6 / 61
第1章 最初の《契約》、竜の少女
第6話 空中戦で圧倒します
しおりを挟む
『シャァアアアアアッ!』
金切り声と共に、残された二体の“ホッピング・デーモン”が動いた。
圧倒的な俊敏性を武器に、2人がかりで挟撃でも仕掛けてくるのだろう。
実際、さっきは1匹にカウンターを決めるので精一杯だった。ただ――今は違う。
“経験値を取得、レベルが上がりました。”
“天の声”が朗々と頭の中に響く。自分のステータスを確認している暇はないが、その瞬間、わずかに相手の動きが遅くなった。
いや、違う。レベルが上がったから僕の目でも捉えられるようになったのだ。
でも今度は調子に乗らない。力に溺れるようなヤツになるために、力を得たわけではないのだから。
ステータスが上がっても、相変わらず魔法で姿を捉えるのは難しそうだ。
であれば。
「固有スキル、《龍翼》、発動!」
シャルと契約して得た最後のスキルを起動する。
と同時に、僕の背中から二対の巨大な翼が生えた。コウモリの翼をより猛々しくしたような、深紅の翼だ。
空の覇者たるドラゴンの飛行能力。これがあれば、自由自在に跳びまわる“ホッピング・デーモン”を相手に戦えるだろう。
相手が“跳ぶ”なら、こっちは“飛ぶ”だけだ。
『『キシャァアアアアアアアッ!』』
不意に、僕の正面と背中側に移動した黒い影が雄叫びを上げる。
壁を蹴り、前と後ろから挟み撃ちにするように僕めがけて突っ込んできて――
「ふっ!」
その半瞬前に、翼の中に空気を溜めて大きく羽ばたかせる。
標的を捕らえ損ねて正面衝突する“ホッピング・デーモン”は遙か下。僕の身体は一気に飛び上がっていた。
そして、その一瞬のもたつきを見逃すつもりはない。
「《ファイア・ボール》!」
お団子状態になった眼下の《ホッピング・デーモン”めがけて、炎の玉を叩き込む。
シャルの持っていた《バーニング・ブレス》ほどの威力はないから、三度、四度と連続で叩き込んでいく。
爆炎が眼下で踊り、二体の“ホッピング・デーモン”を飲み込む。
『『ピギャァアアアアアアッ!!』』
爆炎の中から上がる苦悶の声。
たまらず1匹が炎をかいくぐって抜け出してくる。
その身に何発も火球を受けたことで、青黒い皮膚は焼けただれ、あちこちから煙を上げていた。
ダメージを負っているからか、これなら魔法も正確に当てられる。
「逃がさない! 《ファイア・ボール》ッ!」
両手の先に魔法陣を展開し、トドメの火球を叩き込む。
『グギャアアアアアアァッ!』
連続で炎を喰らった“ホッピング・デーモン”は、全身を眩い炎に貫かれて、消滅していった。
――残り、1匹だ。
『キシャァアアアアアアアッ!』
こちらも手負いの“ホッピング・デーモン”が、禍々しい口から唾液を飛ばしながら叫ぶ。
手負いで追い詰められたモンスターは恐ろしい。
炭化しつつある手足を強引に振るい、空中にいる僕めがけてカッ飛んで来る。
「くっ!」
翼をはためかせ、ギリギリでそれを躱す。
頬を掠めた黒い影は、背後の壁に着地し、壁を蹴ってまたも僕の方へ突っ込んでくる。
これは、空中戦をするしかなさそうだ。
幸い、二匹目を倒したことで更にレベルが上昇している。
これならば張り合える!
『キェエエエエエエッ!』」
”ホッピング・デーモン“が吠え、腕に風を纏わせる。
おそらく、風魔法《エア・スパイラル》だろう。自身の腕に纏わせることで、まるで掘削機のように相手をえぐり取る魔法。
「はぁああああああああああああっ!」
目一杯翼をはためかせ、僕もまた《龍之鉤爪《ドラゴン・クロー》を携えて突っ込んでいく。
瞬く間に彼我の距離が縮まり――爪と風が、交錯した。
『キァ……』
呻き声と共に、“ホッピング・デーモン”の身体が、風魔法ごと真っ二つに切り裂かれ――黒い霧となって消滅していく。
ここに、“ホッピング・デーモン”との戦いは終結したのだった。
――。
「ふぅ、なんとかなった」
地面に降りた僕は、周囲を見まわして呟く。
地面も壁も天井も、あちこちに破壊の跡が見られる。ダンジョンの自己修復能力で元に戻っていくのだろうが、改めて見ると本当に激戦だったなという感想しか出てこない。
「そうだ! シャルは?」
この戦いに巻き込まないように注意したかったが、とてもじゃないがそんな余裕はなかった。
慌てて彼女の姿を探した僕は――
「ここじゃよ!」
「え」
不意に後ろから聞こえた声に振り返り、次の瞬間どんっ! とお腹に重たい衝撃を受けてよろめいた。
シャルが、勢いよく僕の身体に突撃してきたのだ。
「っとと、シャル!」
「流石じゃのう! まさかSランクのモンスターを単独で4匹も撃破してしまうとは。やはり、妾が見込んだ旦那様だけあるのう!」
「そんな、君がいなかったら僕は死んで――って、え?」
お礼を言いかけた僕は、そのときシャルの言葉に引っかかりを覚える。
「ちょっと待って、旦那様って何?」
「ああ、それはじゃな――」
満面の笑みで説明しようとするシャル。
しかし、そのときだった。
ぐにゃりと、視界が歪んだ。
あ、あれ……なんか急に、視界がぼやけて……
「旦那様? どうしたのじゃ? 旦那様!?」
シャルの鬼気迫るような声も、どんどんと遠くなっていき――僕は、どさりとその場に倒れ込んでしまった。
金切り声と共に、残された二体の“ホッピング・デーモン”が動いた。
圧倒的な俊敏性を武器に、2人がかりで挟撃でも仕掛けてくるのだろう。
実際、さっきは1匹にカウンターを決めるので精一杯だった。ただ――今は違う。
“経験値を取得、レベルが上がりました。”
“天の声”が朗々と頭の中に響く。自分のステータスを確認している暇はないが、その瞬間、わずかに相手の動きが遅くなった。
いや、違う。レベルが上がったから僕の目でも捉えられるようになったのだ。
でも今度は調子に乗らない。力に溺れるようなヤツになるために、力を得たわけではないのだから。
ステータスが上がっても、相変わらず魔法で姿を捉えるのは難しそうだ。
であれば。
「固有スキル、《龍翼》、発動!」
シャルと契約して得た最後のスキルを起動する。
と同時に、僕の背中から二対の巨大な翼が生えた。コウモリの翼をより猛々しくしたような、深紅の翼だ。
空の覇者たるドラゴンの飛行能力。これがあれば、自由自在に跳びまわる“ホッピング・デーモン”を相手に戦えるだろう。
相手が“跳ぶ”なら、こっちは“飛ぶ”だけだ。
『『キシャァアアアアアアアッ!』』
不意に、僕の正面と背中側に移動した黒い影が雄叫びを上げる。
壁を蹴り、前と後ろから挟み撃ちにするように僕めがけて突っ込んできて――
「ふっ!」
その半瞬前に、翼の中に空気を溜めて大きく羽ばたかせる。
標的を捕らえ損ねて正面衝突する“ホッピング・デーモン”は遙か下。僕の身体は一気に飛び上がっていた。
そして、その一瞬のもたつきを見逃すつもりはない。
「《ファイア・ボール》!」
お団子状態になった眼下の《ホッピング・デーモン”めがけて、炎の玉を叩き込む。
シャルの持っていた《バーニング・ブレス》ほどの威力はないから、三度、四度と連続で叩き込んでいく。
爆炎が眼下で踊り、二体の“ホッピング・デーモン”を飲み込む。
『『ピギャァアアアアアアッ!!』』
爆炎の中から上がる苦悶の声。
