君の(魔法使いの)ナイトになりたくて

すみ 小桜(sumitan)

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29危機一髪2

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 私は驚いて叫んでしまった! 迷子どころの話じゃなかった! 迷子じゃなくても帰れないかもしれなかった!
 あ、でもパートナーがいるよね? 非協力的?

 「あの、あの訪問者のお兄さんにパートナーがいるみたいだけど?」

 私は質問してみた。もしかして移動って凄い魔力使うとかかな? と思ったりもしたりして……。

 「知らないのですか? この場所には魔力が存在しないのです! そして今、私の魔力がつきました!」

 知りませんでした! って、空も飛べない魔法使いが知っていると思いますか!! しかも魔力切れ宣告!! どうするのよ! おじいちゃん助けて!

 「どうしよう。マリアさん……」
 「どうしましょう……」

 これなら本に閉じ込められた方がましだったかも!!

 「出口が見えた! シュトルさん大丈夫か?」

 訪問者のお兄さんはシュトルちゃんにそう話しかけると、シュトルちゃんは頷いた。って、もしかして今、私達はシュトルちゃんに運ばれているの?
 頑張れ! シュトルちゃん!
 心で応援していると突然強く引っ張られるような感覚に捕らわれ、気が付けば体を地面に打ち付けていた!
 どうやら私達は何とか地球に戻ってきたみたい。

 「いたたたた……」

 腰を打ち、擦りながら体を起こし横を見ると、マリアさんが片膝を立てそこに佇んでいた。

 「結構、着地するのは難しいですわね」

 まさか、転ばず着地したのですか? 凄い反射神経ですね……。

 「もうだめかと思いました……」

 アメリアさんも腰を擦りながら起き上がる。これが普通だよね?!

 「シュトルさん! しっかりしろ!」

 訪問者のお兄さんの叫び声が聞こえ振り向けば、彼は四つん這いになっていた。その彼の目線の先にはシュトルちゃんがぐったりと地面に横たわっていた。

 「え? 精霊って魔力が切れると弱るの?」
 「弱るどころか消滅します!」
 「なんですって!」

 私の呟きにアメリアさんが返した答えは驚きの内容だった! 消滅――つまり人間に例えるなら死という事だよね?

 「無理を承知でお願いだ! 精霊の玉を分けてくれないか? 虫がいいのはわかっている。シュトルさんが……」

 私達に振り返ると訪問者のお兄さんは、懇願するように訴えて来た。あったらあげたいところだけど、私達は持っていない。

 「元々持って来ていないわ」

 アメリアさんは、そう答えた。彼女も持ち合わせていなかった。その回答を聞き、訪問者のお兄さんは項垂れる。
 どうしたら……。そうだ。アスファルトの上だと魔力がこない。すぐそこの公園に運べば……。

 「公園! ほら私達が出会った公園に行けば、少しぐらいは魔力が出てきてるかも!」
 「シュトルさんは、もう限界みたいで動けないんだ……」

 私が提案するも項垂れたままそう答えた。

 「では、連れて行って差し上げたら宜しいですわ」
 「知らないのですか? 精霊には直接私達人間は触れられないのですよ!」
 「なんですって! 精霊魂だけではなく精霊もなのですか!」
 「え? そうなの?!」

 私達はアメリアさんの返答にまた驚かされる。これはもうどうしようもない。後はおじいちゃんが戻って来るまで、シュトルさんが持ってくれるのを願うしかない。

 『リ……リアムさんが見える』

 そうそう向こうの世界ではリアム……え?
 声の主は、シュトルちゃんだった。振り返れば、彼女の上に手が差し伸べられているように見え、そのてから精霊の玉が零れ落ちる。それは、シュトルちゃんの中に吸い込まれていく……。
 手を辿り顔を上げて行けば、おじいちゃんがいた。手を差し伸べたのはおじいちゃんだった! 奇跡が起きた――!
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