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第一章 パーティをクビになりました。

4.冒険者として

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前書き



hotランキング4位!?

嘘でしょっ!?

御愛読してくださる皆様本当にありがとうございます!!


あ、今回は勇者パートのみ少し進んだ時間軸になっております
_____________________◆

≪本編≫





皆様はテンプレートと言うのをご存じだろうか?

別名テンプレとも言われるこちらの言葉は

型通りの物、と言う意味でよく使われる

そして現在俺は異世界あるあるの冒険者ギルドへ来ている

つまり…どういう事かと言うと

「おい、ここはガキの来るところじゃねぇぞ?
ギャハハハッ!!」

「おうおう、お家帰ってママのおっぱい吸ってるのがお似合いだぜ?ボクちゃん」

……こう言うことである

現在俺はテンプレ中のテンプレである
冒険者に絡まれていた
回りには囲むように目の前の奴を含めて冒険者が4…5…6、6人か
歳はたぶん25~7歳位か?
全く良い大人が6人掛りでピッカピカの成人一年生一人相手になにやってんだが……

…だがまぁ、こいつらをどうにかしないと依頼掲示板を見に行けないのも確かなのだ

よって…

「失せろ…三下の三文芝居に付き合うほど生憎暇じゃないんだよ」

そう言って道を塞ぐ冒険者たちを華麗にスルーして依頼掲示板へ向かう

すると言われた直後は鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしていた冒険者達が一斉に顔を赤くする

「テメェ!クソガキァッ!!
人が優しく言ってりゃ調子こきやがって!!」

憤怒に顔を染める冒険者の内一人が帯剣を引き抜いて迫ってくる

…おい、ギルド内での抜刀は禁止じゃなかったか?

「…≪悪魔の眼≫」

俺は固有スキルの【悪魔の眼】を起動させる
これは実時間を止めることは出来ないが

対象(敵)がまるで止まってるかの如く遅く見えるスキルだ

そしてこれを使って思うことなのだが


(…この冒険者、攻撃がえれェ遅いな)

確かに止まってるかのように見えるとはいえ
時間が止まってない以上回避速度込みだと大して使えないスキルだ

実際のこのスキルの使用途は向かってくる攻撃の隙を探したりするための物だ

……なのだが


「…お前、俺の前じゃ金縛りだぜ?」

ひょいと楽々攻撃を避けたあと
剣の腹を裏拳で下から上へ弾き飛ばす


_____ガキィッ!!__


金属同士をぶつけ合ったような軽く鈍い音が響くと

剣は冒険者の手を離れてギルドの屋根に突き刺さる

「____なっ!?」

「次はお前がぶっ飛べ」

左足を充分踏み込んでから久し振りに本気の右ストレートを打ち込む
知らない間に貯まっていたストレスの捌け口になってもらおうって寸法だ

「ゴルジョッ!?」

手に伝わるバキバキメキメキと言う骨を砕く感触と
殴られた冒険者の情けない悲鳴が辺りに黙礼する



_______ドシャッバギッ!!


殴られた威力のまま床を転がる噛ませ冒険者は近くのテーブルと壁を破壊して止まる

一応付与スキルで死なない程度に物理耐性をつけてあげたのだが

止まった頃には冒険者は全身痙攣を起こしていた


「さぁてまだやるか?
どうせ時間もあることだ、じっくり相手してやんよ
楽しく踊ろーぜ?」

ちょっとしたスッキリ感を味わいつつ
残りの冒険者達へ向き直ると…


「ひ、ヒィッ!?」

「ば、バケモノ!!?」

「何なんだよ!?何なんだよ!!?」

…実力の差がありすぎて怖かったのか
身を寄せあって震えていた


(あちゃ…やり過ぎたか?
だがテンプレ通りならこのやり方で間違いない筈だ…)

