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第2章 人魚姫の涙、因縁の対峙
第31話 嫁が1人増えました
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「この度は、本当にご迷惑をおかけしました」
所変わって、屋敷内。
人魚母と戦った人魚母の私室と襖一つ隔てた先にある謁見の間のような場所で、並んで座る僕とシャルに対し、人魚母は深く頭を下げてくる。
人魚母の隣に座ったミリーさんもまた、大きく頭を下げた。
ちなみに、母の名はリース、父(ケルピー)の名はファモスと言うらしい。
そのケルピーことファモスさんはと言うと――
「か、か……」
白目を剥いて、その辺に転がってピクピク痙攣していた。
先程の黒い水の槍は、ケルピーの持つ超回復力により癒えたようだが、流石にその痛みと恐怖だけは拭いきれなかったらしい。
「い、いえ。お、お気になさらず」
「そ、そそ、そうじゃ。気にすることはないぞ!?」
必然。
73階層における本当の頂点が誰かを知った僕とシャルは、内心ガタガタ震えながら応えた。
この人だけは、怒らせてはならない。絶対に。
「そうは言っても……娘を助けてくれたばかりか、暴走するバカ夫を助けてもらった恩もあるので。できれば何かお礼をしたいのだけど」
人魚母ことリースさんは、恐縮したようにそう告げる。
まあ、確かに今回に関しては僕等は完全に巻き込まれた側だし、向こうとしては頭が上がらないのもわかるが。
「いやいや、お礼なんて十分です。ほんと気持ちだけで……」
そんな風に告げる僕の前で、不意に今まで黙っていたミリーさんが行動に移る。
時折チラチラとこちらを見て頬を染めながら、リースさんに耳打ちしているが。
「なるほど、その手があったわね!」
不意にリースさんはぽんと手を叩く。
そして、とんでもない爆弾を放った。
「ウチの娘を嫁に貰ってくれないかしら?」
「ブフォッ!」
僕は思わず吹き出した。
「不都合はさせないわよ? これでもみっちり花嫁修業を積んだ箱入り娘だもの。炊事洗濯はもちろん、夜の相手までそれはもう完璧にこなせるわ」
「ちょ、ちょちょ! 待ってください! 最後に不穏な響きが聞こえたのはこの際突っ込まないとして、ミリーさんは僕なんかには勿体ないですって!」
「そ、そうじゃぞ! それに、旦那様の正妻の座は妾が射止めているから、後はもう側室という手しか残っておらぬわ!」
「シャルはちょっと黙ってて!」
そんな風に騒ぎ立てる僕とシャルをよそに。
「そう。でも、そう言うってことはウチの娘に少なからず魅力を感じてるってことではあるのよね?」
「そ、それは――まあ、そうですが」
だって人魚姫だぞ。
可愛くて、しかも誰かのために自分の殻を破れるような子だぞ。好きにならない方がおかしいだろう。
「ふーん。なら問題ないわね」
「「へ?」」
「だって、娘の方があなたを気に入ってるんですもの」
「なっ!?」
僕は目を見開いて、思わずミリーさんの方を向いてしまう。
目が合ったとたん、ミリーさんは耳まで真っ赤になって、そっぽを向いてしまった。
いや、嬉しいよ。嬉しいけど。
これはマズいんじゃないのか!?
具体的に言えば、真横からとんでもない殺気を僕に向けて飛ばしてくるシャルの視線が怖い!
今まで人並みにモテたいとか思ってたけど、これはこれで辛い。
誰か。この修羅場を壊してくれ!
そんな願いが通じたのか。
「……む」
不意に、救世主が動き出す。
今まで死に体だったファモスさんが、ゆらりと起き上がる。
そして、僕等めがけて飛びかかってきた。
「娘はやらん! やらんぞぉおおおおおおお!」
ナイスお父さん!
なんとなく思っていたが、彼は「君にお父さんと呼ばれる筋合いはない!」と最後まで維持をはるタイプの昭和の頑固親父(偏見)だ!
よし、このまま暴れて話をあやふやに――!
ズンッ!
凄まじい音共に、衝撃波が遅れて届く。
それは、ファモスさんが暴れたから――ではない。
「あなたはちょっと黙ってなさいな♡」
目にも留まらぬ早技でファモスさんの頭を地面にたたき付けたリースさんが、満面の笑みのままそう甘く囁いていた。
ファモスさんの顔は半分くらい地面に埋まり、白目を剥いて今度こそ完全に沈黙してしまう。
「ごめんなさいね。バカな夫が突然襲いかかったりして。命の危機感じなかった? 大丈夫?」
「いえ。むしろたった今感じていま――なんでもないです」
冷や汗ダラダラの僕の横で、シャルが真っ青になっていた。
――結果。九割リースさんの迫力に気圧された僕は、ミリーさんとの婚約に前向きな意見を示す形となった。(じゃないと命が危ないと思った)
シャルがすでに正妻を名乗っていることに関しては、特に文句はないらしい。
日本に重婚制度はないが、“最強種”に人権が適応されるかは甚だ疑問なので、その辺りは治外法権と捉えておくしかない。
最終的に、ミリーさんは僕の家で暮らすことになり、一人暮らし高校生の食費がより一掃不安なものへと変わっていくことになるのだった。
所変わって、屋敷内。
人魚母と戦った人魚母の私室と襖一つ隔てた先にある謁見の間のような場所で、並んで座る僕とシャルに対し、人魚母は深く頭を下げてくる。
人魚母の隣に座ったミリーさんもまた、大きく頭を下げた。
ちなみに、母の名はリース、父(ケルピー)の名はファモスと言うらしい。
そのケルピーことファモスさんはと言うと――
「か、か……」
白目を剥いて、その辺に転がってピクピク痙攣していた。
先程の黒い水の槍は、ケルピーの持つ超回復力により癒えたようだが、流石にその痛みと恐怖だけは拭いきれなかったらしい。
「い、いえ。お、お気になさらず」
「そ、そそ、そうじゃ。気にすることはないぞ!?」
必然。
73階層における本当の頂点が誰かを知った僕とシャルは、内心ガタガタ震えながら応えた。
この人だけは、怒らせてはならない。絶対に。
「そうは言っても……娘を助けてくれたばかりか、暴走するバカ夫を助けてもらった恩もあるので。できれば何かお礼をしたいのだけど」
人魚母ことリースさんは、恐縮したようにそう告げる。
まあ、確かに今回に関しては僕等は完全に巻き込まれた側だし、向こうとしては頭が上がらないのもわかるが。
「いやいや、お礼なんて十分です。ほんと気持ちだけで……」
そんな風に告げる僕の前で、不意に今まで黙っていたミリーさんが行動に移る。
時折チラチラとこちらを見て頬を染めながら、リースさんに耳打ちしているが。
「なるほど、その手があったわね!」
不意にリースさんはぽんと手を叩く。
そして、とんでもない爆弾を放った。
「ウチの娘を嫁に貰ってくれないかしら?」
「ブフォッ!」
僕は思わず吹き出した。
「不都合はさせないわよ? これでもみっちり花嫁修業を積んだ箱入り娘だもの。炊事洗濯はもちろん、夜の相手までそれはもう完璧にこなせるわ」
「ちょ、ちょちょ! 待ってください! 最後に不穏な響きが聞こえたのはこの際突っ込まないとして、ミリーさんは僕なんかには勿体ないですって!」
「そ、そうじゃぞ! それに、旦那様の正妻の座は妾が射止めているから、後はもう側室という手しか残っておらぬわ!」
「シャルはちょっと黙ってて!」
そんな風に騒ぎ立てる僕とシャルをよそに。
「そう。でも、そう言うってことはウチの娘に少なからず魅力を感じてるってことではあるのよね?」
「そ、それは――まあ、そうですが」
だって人魚姫だぞ。
可愛くて、しかも誰かのために自分の殻を破れるような子だぞ。好きにならない方がおかしいだろう。
「ふーん。なら問題ないわね」
「「へ?」」
「だって、娘の方があなたを気に入ってるんですもの」
「なっ!?」
僕は目を見開いて、思わずミリーさんの方を向いてしまう。
目が合ったとたん、ミリーさんは耳まで真っ赤になって、そっぽを向いてしまった。
いや、嬉しいよ。嬉しいけど。
これはマズいんじゃないのか!?
具体的に言えば、真横からとんでもない殺気を僕に向けて飛ばしてくるシャルの視線が怖い!
今まで人並みにモテたいとか思ってたけど、これはこれで辛い。
誰か。この修羅場を壊してくれ!
そんな願いが通じたのか。
「……む」
不意に、救世主が動き出す。
今まで死に体だったファモスさんが、ゆらりと起き上がる。
そして、僕等めがけて飛びかかってきた。
「娘はやらん! やらんぞぉおおおおおおお!」
ナイスお父さん!
なんとなく思っていたが、彼は「君にお父さんと呼ばれる筋合いはない!」と最後まで維持をはるタイプの昭和の頑固親父(偏見)だ!
よし、このまま暴れて話をあやふやに――!
ズンッ!
凄まじい音共に、衝撃波が遅れて届く。
それは、ファモスさんが暴れたから――ではない。
「あなたはちょっと黙ってなさいな♡」
目にも留まらぬ早技でファモスさんの頭を地面にたたき付けたリースさんが、満面の笑みのままそう甘く囁いていた。
ファモスさんの顔は半分くらい地面に埋まり、白目を剥いて今度こそ完全に沈黙してしまう。
「ごめんなさいね。バカな夫が突然襲いかかったりして。命の危機感じなかった? 大丈夫?」
「いえ。むしろたった今感じていま――なんでもないです」
冷や汗ダラダラの僕の横で、シャルが真っ青になっていた。
――結果。九割リースさんの迫力に気圧された僕は、ミリーさんとの婚約に前向きな意見を示す形となった。(じゃないと命が危ないと思った)
シャルがすでに正妻を名乗っていることに関しては、特に文句はないらしい。
日本に重婚制度はないが、“最強種”に人権が適応されるかは甚だ疑問なので、その辺りは治外法権と捉えておくしかない。
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