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第3章 狐の嫁入り、夢か現か
第36話 家族3人食卓を囲んで
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そんなわけで、夕飯は仲良く3人で作ることとなった。
落としどころとしては、無難なところだろう。
驚くべきは、ミリーさんの手際の良さだった。
今日の献立はビーフシチューにニンジンスープ、サラダという少し豪華なものだ。
僕の財布が悲鳴を上げていることは全力で目を背けるとして、実際ミリーさんの実力は折り紙付きであった。
ビーフシチューを作っている間に、同時進行でニンジンのスープやサラダの調理を進めてしまうからだ。
流石に、リースさんが「花嫁修業を積ませている」と言っただけのことはある。
お陰で、僕はただ言われたとおりに野菜や肉を包丁で切る係となってしまった。
シャルに関しては料理こそ作ったことがなく、苦手な部類であることは昨日の惨状を思い出せば想像に難くない。
しかし、そこは適材適所。
経験がないため料理は作れないが、彼女には彼女にしかできないことがある。
即ち、火の扱い。曲がりなりにもドラゴンである彼女は、火属性魔法のエキスパートだ。
調理の中には、煮る、焼く、蒸す、炙る……その他幾つもの熱と温度を操って調理する調理法が存在する。
今まで料理に触れる機会がなかったがゆえに、料理における火加減というのがわからなかっただけで、そこはミリーさんが都度適切に火加減を指示することで解決する。
その気になれば、最新鋭のオーブントースターなど目じゃない正確さなのだ。
そんなわけで――
「――シャル、僅かに香りの立ち方が変わったので、弱火にしてください」
「ふむ、これくらいかの?」
「ピッタリです。このまま15分弱火で煮詰めますが……僅かでも温度がぶれると、香りが飛んでしまいます。できれば維持していただきたいですが」
「ふん、妾を誰じゃと思っておる。天下無敵のドラゴンぞ? この程度朝飯前じゃ! 今作って折るのは夕飯じゃがな! ははははははっ!」
「寒いです温度が下がります余計なこと言わないでください」
「うぐっ! すまぬ……というかお主、料理になるとキャラが変わるタイプかの?」
そんなことを言い合いながら、調理を続ける2人。
シャルが一言念じると、ガスコンロの火は付けていないのに、鍋の下に燃えさかる炎が一段階威力を落とす。
「スープの方も、上手く全体に味を馴染ませた方が良さそうですね。牛乳を追加しましょうか」
ミリーさんは人差し指を牛乳パックの方に向ける。
すると、中身の白い液体が独りでにパックから離れ、オレンジ色に照り輝くニンジンスープに吸い込まれていく。
更に、おたまを入れてもいないのに、スープがグルグルと攪拌され、全体に牛乳の滑らかさがまんべんなく巡っていく。
その気になれば空気中の水分すら操れる《水流操作》の力。
そんな異次元クッキングを眺めていた僕は一言、
「……全自動調理器ってもう実用化されてたんだな」
そんなバカげたことを呟いてしまった。
――。
「「「いただきます!」」」
テーブルの上に並ぶ料理を目の前に、僕達は勢いよく夕飯にありついた。
「美味い!」
サラダはしゃきしゃきとみずみずしいレタスの旨みに、トマトの酸味がマッチしている。
ニンジンスープは牛乳のまろやかな甘さとニンジンのコクが合わさって極上の一品に。
なにより、ビーフシチューがヤバい。
残金ケチって外国産の半額引きカレー用牛肉(消費期限一日過ぎてる)を使ったというのに、臭さも堅さもまるでなく、噛む度に肉汁と甘さがしみ出し、口の中でほろほろと溶けていく。
これを成し遂げたのは、シャルの凄まじい炎操作能力のお陰だろう。
その肉の旨みがしみ出したシチューは、まさに絶品。ミリーさんの料理の実力がうかがい知れる。
「これすごいな。たぶんお店に出せるんじゃない?」
「あ、ありがとうございます。お口に合ったのならよかった」
「うむ、妾達が協力したのだから当然であろう!」
ミリーさんは恥ずかしそうに頬を赤らめ、シャルは得意げに胸を張る。
本当にたいしたものだ。流石と言う他ないだろう。
「そういえばご主人様は、今日はダンジョンへ潜るのかの?」
「う~ん、今日はやめておくよ」
流石に昨日の今日で、というのは疲れてしまうからな。
「ただ、明日は土曜だし、学校も休みだから行こうと思ってる。たぶん、稼がないと今月ピンチだし」
自炊とはいえ、いつまでもこんな贅沢を続けるわけにはいかない。
3人分の食費は、バカにならないのだ。
「そうか。では妾もお供するとしようかの」
「私も行きます! 以前までなら足手まといになっていたかもしれませんが、今は人魚のスキルが使えますので」
「ありがとう、2人とも。じゃあ、よろしく頼むよ」
僕は、2人に向けてそう告げる。
明日、ダンジョンへ赴くことが決定したのだった。
落としどころとしては、無難なところだろう。
驚くべきは、ミリーさんの手際の良さだった。
今日の献立はビーフシチューにニンジンスープ、サラダという少し豪華なものだ。
僕の財布が悲鳴を上げていることは全力で目を背けるとして、実際ミリーさんの実力は折り紙付きであった。
ビーフシチューを作っている間に、同時進行でニンジンのスープやサラダの調理を進めてしまうからだ。
流石に、リースさんが「花嫁修業を積ませている」と言っただけのことはある。
お陰で、僕はただ言われたとおりに野菜や肉を包丁で切る係となってしまった。
シャルに関しては料理こそ作ったことがなく、苦手な部類であることは昨日の惨状を思い出せば想像に難くない。
しかし、そこは適材適所。
経験がないため料理は作れないが、彼女には彼女にしかできないことがある。
即ち、火の扱い。曲がりなりにもドラゴンである彼女は、火属性魔法のエキスパートだ。
調理の中には、煮る、焼く、蒸す、炙る……その他幾つもの熱と温度を操って調理する調理法が存在する。
今まで料理に触れる機会がなかったがゆえに、料理における火加減というのがわからなかっただけで、そこはミリーさんが都度適切に火加減を指示することで解決する。
その気になれば、最新鋭のオーブントースターなど目じゃない正確さなのだ。
そんなわけで――
「――シャル、僅かに香りの立ち方が変わったので、弱火にしてください」
「ふむ、これくらいかの?」
「ピッタリです。このまま15分弱火で煮詰めますが……僅かでも温度がぶれると、香りが飛んでしまいます。できれば維持していただきたいですが」
「ふん、妾を誰じゃと思っておる。天下無敵のドラゴンぞ? この程度朝飯前じゃ! 今作って折るのは夕飯じゃがな! ははははははっ!」
「寒いです温度が下がります余計なこと言わないでください」
「うぐっ! すまぬ……というかお主、料理になるとキャラが変わるタイプかの?」
そんなことを言い合いながら、調理を続ける2人。
シャルが一言念じると、ガスコンロの火は付けていないのに、鍋の下に燃えさかる炎が一段階威力を落とす。
「スープの方も、上手く全体に味を馴染ませた方が良さそうですね。牛乳を追加しましょうか」
ミリーさんは人差し指を牛乳パックの方に向ける。
すると、中身の白い液体が独りでにパックから離れ、オレンジ色に照り輝くニンジンスープに吸い込まれていく。
更に、おたまを入れてもいないのに、スープがグルグルと攪拌され、全体に牛乳の滑らかさがまんべんなく巡っていく。
その気になれば空気中の水分すら操れる《水流操作》の力。
そんな異次元クッキングを眺めていた僕は一言、
「……全自動調理器ってもう実用化されてたんだな」
そんなバカげたことを呟いてしまった。
――。
「「「いただきます!」」」
テーブルの上に並ぶ料理を目の前に、僕達は勢いよく夕飯にありついた。
「美味い!」
サラダはしゃきしゃきとみずみずしいレタスの旨みに、トマトの酸味がマッチしている。
ニンジンスープは牛乳のまろやかな甘さとニンジンのコクが合わさって極上の一品に。
なにより、ビーフシチューがヤバい。
残金ケチって外国産の半額引きカレー用牛肉(消費期限一日過ぎてる)を使ったというのに、臭さも堅さもまるでなく、噛む度に肉汁と甘さがしみ出し、口の中でほろほろと溶けていく。
これを成し遂げたのは、シャルの凄まじい炎操作能力のお陰だろう。
その肉の旨みがしみ出したシチューは、まさに絶品。ミリーさんの料理の実力がうかがい知れる。
「これすごいな。たぶんお店に出せるんじゃない?」
「あ、ありがとうございます。お口に合ったのならよかった」
「うむ、妾達が協力したのだから当然であろう!」
ミリーさんは恥ずかしそうに頬を赤らめ、シャルは得意げに胸を張る。
本当にたいしたものだ。流石と言う他ないだろう。
「そういえばご主人様は、今日はダンジョンへ潜るのかの?」
「う~ん、今日はやめておくよ」
流石に昨日の今日で、というのは疲れてしまうからな。
「ただ、明日は土曜だし、学校も休みだから行こうと思ってる。たぶん、稼がないと今月ピンチだし」
自炊とはいえ、いつまでもこんな贅沢を続けるわけにはいかない。
3人分の食費は、バカにならないのだ。
「そうか。では妾もお供するとしようかの」
「私も行きます! 以前までなら足手まといになっていたかもしれませんが、今は人魚のスキルが使えますので」
「ありがとう、2人とも。じゃあ、よろしく頼むよ」
僕は、2人に向けてそう告げる。
明日、ダンジョンへ赴くことが決定したのだった。
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