25 / 51
修行1日目
3フライト目:羽田→那覇(1)
しおりを挟む
本日3フライト目も那覇行きだ。わずか1往復しかしていない路線なのに、既にいつも乗っている感覚になったのは、現地では何もせずに折り返し便に乗るということかと思ったが、すぐに頭の片隅に追いやられた。どうでも良い情報であるからだ。
しかし、ここで問題が発生した。
飛行機のやりくりの問題で本来那覇行きに投入するはずの機体がまだ羽田空港に到着しておらず、搭乗時間が遅延するというアナウンスが空港内に響いた。
「まずいなぁ。次に乗り継ぐ時間がタイトになってしまう・・・」
僕は空港の搭乗ゲート前のベンチに座りながら、独り言を呟く。いくら僕が心配したことで機材繰りが解消するはずはないので、ベンチで引き続きこうやって待つしかない。
もし修行から解脱できた場合、こういった時間はラウンジでビールやおつまみを食らいながら待つことができる。
僕はこういったトラブルも前向きに捉え、修行からの解脱をイメージして待つことにした。しかし、良い方向には進まず、結局は30分遅れとなってしまった。
上級会員から搭乗が始まり続いて普通席に座る一般会員の順番となった。
機体へと足を進めると入り口でチーフパーサーである白いジャケットを着用したキャビンアテンダントが今回もお出迎えをしている。しかし、今度は藤咲さんではなく、別の女性であった。僕は最初は別の女性を見たときにガッカリしたが、流石に3フライト目になると僕が修行僧であることがバレてしまうのではないかと思い、ここはプラス思考で考えることにした。
休日の午後便ということではあるが、搭乗率は8割近くになっている感覚であり、搭乗も混雑していた。
今回は往復で使用した機体よりも小型機になるようで、通路が一本のみとなり、その両サイドに3人掛けの座席が並ぶレイアウトとなっている。僕はトイレの心配があったので、今回のフライトは通路側を選択していた。そのため、窓側とその隣には既に若い男女のカップルが着席していた。通路側なので特に誰かに断りを入れる必要もないことから、そのまま着席した。
搭乗を終えてもなかなかドアが閉まらず、遅延は更に伸びそうに感じた僕の予感は的中し、最終的にゲートを離れた時には40分の遅延になっていた。キャビンアテンダントからは遅延に対するお詫びのアナウンスが流れる。しかし、僕は次のフライトに間に合うかどうか心配であり、ここで詫びてもらっても時間が戻るわけではないので、ヒヤヒヤしていた。おそらく修行僧は全員心配していることは容易に想像ができた。
なぜなら、間に合わない場合、チケットが無駄になってしまうだけでなく、機内で急ぐようにアナウンスが流れるからだ。僕の場合は、那覇空港着の便のはずなのに、“羽田空港行きに乗り継ぎの方“とアナウンスされるので不自然極まりない状況となるのだ。乗客や地上スタッフの人から“変な人“という視線で見られることが、修行僧にとってはこの上ない羞恥というわけだ。
僕はこの羞恥に巻き込まれたくないという思いで滑走路に向かう機内で機長に祈った。
しかし、遅れが回復できるという実感は皆無の状況であった。
飛行機という乗り物は遅れを挽回するということをあまり聞いたことがなかったからだ。
しかし、ここで問題が発生した。
飛行機のやりくりの問題で本来那覇行きに投入するはずの機体がまだ羽田空港に到着しておらず、搭乗時間が遅延するというアナウンスが空港内に響いた。
「まずいなぁ。次に乗り継ぐ時間がタイトになってしまう・・・」
僕は空港の搭乗ゲート前のベンチに座りながら、独り言を呟く。いくら僕が心配したことで機材繰りが解消するはずはないので、ベンチで引き続きこうやって待つしかない。
もし修行から解脱できた場合、こういった時間はラウンジでビールやおつまみを食らいながら待つことができる。
僕はこういったトラブルも前向きに捉え、修行からの解脱をイメージして待つことにした。しかし、良い方向には進まず、結局は30分遅れとなってしまった。
上級会員から搭乗が始まり続いて普通席に座る一般会員の順番となった。
機体へと足を進めると入り口でチーフパーサーである白いジャケットを着用したキャビンアテンダントが今回もお出迎えをしている。しかし、今度は藤咲さんではなく、別の女性であった。僕は最初は別の女性を見たときにガッカリしたが、流石に3フライト目になると僕が修行僧であることがバレてしまうのではないかと思い、ここはプラス思考で考えることにした。
休日の午後便ということではあるが、搭乗率は8割近くになっている感覚であり、搭乗も混雑していた。
今回は往復で使用した機体よりも小型機になるようで、通路が一本のみとなり、その両サイドに3人掛けの座席が並ぶレイアウトとなっている。僕はトイレの心配があったので、今回のフライトは通路側を選択していた。そのため、窓側とその隣には既に若い男女のカップルが着席していた。通路側なので特に誰かに断りを入れる必要もないことから、そのまま着席した。
搭乗を終えてもなかなかドアが閉まらず、遅延は更に伸びそうに感じた僕の予感は的中し、最終的にゲートを離れた時には40分の遅延になっていた。キャビンアテンダントからは遅延に対するお詫びのアナウンスが流れる。しかし、僕は次のフライトに間に合うかどうか心配であり、ここで詫びてもらっても時間が戻るわけではないので、ヒヤヒヤしていた。おそらく修行僧は全員心配していることは容易に想像ができた。
なぜなら、間に合わない場合、チケットが無駄になってしまうだけでなく、機内で急ぐようにアナウンスが流れるからだ。僕の場合は、那覇空港着の便のはずなのに、“羽田空港行きに乗り継ぎの方“とアナウンスされるので不自然極まりない状況となるのだ。乗客や地上スタッフの人から“変な人“という視線で見られることが、修行僧にとってはこの上ない羞恥というわけだ。
僕はこの羞恥に巻き込まれたくないという思いで滑走路に向かう機内で機長に祈った。
しかし、遅れが回復できるという実感は皆無の状況であった。
飛行機という乗り物は遅れを挽回するということをあまり聞いたことがなかったからだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる