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D その2 生徒総会の時間です
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「今ここに!
私、ディー王子はっ!
D公爵令嬢との婚約を破棄し、アーディア嬢を将来の妻とする事を宣言する!」
う、おおおぉっ!!
生徒総会での、生徒会のトンデモ議案に、生徒諸君は沸き立った
出たーっ!断罪!
ほぼ全員がワクワクしている。
王子の勝利か?
令嬢のざまぁか?
閉扉し、教師ら大人の介在がないこの場を選んだのは、王子の戦略と言えよう。
壇上で、
ひし!
とアーディアを横抱きにするディー王子。
元気の無い顔つきで、それでも二人に従うエー ビイ シー。
見下ろすは、D公爵令嬢である。
美しい金髪の縦ロール。翡翠の瞳。切れ長の目。
正真正銘のご令嬢である。
「……これは、お戯れを。
ディー殿下、破棄の理由をお聞かせ頂けますか?」
柔らかな声が心地よい。
その微笑みは聖母の様だ。
「望む所だ。さっ、アディ♡」
王子は上品にアーディアを前へとエスコートした。
「……D様っ!
わ、わたし、今まで貴女に、酷い事いっぱいされてきました!
でも、でも、平民上がりの男爵養女では、反抗も反論も出来ず!……」
「……」
「わたしが、泣いていると、いつも殿下は優しく慰めて下さいました。
私もいつしか恋心を―」
「……」
「ですから!
どうか、どうか、D御令嬢!
殿下を、殿下を自由にして下さいませ!
これ以上、愛しい人を苦しめないで!」
「……」
はたから見れば、可憐な乙女が高慢な貴族の令嬢に、懇願している図である。
ウルウルの幼顔に、豊かな肢体。
男子生徒の心は、よろっとアーディアサイドに傾いた。
一方女子生徒は、
かいなを抱いてか弱い振りをしつつ、その豊満な胸を強調するように寄せるアーディアに、
けっ。
と、心で毒づいた。
「どうした。D。
アディの告発に反論はあるか?」
押しつけてくるアディのバストに、ちょっとしどもどしつつも、気品を崩さないディー王子。
「今のお話のどこに、具体がございますの?
わたくしは何を承服すれば?」
「痴れた事。アディを泣かせた」
「女は泣くものですわ」
「アディをいじめた」
「女の中には、被害意識があるものですわ」
公爵令嬢は、凛とした佇たたずまいで、静かに語る。
「わたくし、そちらの方とはお話もした事ございません。
名乗りをしておりませんから。
ですが、存在も出自も承知しております。
……貴族の淑女たるもの、嫌味や妬みの応酬など当たり前。
むしろ、その高度なやり取りによって、知性教養品性を測るのです。たかが悪口程度で人に泣きつく様では、社交は出来ません」
そうそう。と、女子生徒達は頷く。
マウント合戦など日常茶飯事。
いちいち引きずっていては家名に傷が付く。
「至極もっとも。
しかし、アーディア嬢は物を壊されたり服を汚されたりと、物理的にも被害を被っている。
それも、貴女の指示であると」
「まあ。
ご自分の持ち物の管理も出来ませんの?
わたくし達淑女は、指輪など貴金属を身につけております。
ですから、身の回りの持ち物はしっかりと自己管理出来るよう、気をつけておりますわ。
それは殿下も同様かと」
「…論点が違うであろう。悪意でなされたと言っている!
しかも貴女の悪意でアーディアが被害を被ったのだ!」
育ちがいい王子は、反論に慣れてはいない。この婚約者は何故こうも苛苛させるのか。
ほほほ。
柔らかな表情を崩さず令嬢は続ける。
「悪意に負けるようでは、しつけ直しなされませ。で?」
「……身体を傷つけられたと!
何もない所で転ばされ、階段から落とされ、挙げ句短剣で切りつけられた!
これはっ!殺人である!」
「そのような激しい行為をこのわたくしが出来たと、殿下はお思いですの?」
華奢な指を口元に当てて、少しばかり眉をひそめる令嬢は、実に優雅である。
「そなたの手を汚さずとも、子飼いを使えば造作もないこと」
「成程。その子飼いとやらは、わたくしの指示だと告白したの?」
このこう着状態を破る好機と、ディー殿下は打って出た。
「良かろう。ビイ魔術局研究員!」
「は、はいっ」
「転倒、転落、確かに魔術による加害だと証明したのであるな!」
視線がビイに集まる。
昨日の経緯は皆に知れ渡っている。
さて、今日はどう反撃するか?
