5 / 27
Episode.1 ある日、森の中、王子様に出会った
第5話 冷血魔法少女ルルーリア、王子様の逆鱗に触れる
しおりを挟む
巨大ゴリラの暴れっぷりに圧倒されていた一同はしばらくの間、声もなく彼女の姿を見つめた。
そしてリーザロッテと云えば立ち尽くしたまま、もう気も狂わんばかりだった。
(うわあああ、元に戻っちゃったぁぁ!)
(って言うか何なのよ、あの巨大ゴリラ! 勝手なことホザいて大暴れ! あんなの私じゃなーい!)
(お婆ちゃん、なんてトンでもない魔法を……トホホ)
頭を抱えたいところだが一同の注目を前に、リーザロッテはとりあえず「エヘ」と引き攣った笑顔を浮かべてみた。
「リーザロッテさん、無事だったんだ!」
「は、はい?」
「魔法で呼び出したあの巨大ゴリラが貴女を守ってくれてたんだ……よかった」
「は、はい!」
我に返ったレディルの声に、リーザロッテは心の中で快哉を叫んだ。王子様は自分が巨大ゴリラを召喚したと思っている、その正体が自分だなんて気づいていない! やったぁぁぁぁ!
震えて抱き合っていた三人の刺客達の顔にも「助かった!」と生色が戻る。
だが彼らはそれと同時に、今まで恐ろしい目に遭わされた怒りがふつふつと湧き上がってきた。
「こいつ、なにが“エヘ”だ!」
さっきまで情けなく震えていた刺客達は、竦んでいる魔法少女へ「また変な魔法を使う前に血祭りにあげろ!」と襲い掛かる。
リーザロッテが「ひぃぃぃぃ!」とへたり込むと、プッティが「手前ら、私が相手だ!」と、仁王立ちで薪ざっぽを構えた。
だが、そんな主従をさらに庇って「退れ、下郎どもが!」と飛び出したレディルが手にした剣で鋭く横へ薙ぎ払った。刺客達は慌てて飛び退く。
「さっきまで震えてた癖に、か弱い女の子相手だと途端に威勢がいいな」
「レディル様!」
「今度は僕が貴女を守る。ふん、こんな奴等……」
巨大ゴリラの大暴れに腰の抜けた刺客達が今さら粋がったところで負ける気はしない、と対峙する姿にリーザロッテは「やっぱり王子様だ、カッコいい……」と、見惚れてしまった。
「二人とも、僕の後ろに下がってて」
「私達も助太刀します!」
裏返った声と共に、薪ざっぽを握りしめた魔法少女と人形がレディルの横に並んだ。
「これで同じ三対三。互角に戦えますよ!」
「あたいも伊達にリーザロッテをブン殴ってる訳じゃねーぜ!」
レディルの顔に思わず笑みが浮かんだ。
刺客達は気勢を削がれたが、所詮は無力な援軍とばかりに再び「かかれ!」と襲い掛かる。
いや、掛かろうとした。
「魔法の傀儡糸!」
次の瞬間、刺客達はふわりと宙に浮かぶと目に見えない糸で絡めとられたように腕を捩じりあげられ、悲鳴を上げた。
「そこまでです。無礼者ども、それ以上の狼藉は私が許しません」
鈴を転がすような声とともに一人の少女が魔法陣に乗ったまま、レディルの前へ空から舞い降りてきた。
「ルルーリアさん……」
「レディル様の御身にあるいは危険がと危惧しておりました。遅くなって申し訳ありません」
それは華やかなウィスタリア・パープルのドレスに身を包んだ魔法少女だった。
年の頃はリーザロッテと同じだったがずっと大人びている。妖精のような美しい顔立ちや身に着けた高級な衣装から、高位の魔法の使い手であることが窺い知れた。
エレベーターのように降下した魔法陣は地表へ溶けるように消え、彼女はレディルへ向ってドレスの裾を摘まみ、魔法少女の挨拶……カーテシーのポーズを執った。
これからダンスのお相手を務めますとでもいうようなその仕草は、リーザロッテの目に自分と同じ魔法少女の挨拶とはとても見えないほど優雅に見えた。
「このような場ではございますが……ルルーリア・マギカ・キルシェット、レディル王子殿下へお目通りさせていただき、心より嬉しく思います」
「こちらこそ恐れ入ります。ズワルト・コッホ帝国の外務参与である貴女が、このような辺鄙な森まで出向いてくださるとは恐縮です」
残った刺客達は既に拘束されており、危険がなくなったのを知ったレディルは剣を鞘に納め、丁寧に挨拶を返した。ルルーリアは溶けるような笑みを彼に向けたが、傍らのリーザロッテには目もくれない。
振り返ると白銀と蒼穹のヘテロクロミアの瞳に冷酷な光を煌めかせ、刺客達を睨めつけた。
「拉致などとはよくも……その罪、死に値します。そのまま捩じ切れるがいいわ!」
容赦なくギリギリと締め上げられた後に骨の折れる音がした。悲鳴は絶叫へと変わり、リーザロッテは思わず目を瞑り、両手で耳を覆った。
「ルルーリアさん、もうお止めなさい。これ以上狼藉も働けまいし、放してやりなさい」
「害為す者にまでお優しいこと……わかりましたわ、レディル様がお許しなさるのでしたら」
誅殺しようとしていたとは思えない微笑みを浮かべると、彼女はレディルへ一礼し、舞うような仕草で虚空に巡らせた魔法の糸を爪先で裁ち切った。
宙に縛り上げられていた刺客達はどさりと音を立てて地面に落ちる。彼等は呻きながら寄り集まり、うずくまった。
「命冥加な下郎が。レディル様の恩情に感謝なさい。逆恨みで妙な真似など企めば、今度は私が許さないわ」
冷酷な口調で少女が吐き捨てると、レディルが穏やかに告げた。
「どこの手の者かおおかた察しているが敢えて聞くまい。手負いの者を連れてこの場から立ち去るがいい。ルルーリアさんの名を出せば、僕を拉致出来なかった責を主から咎められることもあるまい」
拉致すべき当の相手から釈明の助言まで受けた三人の刺客は、もう言葉もなく項垂れた。彼等は無言のまま頭を下げると浅傷だった仲間の手も借り、気を失った者や深手の者を助け起して何処かへ、すごすごと立ち去っていった。
「レディル様、ご無事で何よりでしたわ。ズワルト・コッホ建国記念祭にお招きされたと聞いて陰ながら帰路をお守りしようと思っておりましたが各国との接待が長引いてしまい……面目次第もございません」
「いや、僕がうかつでした。武装や護衛で警戒されるのを極力避けようと思ってこの通り単身で佩剣だけだったから……貴女にはご迷惑をお掛けしてしまいました」
「迷惑など……とんでもございません」
ルルーリアは艶然と笑った。この少女がレディルへひとかたならぬ好意を寄せているのが傍目にも丸分かりだった。本来の責務でない彼の護衛を務めるべくここへ馳せ参じたものらしい。
リーザロッテはしばらくの間ポカンとしていたが、二人を見比べるうち次第に萎れていった。
彼女の名についた「マギカ」とは、この世界でもごく限られた魔女しか名乗れない高位の称号である。そのうえ、美しい容姿と身のこなし……恋人と言ってもおかしくないくらい、彼女は王子にお似合いだった。
粗暴な巨大ゴリラになって暴れた底辺魔法少女の自分とは何という違いだろう。
俯いて摘まんだスカートの裾は綻んでいて、リーザロッテはますます自分が惨めになった。
そんな傷心など知るはずもなく、レディルは彼女をルルーリアへ気さくに紹介した。
「ああ、紹介するのが遅れてしまった。こちらは貴女と同じ魔法少女のリーザロッテ・プレッツェルさん。刺客を相手に魔法で助けてくださった、僕の生命の恩人です。隣の人形は彼女の友達でプッティ嬢」
「……お初にお目にかかります、リーザロッテ・プレッツェルと申します」
「あたいはプッティ、よろしくな」
リーザロッテはしょんぼりと、プッティは元気よく挨拶したが、ルルーリアはそんな二人をチラリと一瞥しただけで呪文を唱え始めた。
怪訝な顔をしたレディルやキョトンとするリーザロッテの前に、やがて金色に輝く魔法陣が浮かび上がる。
「レーベンスディルファー・フォル・レストリア殿下。拙い技ではございますが、ここよりレストリア王城へ転送させていただく魔法陣をご用意いたしました。国王陛下もご無事なお帰りをお待ちしていらっしゃるはず。こちらよりどうぞ御帰城下さいませ」
ルルーリアは恭しくレディルへ促した。
「でも馬は?」
「ご乗馬は私が後刻お城へお連れ致します」
「こちらの二人は?」
「捨て置かれませ」
そのような下賤の者など……ルルーリアの言葉は嘲笑を孕んでいた。
「王子様、お帰りですか。今夜はありがとうございました」
惨めさを誤魔化すようにリーザロッテは「お間抜け魔法少女、今宵はお二人に助けていただきましたぁ。へへっ」と、おどけて頭を掻いた。
だが、レディルは笑って済まさなかった。
「さあレディル様、わたくしの魔法陣へどうぞ」
「……断る」
そしてリーザロッテと云えば立ち尽くしたまま、もう気も狂わんばかりだった。
(うわあああ、元に戻っちゃったぁぁ!)