たまらず1匹が炎をかいくぐって抜け出してくる。
その身に何発も火球を受けたことで、青黒い皮膚は焼けただれ、あちこちから煙を上げていた。
ダメージを負っているからか、これなら魔法も正確に当てられる。
「逃がさない! 《ファイア・ボール》ッ!」
両手の先に魔法陣を展開し、トドメの火球を叩き込む。
『グギャアアアアアアァッ!』
連続で炎を喰らった“ホッピング・デーモン”は、全身を眩い炎に貫かれて、消滅していった。
――残り、1匹だ。
『キシャァアアアアアアアッ!』
こちらも手負いの“ホッピング・デーモン”が、禍々しい口から唾液を飛ばしながら叫ぶ。
手負いで追い詰められたモンスターは恐ろしい。
炭化しつつある手足を強引に振るい、空中にいる僕めがけてカッ飛んで来る。
「くっ!」
翼をはためかせ、ギリギリでそれを躱す。
頬を掠めた黒い影は、背後の壁に着地し、壁を蹴ってまたも僕の方へ突っ込んでくる。
これは、空中戦をするしかなさそうだ。
幸い、二匹目を倒したことで更にレベルが上昇している。
これならば張り合える!
『キェエエエエエエッ!』」
”ホッピング・デーモン“が吠え、腕に風を纏わせる。
おそらく、風魔法《エア・スパイラル》だろう。自身の腕に纏わせることで、まるで掘削機のように相手をえぐり取る魔法。
「はぁああああああああああああっ!」
目一杯翼をはためかせ、僕もまた《龍之鉤爪《ドラゴン・クロー》を携えて突っ込んでいく。
瞬く間に彼我の距離が縮まり――爪と風が、交錯した。
『キァ……』
呻き声と共に、“ホッピング・デーモン”の身体が、風魔法ごと真っ二つに切り裂かれ――黒い霧となって消滅していく。
ここに、“ホッピング・デーモン”との戦いは終結したのだった。
――。
「ふぅ、なんとかなった」
地面に降りた僕は、周囲を見まわして呟く。
地面も壁も天井も、あちこちに破壊の跡が見られる。ダンジョンの自己修復能力で元に戻っていくのだろうが、改めて見ると本当に激戦だったなという感想しか出てこない。
「そうだ! シャルは?」
この戦いに巻き込まないように注意したかったが、とてもじゃないがそんな余裕はなかった。
慌てて彼女の姿を探した僕は――
「ここじゃよ!」
「え」
不意に後ろから聞こえた声に振り返り、次の瞬間どんっ! とお腹に重たい衝撃を受けてよろめいた。
シャルが、勢いよく僕の身体に突撃してきたのだ。
「っとと、シャル!」
「流石じゃのう! まさかSランクのモンスターを単独で4匹も撃破してしまうとは。やはり、妾が見込んだ旦那様だけあるのう!」
「そんな、君がいなかったら僕は死んで――って、え?」
お礼を言いかけた僕は、そのときシャルの言葉に引っかかりを覚える。
「ちょっと待って、旦那様って何?」
「ああ、それはじゃな――」
満面の笑みで説明しようとするシャル。
しかし、そのときだった。
ぐにゃりと、視界が歪んだ。
あ、あれ……なんか急に、視界がぼやけて……
「旦那様? どうしたのじゃ? 旦那様!?」
シャルの鬼気迫るような声も、どんどんと遠くなっていき――僕は、どさりとその場に倒れ込んでしまった。
20
あなたにおすすめの小説
俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい
沢尻夏芽
恋愛
自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。
それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。
『様子がおかしい』
※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。
現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。
他サイトでも掲載中。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる