君の(魔法使いの)ナイトになりたくて

すみ 小桜(sumitan)

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32マリアさんとの約束

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 「お? 戻ったか?」

 おじいちゃんが玄関の方を向いて言った。
 車のエンジン音が聞こえ、家の前に停車したようだった。私達はハル君達だと確信し出迎えの為にぞろぞろと玄関に向かう。

 「ただいま~」
 「おかえり」

 扉を開けて最初に入って来たのはハル君で、開ける前からのお出迎えに驚いている。

 「ただいま~って、緑の男!」

 次に入って来たカナ君は、お出迎えよりロサーノさんが居るのに驚いている。

 「ただいま。とう……って、人が増えている? いやそれはいいとして。父さん! 子供達にこんな物を与えないで下さい! 使いたくなるのに決まっているじゃないですか!」

 最後に入って来たおじさんは、いつもの如く? 入って来るなりおじいちゃんに文句を言った。

 「役に立っただろう?」

 そしておじいちゃんもいつも通り返す。
 で、おじさんが一体何の事を言っているのだろうと二人を見ていると、何故か背丈より大きな風呂敷のような物で頭からすっぽりと体を隠していた。
 この人達何をしているのでしょうか?

 「役に立ったってもんじゃない! 誰も俺達だときづかないんだぜ! びっくりだ!」
 「タクシーの運転手も普通だったし。すごいよこれ!」

 逆に目立ちそうだけど、ウィザードだと気づかれなかったと絶賛した。どうやらマジックアイテムっぽい。

 「それってなんですの?」
 「それは私達が地球で使おうと思って持ってきたマジックアイテムだ。自身を目立たなくさせる物で。そうだな……わかりやすく言うと、リンゴの中にミカンが入っていたら目立つだろう? それを使うとミカンなのに違和感がなくなるアイテムだ」

 やっぱりマジックアイテムだった! 二人を見ると何故かどや顔だ。凄いのはおじいちゃんなんだけどね……。それにしても魔法って凄いなぁ……。凄いけど私にはあまり必要がないものかも。
 はぁっとため息が聞こえたと思ったら文句も聞こえて来た。

 「マジックアイテムなんて渡さないで下さいよ! 結局俺だけ謝りに戻らなくてはいけない羽目になったじゃないですか!」

 勿論文句を言ったのはおじさんです。戻るんだ……。

 「だから僕達だけで戻るって言ったのに!」
 「出来るかそんな事! 万が一正体がばれたら大変なんだから!」

 ハル君にそう返すとおじさんは、また大きなため息を吐いた。
 まあ、ここにウィザードの一人が住んでいるって知れたら大変だもんね。

 「戻るのか?」
 「それが仕事なんでね」
 「それは手間を掛けさせたな。悪かった。気を付けて戻れよ」
 「やけに素直ですね……」

 おじさんは、おじいちゃんに少し驚いたように返した。

 「なんだ? 謝ればこれだ。ほれ、タクシーを待たせているんだろう?」
 「そうだった! いいかお前達! 大人しく待っているんだぞ。もう余計な事に首を突っ込むなよ! わかったか!」
 「わかったって! いってらっしゃい」

 おじさんの忠告をうるさそうに返事を返すと、おじさんはではと外に出て行った。そしてタクシーが遠ざかっていった。

 「ねえ、おじい様。わたしくもその大きな風呂敷みたいなマジックアイテムがほしいですわ!」

 マリアさんが唐突に行った! あんなのがほしいの? もらって使いようがないと思うけど……。

 「マリアには必要ないじゃん」

 カナ君もそう思ったみたい。

 「では違う物でも宜しいですわ! 二人だけなんてずるいですわ!」
 「そう言われてもな……」
 「では向こうの世界に戻ったら何かを作って帰って来て下さいます? 楽しみにしておりますわ」

 あぁマジックアイテムが欲しいのね。それなら私も欲しいかも。

 「やれやれ、戻って来れたらな」
 「持ってこれたらな。ではなく必ずですわ! 約束ですわ!」

 おじいちゃんの返事に間髪入れすマリアさんが言うと、おじいちゃんは少し驚いた顔をするが、すぐににっこりほほ笑んだ。

 「マリアには敵わんな。わかった。何か作ってこよう」
 「さすがおじい様。勿論、ルナの分もですわよ」

 そう言って私のも頼んでくれた。

 「大丈夫だ。ちゃんとルナの分も用意する」
 「良かったわね。ルナ」
 「うん。ありがとう」

 素直に嬉しい。

 「話はまとまったようですし、そろそろ出発しませんか?」

 ロサーノさんは切り出した。

 「何があったんだよ! それが知りたくて早く帰って来たのに!」
 「え~! 出掛けるの?」
 「そうだな。それもある事だし、歩きながら話そうか」

 カナ君達が抗議すると、風呂敷を指差しおじいちゃんは言った。この風呂敷を被ったまま、外を歩かせる気ですか? 大丈夫かな?
 説明を聞いたけど不安です……。

 「まあ! わたくしたちも連れて行って下さるのですか?!」
 「いや、そうではない。ちょうどいい扉があるのでそこまで行く間だ」

 期待を胸にマリアさんが言うもおじいちゃんは即答でズバッと切った!

 「扉?」
 「その事も話を聞けばわかる」

 カナ君の言葉にそう返すと、おじいちゃんが歩き出し玄関から外へ出て行くので、皆ぞろぞろとその後について行く。私とマリアさんは慌てて、靴を履いて追いかけた。
 うわーさむ!! コード着て来なかったから寒いんですけど! 待ってって言ったら待ってくれるかな? あぁ、あの風呂敷でいいから借りたい……。
 取りに戻って置いてい帰れるのも嫌なのでそのままついて行く事にした。だって、マリアさんは平気そうなんだもん。
 こうして見えない三人と風呂敷に包まった二人、そして普通の女子高生という変わった集団が学校に向かって進んでいた。
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