面倒な事になっても前世で読んだ小説通りに接すれば良いだろう

そう俺は楽観視していた







一方の勇者パーティ



「は、はぁッ!?
た、たったこんだけ!?
計算間違いだろ!!?」

勇者レオは素材買取りの金額に納得いかなかったようで
台を叩きながら抗議の意を露にする

「って言ってもねぇ…
どうしようも無いんですわ、うちとしてもこの価格が手一杯なんですよ」

そのレオに相対し
落ち着き払った様子で話すのは【ニーナ】と言う受付嬢
素材鑑定のプロである彼女は王国公認の鑑定士試験で首席を抑えた事がある

「納得できるか!
前のワイバーンの買取り価格の1/10だぞ!?」

しかし、そんな彼女の言葉など意に介さないと言った様子でレオは捲し立ててく

…通常、前取引きの時より価格が低いのは何かしらの理由があるはずなのだ

素材の余り然り状態の悪さ然り

だがレオはその事については一度も触れていない
何故なら市場にどれだけワイバーンの素材があるのか、自身の持ち込んだ素材が本当に悪品質ではないのか

それが全くもってわからなかったからだ

それもそのはず、何故なら素材の剥ぎ取り・売り買い含む雑用は全てカンがやっていた

いや、面倒臭がったレオ達がカンに押し付けたのだ

だから自身の持ってきた なワイバーンの皮の価値などわかりもしない

その事がわかってるからかあからさまにニーナの顔は勇者を見下した物になり
_______この素人が!_______と顔に書かれている

「ええ、確かに前回のワイバーンの皮は多少色をつけさせて頂いて
破格の値段で買い取らせて頂きました…しかしですねぇ」

レオの顔を見ながら呆れたようにため息を吐きながら
ニーナは続ける

「何故相場より高く買い取らせて頂いたか
それは前回持ち込んで戴いた皮の品質にあります
…あれは素晴らしい物でしたよ、弱点をついて最小限の刃物傷しかついてないのは勿論の事
確り血抜き等の後処理が施された後に剥ぎ取りされたものなので色合いも、更に加工しやすいようにあらかじめ鞣してありました」

わかりますか?この違いが、と
小さな子を諭すようにニーナはまだ続ける

「こちらは今回レオさんがお持ちいただいたワイバーンの皮ですよ
まぁまず目に入るのが切り傷の多さですよね」

カウンターに置かれたボロボロの皮を持ち上げて広げ
レオにもよく見えるようにする

「これではワイバーンの皮での主軸である防具には使えません…布の切れ端みたいな物ですからね
更に…血抜きを怠りましたね?赤黒い染みが点々と出来ています
鞣されてもいません」


一通り価値の低い理由を述べた後
ニーナはカウンターに皮を置き直す

「以上を踏まえて、どこに通常と同じ程の価値が
このワイバーンの皮に見出だせるでしょうか?
防具には使えない、色合いは悪い、染みもある
これ等の点を踏まえて、まだなにか不満がありますでしょうか?」

「……ッ!」

ここまで言われればバカなレオにも意味はわかり
何も言えなくなり、悔しさで泣きそうになる

そしてニーナはその様子を見ながらようやく静かになったか、と考えつつ
変な勘違いを起こさないようにもうひとつ念を押す

「…あらかじめ言っておきますが
そんな悪品質の皮でも、1/10の値がつくのは
それだけ品物がないと言うことです
…普通の皮ならこんな品質絶対買い取りませんよ
ギルドの信用問題に関わりますからね」

「ぐっ…うぅうぅ…っ……!」

そこまでボロクソに言われ
遂に心が折れてレオは泣き出してしまう

バカにされるのは自身の勇者としてのプライドが許さなかった
誰が好んでテメェに売ってやるか!と素材を持って帰りたかった

でも現状がそれを赦してくれない

何としても素材を買って貰わなければならないのだ

あれから幾度となくワイバーンの群れに挑み、返り討ちにされ
一日に何度も武器、防具の修理代を出し、目玉が飛び出るほど高いポーションの痛すぎる出費

ようやく出撃毎に1~2体道づれに出来るようになる頃には
もう手持ち金の底が見え始めていた


故に、もはやレオに貼れる見栄など残っていなかった
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