私、ディー王子はっ!
D公爵令嬢との婚約を破棄し、アーディア嬢を将来の妻とする事を宣言する!」
う、おおおぉっ!!
生徒総会での、生徒会のトンデモ議案に、生徒諸君は沸き立った
出たーっ!断罪!
ほぼ全員がワクワクしている。
王子の勝利か?
令嬢のざまぁか?
閉扉し、教師ら大人の介在がないこの場を選んだのは、王子の戦略と言えよう。
壇上で、
ひし!
とアーディアを横抱きにするディー王子。
元気の無い顔つきで、それでも二人に従うエー ビイ シー。
見下ろすは、D公爵令嬢である。
美しい金髪の縦ロール。翡翠の瞳。切れ長の目。
正真正銘のご令嬢である。
「……これは、お戯れを。
ディー殿下、破棄の理由をお聞かせ頂けますか?」
柔らかな声が心地よい。
その微笑みは聖母の様だ。
「望む所だ。さっ、アディ♡」
王子は上品にアーディアを前へとエスコートした。
「……D様っ!
わ、わたし、今まで貴女に、酷い事いっぱいされてきました!
でも、でも、平民上がりの男爵養女では、反抗も反論も出来ず!……」
「……」
「わたしが、泣いていると、いつも殿下は優しく慰めて下さいました。
私もいつしか恋心を―」
「……」
「ですから!
どうか、どうか、D御令嬢!
殿下を、殿下を自由にして下さいませ!
これ以上、愛しい人を苦しめないで!」
「……」
はたから見れば、可憐な乙女が高慢な貴族の令嬢に、懇願している図である。
ウルウルの幼顔に、豊かな肢体。
男子生徒の心は、よろっとアーディアサイドに傾いた。
一方女子生徒は、
かいなを抱いてか弱い振りをしつつ、その豊満な胸を強調するように寄せるアーディアに、
けっ。
と、心で毒づいた。
「どうした。D。
アディの告発に反論はあるか?」
押しつけてくるアディのバストに、ちょっとしどもどしつつも、気品を崩さないディー王子。
「今のお話のどこに、具体がございますの?
わたくしは何を承服すれば?」
「痴れた事。アディを泣かせた」
「女は泣くものですわ」
「アディをいじめた」
「女の中には、被害意識があるものですわ」
公爵令嬢は、凛とした佇たたずまいで、静かに語る。
「わたくし、そちらの方とはお話もした事ございません。
名乗りをしておりませんから。
ですが、存在も出自も承知しております。
……貴族の淑女たるもの、嫌味や妬みの応酬など当たり前。
むしろ、その高度なやり取りによって、知性教養品性を測るのです。たかが悪口程度で人に泣きつく様では、社交は出来ません」
そうそう。と、女子生徒達は頷く。
マウント合戦など日常茶飯事。
いちいち引きずっていては家名に傷が付く。
「至極もっとも。
しかし、アーディア嬢は物を壊されたり服を汚されたりと、物理的にも被害を被っている。
それも、貴女の指示であると」
「まあ。
ご自分の持ち物の管理も出来ませんの?
わたくし達淑女は、指輪など貴金属を身につけております。
ですから、身の回りの持ち物はしっかりと自己管理出来るよう、気をつけておりますわ。
それは殿下も同様かと」
「…論点が違うであろう。悪意でなされたと言っている!
しかも貴女の悪意でアーディアが被害を被ったのだ!」
育ちがいい王子は、反論に慣れてはいない。この婚約者は何故こうも苛苛させるのか。
ほほほ。
柔らかな表情を崩さず令嬢は続ける。
「悪意に負けるようでは、しつけ直しなされませ。で?」
「……身体を傷つけられたと!
何もない所で転ばされ、階段から落とされ、挙げ句短剣で切りつけられた!
これはっ!殺人である!」
「そのような激しい行為をこのわたくしが出来たと、殿下はお思いですの?」
華奢な指を口元に当てて、少しばかり眉をひそめる令嬢は、実に優雅である。
「そなたの手を汚さずとも、子飼いを使えば造作もないこと」
「成程。その子飼いとやらは、わたくしの指示だと告白したの?」
このこう着状態を破る好機と、ディー殿下は打って出た。
「良かろう。ビイ魔術局研究員!」
「は、はいっ」
「転倒、転落、確かに魔術による加害だと証明したのであるな!」
視線がビイに集まる。
昨日の経緯は皆に知れ渡っている。
さて、今日はどう反撃するか?
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