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第3章 狐の嫁入り、夢か現か
第35話 僕なりの向き合い方
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《絆視点》
――そして、時間は現在に戻る。
どちらが正妻に相応しいか、その座を巡って戦端が開かれているなどと、そんなこと僕が予想できるはずもなく。
「妾の《バーニング・ブレス》を喰らってみるかのう? それに耐えられたらおぬしの勝ちでもよいが」
「いいでしょう。私の水の盾を貫けるものなら、貫いてみなさい?」
不敵に笑い合う2人。
シャルの目の前に灼熱色の、魔法陣が生じ、凄まじい熱量が集っていく。
テーブルに載っていたガラスのコップが飴細工のように歪み、熱気で周辺の空気も蜃気楼のように揺れる。
対するミリーの方も、ビニールプールの水や、コーヒーを操ってそれを盾とし、完全に迎え撃つ構えだ。
「「どちらが上か、白黒つけ――」」
「つけなくていいからぁあああああああああああああ!」
僕の絶叫が、安アパートに木霊した。
――。
「まさか、二日連続で謝罪周りに行くことになるとは」
僕は、歪んだガラスコップという、ある意味芸術と化したそれにコーヒーを注いで一気に飲み干すと、盛大にため息をついた。
案の定というべきか、「なんか急に暑くなったんだけど」「殺気を感じた」などと言う皆様が続出。
実はウチの空調が壊れちゃって~! サウナ地獄の中格闘してたから、たぶんそれ僕の殺気です~! と、なんとか口八丁で誤魔化し、現在に至る。
「わ、悪かったのじゃ」
「す、すいませんでした」
テーブルを挟んで正面に座る2人は、今や借りてきた猫のように大人しくなっている。
帰ってきたらラスボス戦会場みたいになっていた理由は聞いたが、なんというか――怒るに怒れない。
「まあ、今回は大目に見るよ。でも、せめて喧嘩はやるならダンジョンでやってくれ」
普通、モンスターはダンジョンの外に出てこられないようになっている。
それと同様、人間の側もダンジョン内で使用可能な魔法やスキルは、外の世界では使えないことになっている。
だから、ダンジョンの外で物騒なことが起こることは滅多にないのだが、なぜか“最強種”の2人はこっちの世界でも力を使える。
それが“最強種”に由来するからなのか、それとも僕と契約したからなのか、詳細はわからないが。
とにかく、この場で本気を出されたら半径2キロは更地になる。
そんな物騒なことをさせるつもりはないため、ここは自制して貰わねばならないのだ。
じゃないと、世界が終わる。わりとマジで。
「とにかく、この家で喧嘩は御法度。そもそも、勝負する必要自体ないしね」
「「え?」」
シャルとミリーさんは目を丸くする。
ここは多少気恥ずかしくても、僕自身の正直な気持ちを伝えておいた方が良いだろう。
「2人には、それぞれ得意なことも苦手なこともあると思う。でも、そこで競う必要なんてないよ。それも全部含めて、僕は2人のことが好きなんだしさ」
歯の浮くような言葉だな、とは自分でも思う。
ただ、紛れもない真実だ。
正妻の座がどうとか、相手よりも劣っているかもしれないという焦りとか、そんなものを感じる必要はない。
だって、僕はとっくにこの2人のことを好きになっているからだ。
そりゃまあ、いきなり妻だのなんだのは驚いたし、まだ受け入れられていないこともあるけど。
「僕は、優劣を付けてどちらかを捨てるなんてことは、絶対にしない」
これだけは、しっかり伝えておかなければならないと思った。
「なんじゃ。結局、お見通しじゃったのかの」
「みたいですね……」
シャルとミリーさんは、バツが悪そうに顔を見合わせて呟く。
「悪かったの。旦那様を愛していると言いつつ、その……ミリーだけを愛して、妾は愛されないんじゃないかと、少し不安になってしまったのじゃ」
「私も同じです。絆さんがそんなことしない方だと知りつつ、心のどこかで不安になってました。シャルの方が、私よりもずっと可愛くて魅力的だから」
そんな風に、心情を吐露する2人。
それこそ、無用の心配だ。
そりゃあ、この先2人と喧嘩したり、嫌いになってしまったりすることはあるかもしれない。
中高生のカップルがくっついて別れてを繰り返し、大人になっても浮気や離婚の話はさして珍しくもないのだ。
愛は不滅、なんてのは都合の良い解釈でしかない。
そうであって欲しいとただ願うだけの、一時の熱に心を支配された幻想に過ぎないのかもしれない。けれど、大事なのは確かに愛した時間があるということ。
たとえ一度嫌いになっても、確かに抱いた好きという気持ちに嘘をつくつもりはない。
《契約》のスキルで結ばれたからじゃない。
彼女達と確かな絆を結びたかったから、僕は今2人の側にいるのだ。
だから僕は、たとえどんな状況に立っても、2人を捨てるなんてことはしない。
故に――この場で一番するべきことをするのだ。
「夕ご飯、3人で作ろうか」
――そして、時間は現在に戻る。
どちらが正妻に相応しいか、その座を巡って戦端が開かれているなどと、そんなこと僕が予想できるはずもなく。
「妾の《バーニング・ブレス》を喰らってみるかのう? それに耐えられたらおぬしの勝ちでもよいが」
「いいでしょう。私の水の盾を貫けるものなら、貫いてみなさい?」
不敵に笑い合う2人。
シャルの目の前に灼熱色の、魔法陣が生じ、凄まじい熱量が集っていく。
テーブルに載っていたガラスのコップが飴細工のように歪み、熱気で周辺の空気も蜃気楼のように揺れる。
対するミリーの方も、ビニールプールの水や、コーヒーを操ってそれを盾とし、完全に迎え撃つ構えだ。
「「どちらが上か、白黒つけ――」」
「つけなくていいからぁあああああああああああああ!」
僕の絶叫が、安アパートに木霊した。
――。
「まさか、二日連続で謝罪周りに行くことになるとは」
僕は、歪んだガラスコップという、ある意味芸術と化したそれにコーヒーを注いで一気に飲み干すと、盛大にため息をついた。
案の定というべきか、「なんか急に暑くなったんだけど」「殺気を感じた」などと言う皆様が続出。
実はウチの空調が壊れちゃって~! サウナ地獄の中格闘してたから、たぶんそれ僕の殺気です~! と、なんとか口八丁で誤魔化し、現在に至る。
「わ、悪かったのじゃ」
「す、すいませんでした」
テーブルを挟んで正面に座る2人は、今や借りてきた猫のように大人しくなっている。
帰ってきたらラスボス戦会場みたいになっていた理由は聞いたが、なんというか――怒るに怒れない。
「まあ、今回は大目に見るよ。でも、せめて喧嘩はやるならダンジョンでやってくれ」
普通、モンスターはダンジョンの外に出てこられないようになっている。
それと同様、人間の側もダンジョン内で使用可能な魔法やスキルは、外の世界では使えないことになっている。
だから、ダンジョンの外で物騒なことが起こることは滅多にないのだが、なぜか“最強種”の2人はこっちの世界でも力を使える。
それが“最強種”に由来するからなのか、それとも僕と契約したからなのか、詳細はわからないが。
とにかく、この場で本気を出されたら半径2キロは更地になる。
そんな物騒なことをさせるつもりはないため、ここは自制して貰わねばならないのだ。
じゃないと、世界が終わる。わりとマジで。
「とにかく、この家で喧嘩は御法度。そもそも、勝負する必要自体ないしね」
「「え?」」
シャルとミリーさんは目を丸くする。
ここは多少気恥ずかしくても、僕自身の正直な気持ちを伝えておいた方が良いだろう。
「2人には、それぞれ得意なことも苦手なこともあると思う。でも、そこで競う必要なんてないよ。それも全部含めて、僕は2人のことが好きなんだしさ」
歯の浮くような言葉だな、とは自分でも思う。
ただ、紛れもない真実だ。
正妻の座がどうとか、相手よりも劣っているかもしれないという焦りとか、そんなものを感じる必要はない。
だって、僕はとっくにこの2人のことを好きになっているからだ。
そりゃまあ、いきなり妻だのなんだのは驚いたし、まだ受け入れられていないこともあるけど。
「僕は、優劣を付けてどちらかを捨てるなんてことは、絶対にしない」
これだけは、しっかり伝えておかなければならないと思った。
「なんじゃ。結局、お見通しじゃったのかの」
「みたいですね……」
シャルとミリーさんは、バツが悪そうに顔を見合わせて呟く。
「悪かったの。旦那様を愛していると言いつつ、その……ミリーだけを愛して、妾は愛されないんじゃないかと、少し不安になってしまったのじゃ」
「私も同じです。絆さんがそんなことしない方だと知りつつ、心のどこかで不安になってました。シャルの方が、私よりもずっと可愛くて魅力的だから」
そんな風に、心情を吐露する2人。
それこそ、無用の心配だ。
そりゃあ、この先2人と喧嘩したり、嫌いになってしまったりすることはあるかもしれない。
中高生のカップルがくっついて別れてを繰り返し、大人になっても浮気や離婚の話はさして珍しくもないのだ。
愛は不滅、なんてのは都合の良い解釈でしかない。
そうであって欲しいとただ願うだけの、一時の熱に心を支配された幻想に過ぎないのかもしれない。けれど、大事なのは確かに愛した時間があるということ。
たとえ一度嫌いになっても、確かに抱いた好きという気持ちに嘘をつくつもりはない。
《契約》のスキルで結ばれたからじゃない。
彼女達と確かな絆を結びたかったから、僕は今2人の側にいるのだ。
だから僕は、たとえどんな状況に立っても、2人を捨てるなんてことはしない。
故に――この場で一番するべきことをするのだ。
「夕ご飯、3人で作ろうか」
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