君の(魔法使いの)ナイトになりたくて

すみ 小桜(sumitan)

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23浮いてみよう

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 「ではまず手を繋ごうか」

 おじいちゃんはそう言って、ハル君とカナ君に手を出した。二人はそれぞれ手を握ると、ハル君は私とカナ君はマリアさんと繋ぎ、そして私とマリアさんが手を繋いで円になった。

 「ところでさ、何で本の中?」
 「うん? 精霊の本とはいわば魔力の塊が本になったようなもの。私の世界では本の中で作業を行う。ここでは時間の流れが違う。それに魔法は想いだが、それだけでは使えない。魔力が必要だ。しかし地球は極端に魔力が少ない。そこで魔力が豊富で時間を気にせずに行える本の中にしたってわけさ」

 なるほど。ここは魔力で満ちているのね。って、本の中なのに凄い。おじいちゃんの世界では、これが普通みたいだけど……。

 「ねえ、おじいちゃんの世界では本でどんな事するの?」

 ハル君も興味があるようで聞いた。いや、他の二人も興味津々で答えを待っていた。

 「どんな事にでもだが、極端な事を言えば牢屋みたいな使い方もある」
 「え? 魔法の牢獄!」
 「と言っても地球とは違っても罰を与える為に入れるのではなく、更生させる為だ。私の世界では警察みたいな組織もないし、そもそも地球とは考え方も違うからな」

 へ~っと、私達は手をつないだまま頷いた。

 「そうそう。私の世界では火は本の中で使わなくてはいけない事になっている。火事になったら大変だからな」
 「じゃ、火を使っただけで逮捕されちゃんだ」
 「逮捕か。そういうシステムはないが。まあ本の中で反省はあるかもな」

 私の言葉に笑いながらおじいちゃんは答えた。
 そうだった。警察組織みたいのはなかったんだった。それでも平和が保たれるなんて凄い世界だな~。

 「さて、始めるか」

 おじいちゃんがそう言って私達は頷いた。

 「では、浮きたいと願いイメージする」

 私達は真剣な顔で頷き、イメージする。
 宙に浮く……宙に浮く……でも、落ちないよね?
 ギュッと目を瞑っていたけど、目を開けて皆を見てみると、三人も目を瞑っていた。全然浮く気配はない。

 「う~ん。おじいちゃん。全然浮かないけど?」
 「そうか。受けないのはお前達は途中で落ちるかもという恐怖を持っているからだろう。まずは自分を信じ魔法を信じる事だな。今回は私が助けるから、手を繋いでいる限り落ちはしない。安心してチャレンジしてみるといいだろう」
 「もう、そういうのは先に言ってよ」
 「そうだ。もう、おじいちゃんはいつもそうだ」

 ハル君とカナ君がブーブーとおじいちゃんに文句を言っている。何となく小学生の頃を思い出す。

 「なんだよ……」

 私がクスッと笑ったものだからカナ君がちょっとムッとして言ってきた。

 「あ、ごめん。カナ君の事を笑ったんじゃないよ。小学生の頃に戻ったみたいで楽しくなって……」
 「小学生かぁ。その頃ならきっと怖いなんて思わず浮けていたかもね」

 ハル君も笑ってそう言った。
 皆顔を見合わせほほ笑む。何となく緊張がほぐれた感じ。

 「よし! やるぞう!」

 カナ君の掛け声に私達は頷いた。
 怖くない、怖くない。皆がいる。一緒に浮きたい!
 フッと軽くなる感じがした。見れば地上から足が離れている!

 「浮いてる!」
 「不思議。下に引っ張られる感じがない!」

 私が叫ぶと、ハル君も頷いて言った。

 「そのままもっと上に。大丈夫お前達なら出来る!」

 おじいちゃんの言葉に、どんどん上に上って行く。風も少し強く鳴るも恐怖感はない。
 草原と青空しかない世界。青と緑のコントラストが綺麗。これ、おじいちゃんが住んでいた世界の風景に似せているのかな?

 「目を閉じて……」

 おじいちゃんがそう言ったので私達は素直に目を瞑った。そうすると、召喚された時の様に光を感じた――。
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