陰キャでオタクな修行僧とキャビンアテンダント

藤咲レン

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修行1日目

3フライト目:羽田→那覇(1)

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本日3フライト目も那覇行きだ。わずか1往復しかしていない路線なのに、既にいつも乗っている感覚になったのは、現地では何もせずに折り返し便に乗るということかと思ったが、すぐに頭の片隅に追いやられた。どうでも良い情報であるからだ。



しかし、ここで問題が発生した。
飛行機のやりくりの問題で本来那覇行きに投入するはずの機体がまだ羽田空港に到着しておらず、搭乗時間が遅延するというアナウンスが空港内に響いた。

「まずいなぁ。次に乗り継ぐ時間がタイトになってしまう・・・」

僕は空港の搭乗ゲート前のベンチに座りながら、独り言を呟く。いくら僕が心配したことで機材繰りが解消するはずはないので、ベンチで引き続きこうやって待つしかない。

もし修行から解脱できた場合、こういった時間はラウンジでビールやおつまみを食らいながら待つことができる。

僕はこういったトラブルも前向きに捉え、修行からの解脱をイメージして待つことにした。しかし、良い方向には進まず、結局は30分遅れとなってしまった。




上級会員から搭乗が始まり続いて普通席に座る一般会員の順番となった。

機体へと足を進めると入り口でチーフパーサーである白いジャケットを着用したキャビンアテンダントが今回もお出迎えをしている。しかし、今度は藤咲さんではなく、別の女性であった。僕は最初は別の女性を見たときにガッカリしたが、流石に3フライト目になると僕が修行僧であることがバレてしまうのではないかと思い、ここはプラス思考で考えることにした。

休日の午後便ということではあるが、搭乗率は8割近くになっている感覚であり、搭乗も混雑していた。

今回は往復で使用した機体よりも小型機になるようで、通路が一本のみとなり、その両サイドに3人掛けの座席が並ぶレイアウトとなっている。僕はトイレの心配があったので、今回のフライトは通路側を選択していた。そのため、窓側とその隣には既に若い男女のカップルが着席していた。通路側なので特に誰かに断りを入れる必要もないことから、そのまま着席した。



搭乗を終えてもなかなかドアが閉まらず、遅延は更に伸びそうに感じた僕の予感は的中し、最終的にゲートを離れた時には40分の遅延になっていた。キャビンアテンダントからは遅延に対するお詫びのアナウンスが流れる。しかし、僕は次のフライトに間に合うかどうか心配であり、ここで詫びてもらっても時間が戻るわけではないので、ヒヤヒヤしていた。おそらく修行僧は全員心配していることは容易に想像ができた。

なぜなら、間に合わない場合、チケットが無駄になってしまうだけでなく、機内で急ぐようにアナウンスが流れるからだ。僕の場合は、那覇空港着の便のはずなのに、“羽田空港行きに乗り継ぎの方“とアナウンスされるので不自然極まりない状況となるのだ。乗客や地上スタッフの人から“変な人“という視線で見られることが、修行僧にとってはこの上ない羞恥というわけだ。

僕はこの羞恥に巻き込まれたくないという思いで滑走路に向かう機内で機長に祈った。

しかし、遅れが回復できるという実感は皆無の状況であった。
飛行機という乗り物は遅れを挽回するということをあまり聞いたことがなかったからだ。
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