(って言うか何なのよ、あの巨大ゴリラ! 勝手なことホザいて大暴れ! あんなの私じゃなーい!)
(お婆ちゃん、なんてトンでもない魔法を……トホホ)
頭を抱えたいところだが一同の注目を前に、リーザロッテはとりあえず「エヘ」と引き攣った笑顔を浮かべてみた。
「リーザロッテさん、無事だったんだ!」
「は、はい?」
「魔法で呼び出したあの巨大ゴリラが貴女を守ってくれてたんだ……よかった」
「は、はい!」
我に返ったレディルの声に、リーザロッテは心の中で快哉を叫んだ。王子様は自分が巨大ゴリラを召喚したと思っている、その正体が自分だなんて気づいていない! やったぁぁぁぁ!
震えて抱き合っていた三人の刺客達の顔にも「助かった!」と生色が戻る。
だが彼らはそれと同時に、今まで恐ろしい目に遭わされた怒りがふつふつと湧き上がってきた。
「こいつ、なにが“エヘ”だ!」
さっきまで情けなく震えていた刺客達は、竦んでいる魔法少女へ「また変な魔法を使う前に血祭りにあげろ!」と襲い掛かる。
リーザロッテが「ひぃぃぃぃ!」とへたり込むと、プッティが「手前ら、私が相手だ!」と、仁王立ちで薪ざっぽを構えた。
だが、そんな主従をさらに庇って「退れ、下郎どもが!」と飛び出したレディルが手にした剣で鋭く横へ薙ぎ払った。刺客達は慌てて飛び退く。
「さっきまで震えてた癖に、か弱い女の子相手だと途端に威勢がいいな」
「レディル様!」
「今度は僕が貴女を守る。ふん、こんな奴等……」
巨大ゴリラの大暴れに腰の抜けた刺客達が今さら粋がったところで負ける気はしない、と対峙する姿にリーザロッテは「やっぱり王子様だ、カッコいい……」と、見惚れてしまった。
「二人とも、僕の後ろに下がってて」
「私達も助太刀します!」
裏返った声と共に、薪ざっぽを握りしめた魔法少女と人形がレディルの横に並んだ。
「これで同じ三対三。互角に戦えますよ!」
「あたいも伊達にリーザロッテをブン殴ってる訳じゃねーぜ!」
レディルの顔に思わず笑みが浮かんだ。
刺客達は気勢を削がれたが、所詮は無力な援軍とばかりに再び「かかれ!」と襲い掛かる。
いや、掛かろうとした。
「魔法の傀儡糸!」
次の瞬間、刺客達はふわりと宙に浮かぶと目に見えない糸で絡めとられたように腕を捩じりあげられ、悲鳴を上げた。
「そこまでです。無礼者ども、それ以上の狼藉は私が許しません」
鈴を転がすような声とともに一人の少女が魔法陣に乗ったまま、レディルの前へ空から舞い降りてきた。
「ルルーリアさん……」
「レディル様の御身にあるいは危険がと危惧しておりました。遅くなって申し訳ありません」
それは華やかなウィスタリア・パープルのドレスに身を包んだ魔法少女だった。
年の頃はリーザロッテと同じだったがずっと大人びている。妖精のような美しい顔立ちや身に着けた高級な衣装から、高位の魔法の使い手であることが窺い知れた。
エレベーターのように降下した魔法陣は地表へ溶けるように消え、彼女はレディルへ向ってドレスの裾を摘まみ、魔法少女の挨拶……カーテシーのポーズを執った。
これからダンスのお相手を務めますとでもいうようなその仕草は、リーザロッテの目に自分と同じ魔法少女の挨拶とはとても見えないほど優雅に見えた。
「このような場ではございますが……ルルーリア・マギカ・キルシェット、レディル王子殿下へお目通りさせていただき、心より嬉しく思います」
「こちらこそ恐れ入ります。ズワルト・コッホ帝国の外務参与である貴女が、このような辺鄙な森まで出向いてくださるとは恐縮です」
残った刺客達は既に拘束されており、危険がなくなったのを知ったレディルは剣を鞘に納め、丁寧に挨拶を返した。ルルーリアは溶けるような笑みを彼に向けたが、傍らのリーザロッテには目もくれない。
振り返ると白銀と蒼穹のヘテロクロミアの瞳に冷酷な光を煌めかせ、刺客達を睨めつけた。
「拉致などとはよくも……その罪、死に値します。そのまま捩じ切れるがいいわ!」
容赦なくギリギリと締め上げられた後に骨の折れる音がした。悲鳴は絶叫へと変わり、リーザロッテは思わず目を瞑り、両手で耳を覆った。
「ルルーリアさん、もうお止めなさい。これ以上狼藉も働けまいし、放してやりなさい」
「害為す者にまでお優しいこと……わかりましたわ、レディル様がお許しなさるのでしたら」
誅殺しようとしていたとは思えない微笑みを浮かべると、彼女はレディルへ一礼し、舞うような仕草で虚空に巡らせた魔法の糸を爪先で裁ち切った。
宙に縛り上げられていた刺客達はどさりと音を立てて地面に落ちる。彼等は呻きながら寄り集まり、うずくまった。
「命冥加な下郎が。レディル様の恩情に感謝なさい。逆恨みで妙な真似など企めば、今度は私が許さないわ」
冷酷な口調で少女が吐き捨てると、レディルが穏やかに告げた。
「どこの手の者かおおかた察しているが敢えて聞くまい。手負いの者を連れてこの場から立ち去るがいい。ルルーリアさんの名を出せば、僕を拉致出来なかった責を主から咎められることもあるまい」
拉致すべき当の相手から釈明の助言まで受けた三人の刺客は、もう言葉もなく項垂れた。彼等は無言のまま頭を下げると浅傷だった仲間の手も借り、気を失った者や深手の者を助け起して何処かへ、すごすごと立ち去っていった。
「レディル様、ご無事で何よりでしたわ。ズワルト・コッホ建国記念祭にお招きされたと聞いて陰ながら帰路をお守りしようと思っておりましたが各国との接待が長引いてしまい……面目次第もございません」
「いや、僕がうかつでした。武装や護衛で警戒されるのを極力避けようと思ってこの通り単身で佩剣だけだったから……貴女にはご迷惑をお掛けしてしまいました」
「迷惑など……とんでもございません」
ルルーリアは艶然と笑った。この少女がレディルへひとかたならぬ好意を寄せているのが傍目にも丸分かりだった。本来の責務でない彼の護衛を務めるべくここへ馳せ参じたものらしい。
リーザロッテはしばらくの間ポカンとしていたが、二人を見比べるうち次第に萎れていった。
彼女の名についた「マギカ」とは、この世界でもごく限られた魔女しか名乗れない高位の称号である。そのうえ、美しい容姿と身のこなし……恋人と言ってもおかしくないくらい、彼女は王子にお似合いだった。
粗暴な巨大ゴリラになって暴れた底辺魔法少女の自分とは何という違いだろう。
俯いて摘まんだスカートの裾は綻んでいて、リーザロッテはますます自分が惨めになった。
そんな傷心など知るはずもなく、レディルは彼女をルルーリアへ気さくに紹介した。
「ああ、紹介するのが遅れてしまった。こちらは貴女と同じ魔法少女のリーザロッテ・プレッツェルさん。刺客を相手に魔法で助けてくださった、僕の生命の恩人です。隣の人形は彼女の友達でプッティ嬢」
「……お初にお目にかかります、リーザロッテ・プレッツェルと申します」
「あたいはプッティ、よろしくな」
リーザロッテはしょんぼりと、プッティは元気よく挨拶したが、ルルーリアはそんな二人をチラリと一瞥しただけで呪文を唱え始めた。
怪訝な顔をしたレディルやキョトンとするリーザロッテの前に、やがて金色に輝く魔法陣が浮かび上がる。
「レーベンスディルファー・フォル・レストリア殿下。拙い技ではございますが、ここよりレストリア王城へ転送させていただく魔法陣をご用意いたしました。国王陛下もご無事なお帰りをお待ちしていらっしゃるはず。こちらよりどうぞ御帰城下さいませ」
ルルーリアは恭しくレディルへ促した。
「でも馬は?」
「ご乗馬は私が後刻お城へお連れ致します」
「こちらの二人は?」
「捨て置かれませ」
そのような下賤の者など……ルルーリアの言葉は嘲笑を孕んでいた。
「王子様、お帰りですか。今夜はありがとうございました」
惨めさを誤魔化すようにリーザロッテは「お間抜け魔法少女、今宵はお二人に助けていただきましたぁ。へへっ」と、おどけて頭を掻いた。
だが、レディルは笑って済まさなかった。
「さあレディル様、わたくしの魔法陣へどうぞ」
「……断る」
0
あなたにおすすめの小説
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる