に何を言っても無駄の様です。ですが、主様に殺されなければ殺される意味がありません」

 「ルイユ……僕は、絶対にしない!」

 「何故です? あなたは、ロドリゴの信頼より私の命をとるのですか?」

 「僕はもう誰も殺したくない! 僕はこの手で……」

 ミューラちゃんを殺した――。
 そう思うと急に怖くなってきた。この三か月、考えないようにしていた事だ!

 「ううう……」

 「ちょっと、クテュール! しっかりして! 違う! 違うから! あれは魔女!」

 泣き出した僕をイラーノは抱きしめる。

 「何の話をしている? クテュール……ひ、人を殺めたのか?」

 「やめて! お父さん! 違うから!」

 「まさかと思うが、コーリゼの妹を刺して封印したのか? その子を殺して?」

 「だから……それは……」

 「彼女が魔女の封印を10年前に解き、魔女に体を乗っ取られその時点で死んでいたのです。ですが、魔女は自分の魔力でその体を維持していた。彼女の体を刺しましたが、彼女は元から死んでいたのです」

 「何を言っている! その子が本当に死んでいたかなんてわからないだろう! その場にアベガルさんは、いなかったのか!?」

 ルイユが説明したけど、ロドリゴさんはその話を信じていないみたい。
 けど、そうだとわかっている僕でさえ、それでよかったのか疑問が出て来るんだから当然かもしれない……。

 「いたよ! だから信じてくれたんじゃないか!」

 「止めなかったのか? コーリゼは? その場には……」

 「おりましたよ。躊躇する主様と一緒に彼女を刺しました」

 「正気か? 自分の妹を? 本当に妹だったのか?」

 「じゃ聞けばいい! コーリゼさんに妹を殺したのかって! そうしたらきっと、クテュールのようになるよ! 俺は見たんだ! 小さな少女が、ルイユとやり合っているのを! ううん。俺達が来て隙が出来たルイユを刺した。本当はあの時、ルイユは死んでいた。それが普通の人間の少女だって言うの?」

 「何を言っているんだ。ルイユはぴんぴんしてるじゃないか!」

 「クテュールがルイユを助けたからだよ……」

 ロドリゴさんは、剣を下ろし鞘に納める。
 そして、突然何故か僕を抱きしめてきた。

 「もういい。わかった。君一人が背負うモノじゃない。ルイユを殺すのは、次のチュトラリーに任せればいい」

 「え……」

 でも、それじゃルイユを助けられない。

 「やっと信じる気になりましたか……」

 「冗談じゃない! 変な事に二人を巻き込むな! 冒険者になるのさえ嫌がっていたクテュールが、魔女を封印だと? 許さないからな! お前も魔女を封印したエルフも!」

 ロドリゴさんの言葉にルイユは何も返せなかった。

 「ごめんなさい……」

 そう謝ったのは、イラーノだ。
 驚いて僕達は、振り向いた。
 俯いたイラーノから水滴がぽたんと落ちた。泣いている? なんで?

 「俺さえ生まれなければ、クテュールがチュトラリーになる事もなくて、きっと魔女も倒せていた……」

 「な、何を言っているんだ?」

 イラーノの言った意味がわからず、ロドリゴさんは呟いた。

 「さきほど話した事情です。イラーノの本当の父親のジュダーノがチュトラリーになるはずだったのです。ですがチュトラリーになるより、愛する人をとった。チュトラリーになる条件に子孫を作ってはならないとあり、彼はチュトラリーを放棄する為にイラーノを宿したのです」

 「な……」

 ルイユの話に、今度はロドリゴさんが何も返せないでいる。

 「一体どんな基準でチュトラリーを選んでいる! 別に放棄したからと言ってもクテュールでなくてもいいだろう? しかも彼は人間だ! なぜこうなった!」

 「詳しくはわかりませんが、チュトラリーになる素質のある者を選んでいるはずです。今回、放棄と言う前代未聞の事で、エルフの中にいなかったのではないでしょうか? クテュールは人間ですが、私が知っている主様の中で、一番モンスターと心を通わせていると思います」

 ロドリゴさんは、今度はそっとイラーノを抱きしめた。

 「イラーノ、君には何も責任なんてないからな。お前達に私がいる」

 そう言って、一緒に僕も抱きしめてくれた。
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