13 / 90
12
しおりを挟む
★アリーヤサイド
「呆れるほど頑固なアリーヤよ。お前が実は心優しい女性だと私は知っている。だからこそ今一度言おう。私の調子はすこぶる悪い!お前の顔色も見てられない程にだ!だから私を休ませ、お前は私の看病をするが良い!」
これで何度目だろう。今日のオーランドは馬車に乗った時からずっとこうだ。しかし、執務室の今も、胸を張り心地よい甘いテノールの声も大きく張り、まるで今から魔王に挑まんとする勇者のように勇ましく言われては
「残念ながらお兄様、そんな元気な病人を私は見たことがありませんわ…」
「愚かなアリーヤよ。見た事が無いからと言って有り得ないと判断するのは流石に浅慮と言うものだ。まさに!今の私は!その症例の1人目なのだからな!!」
オーランドの正論に内心唸るものの、明らかに嘘の人間に指摘されるのは悔しい。しかし、適当で享楽的なオーランドはいつか必ず秘書の仕事に飽きるだろうと思っていた。予想を遥かに超える早さだが。
(……?まって?私の顔色?……まさか私を休ませる為…?)
いや違う。飽き性なだけだ。アリーヤの顔色が悪いと言ったのも、そう言えばアリーヤが「オーランドが自分を気遣っている」と思い込み、アリーヤに怒られる事なく休めるからだ。
そう思い込めば、当然自分も一緒に休むのだ。アリーヤも巻き込んで休めば、オーランドのあるのか分からない罪悪感は更に消える。オーランドは自分に甘く、その為なら頭が回るいい性格をしているのを忘れていた。
とは言えこの2日のオーランドの仕事ぶりはかなりの物だ。おかげでしなくても良い仕事が大幅に減った。
「そんなに休みたいならお兄様お一人でどうぞ。2日間とは言えお兄様の仕事ぶりは感謝してもしきれない程の貢献ぶりでしたわ」
「ああ、なんと冷たいんだアリーヤ!お前が看病しなければ治らない病気なのだよ!」
立ち上がり舞台俳優さながら動くオーランドをアリーヤはどこか冷たい目で見つめ、ミリーは抑えた声でクスクスと見ている。それが聞こえたのか、オーランドはミリーの方へ顔を向け
「ミリー!お前の主人はなんと冷たい事か!主人を甘やかしすぎたのではないか?主人が間違った方向へ進む時、それを諌めるのも侍女の務めだぞ!」
と大袈裟に嘆いてみせる。
「申し訳ありません。オーランド様。私はお嬢様を第一に考えておりますので。」
ミリーは少しも申し訳なくなさそうに、にこやかな笑顔で謝る。それはそうだ。勿論これはオーランドの冗談なのだから。
「社交界一美丈夫の言葉を聞かぬのは、母上とアリーヤとお前くらいだ。私は麗しき淑女達の奴隷だと言うのに。3人も気持ちを返してくれないなど不公平過ぎないか?」
オーランドはドサリと自分の椅子に座ると、背もたれに寄りかかり背中をずるずると下げていく。行儀は悪いのに、オーランドがするとそれすら洗練されて見えるから外見がいいとは得だ。
「呆れるほど頑固なアリーヤよ。お前が実は心優しい女性だと私は知っている。だからこそ今一度言おう。私の調子はすこぶる悪い!お前の顔色も見てられない程にだ!だから私を休ませ、お前は私の看病をするが良い!」
これで何度目だろう。今日のオーランドは馬車に乗った時からずっとこうだ。しかし、執務室の今も、胸を張り心地よい甘いテノールの声も大きく張り、まるで今から魔王に挑まんとする勇者のように勇ましく言われては
「残念ながらお兄様、そんな元気な病人を私は見たことがありませんわ…」
「愚かなアリーヤよ。見た事が無いからと言って有り得ないと判断するのは流石に浅慮と言うものだ。まさに!今の私は!その症例の1人目なのだからな!!」
オーランドの正論に内心唸るものの、明らかに嘘の人間に指摘されるのは悔しい。しかし、適当で享楽的なオーランドはいつか必ず秘書の仕事に飽きるだろうと思っていた。予想を遥かに超える早さだが。
(……?まって?私の顔色?……まさか私を休ませる為…?)
いや違う。飽き性なだけだ。アリーヤの顔色が悪いと言ったのも、そう言えばアリーヤが「オーランドが自分を気遣っている」と思い込み、アリーヤに怒られる事なく休めるからだ。
そう思い込めば、当然自分も一緒に休むのだ。アリーヤも巻き込んで休めば、オーランドのあるのか分からない罪悪感は更に消える。オーランドは自分に甘く、その為なら頭が回るいい性格をしているのを忘れていた。
とは言えこの2日のオーランドの仕事ぶりはかなりの物だ。おかげでしなくても良い仕事が大幅に減った。
「そんなに休みたいならお兄様お一人でどうぞ。2日間とは言えお兄様の仕事ぶりは感謝してもしきれない程の貢献ぶりでしたわ」
「ああ、なんと冷たいんだアリーヤ!お前が看病しなければ治らない病気なのだよ!」
立ち上がり舞台俳優さながら動くオーランドをアリーヤはどこか冷たい目で見つめ、ミリーは抑えた声でクスクスと見ている。それが聞こえたのか、オーランドはミリーの方へ顔を向け
「ミリー!お前の主人はなんと冷たい事か!主人を甘やかしすぎたのではないか?主人が間違った方向へ進む時、それを諌めるのも侍女の務めだぞ!」
と大袈裟に嘆いてみせる。
「申し訳ありません。オーランド様。私はお嬢様を第一に考えておりますので。」
ミリーは少しも申し訳なくなさそうに、にこやかな笑顔で謝る。それはそうだ。勿論これはオーランドの冗談なのだから。
「社交界一美丈夫の言葉を聞かぬのは、母上とアリーヤとお前くらいだ。私は麗しき淑女達の奴隷だと言うのに。3人も気持ちを返してくれないなど不公平過ぎないか?」
オーランドはドサリと自分の椅子に座ると、背もたれに寄りかかり背中をずるずると下げていく。行儀は悪いのに、オーランドがするとそれすら洗練されて見えるから外見がいいとは得だ。
11
あなたにおすすめの小説
冷徹と噂の辺境伯令嬢ですが、幼なじみ騎士の溺愛が重すぎます
藤原遊
恋愛
冷徹と噂される辺境伯令嬢リシェル。
彼女の隣には、幼い頃から護衛として仕えてきた幼なじみの騎士カイがいた。
直系の“身代わり”として鍛えられたはずの彼は、誰よりも彼女を想い、ただ一途に追い続けてきた。
だが政略婚約、旧婚約者の再来、そして魔物の大規模侵攻――。
責務と愛情、嫉妬と罪悪感が交錯する中で、二人の絆は試される。
「縛られるんじゃない。俺が望んでここにいることを選んでいるんだ」
これは、冷徹と呼ばれた令嬢と、影と呼ばれた騎士が、互いを選び抜く物語。
下賜されまして ~戦場の餓鬼と呼ばれた軍人との甘い日々~
星森
恋愛
王宮から突然嫁がされた18歳の少女・ソフィアは、冷たい風の吹く屋敷へと降り立つ。迎えたのは、無愛想で人嫌いな騎士爵グラッド・エルグレイム。金貨の袋を渡され「好きにしろ」と言われた彼女は、侍女も使用人もいない屋敷で孤独な生活を始める。
王宮での優雅な日々とは一転、自分の髪を切り、服を整え、料理を学びながら、ソフィアは少しずつ「夫人」としての自立を模索していく。だが、辻馬車での盗難事件や料理の失敗、そして過労による倒れ込みなど、試練は次々と彼女を襲う。
そんな中、無口なグラッドの態度にも少しずつ変化が現れ始める。謝罪とも言えない金貨の袋、静かな気遣い、そして彼女の倒れた姿に見せた焦り。距離のあった二人の間に、わずかな波紋が広がっていく。
これは、王宮の寵姫から孤独な夫人へと変わる少女が、自らの手で居場所を築いていく物語。冷たい屋敷に灯る、静かな希望の光。
⚠️本作はAIとの共同製作です。
ストーカーから逃げ切ったつもりが、今度はヤンデレ騎士団に追われています。
由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
不憫な侯爵令嬢は、王子様に溺愛される。
猫宮乾
恋愛
再婚した父の元、継母に幽閉じみた生活を強いられていたマリーローズ(私)は、父が没した事を契機に、結婚して出ていくように迫られる。皆よりも遅く夜会デビューし、結婚相手を探していると、第一王子のフェンネル殿下が政略結婚の話を持ちかけてくる。他に行く場所もない上、自分の未来を切り開くべく、同意したマリーローズは、その後後宮入りし、正妃になるまでは婚約者として過ごす事に。その内に、フェンネルの優しさに触れ、溺愛され、幸せを見つけていく。※pixivにも掲載しております(あちらで完結済み)。
行き遅れにされた女騎士団長はやんごとなきお方に愛される
めもぐあい
恋愛
「ババアは、早く辞めたらいいのにな。辞めれる要素がないから無理か? ギャハハ」
ーーおーい。しっかり本人に聞こえてますからねー。今度の遠征の時、覚えてろよ!!
テレーズ・リヴィエ、31歳。騎士団の第4師団長で、テイム担当の魔物の騎士。
『テレーズを陰日向になって守る会』なる組織を、他の師団長達が作っていたらしく、お陰で恋愛経験0。
新人訓練に潜入していた、王弟のマクシムに外堀を埋められ、いつの間にか女性騎士団の団長に祭り上げられ、マクシムとは公認の仲に。
アラサー女騎士が、いつの間にかやんごとなきお方に愛されている話。
白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活
しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。
新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。
二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。
ところが。
◆市場に行けばついてくる
◆荷物は全部持ちたがる
◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる
◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる
……どう見ても、干渉しまくり。
「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」
「……君のことを、放っておけない」
距離はゆっくり縮まり、
優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。
そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。
“冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え――
「二度と妻を侮辱するな」
守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、
いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる