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《六話》勇馬の休日 後編 ※
しおりを挟む※逆レイプの表現がありますので、苦手な方はご注意ください。
ふ……と勇馬の目が覚めた。
薄暗い部屋で、見覚えのない天井。しかも、下半身がスースーするのに、大切な部分はひどく熱くなっていた。
「あら、お早いお目覚めですわね」
「っ!」
撫子がなぜか勇馬の上に跨がっていた。そればかりか……。
「う……っ」
「あら、まだ出したら駄目ですわよ」
「な、なにをっ」
勇馬は撫子を振り払おうと手を動かしたら、ガチャガチャという金属音が耳に届いた上に、腕が動かなかった。
「わたくし、身動きがとれない殿方を玩ぶのがとっても好きなんですの。この部屋もそういう専用のお部屋なんですのよ」
「撫子さんっ」
「あぁ、嬉しいわ。ようやく勇馬さまがわたくしの名前を呼んでくださった! あっ、あっ、あぁ、あんっ、撫子のナカでおっきくなった……っ」
「止めろっ」
「止めろと言いながら、さっきよりかたくなりましたわ」
撫子は服を着たままで、スカートを広げた状態で勇馬の上で腰を動かしていた。
「勇馬さま、童貞というのは本当ですの?」
「くぅっ」
「勇馬さまの立場ならば、女遊びはいくらでもできたでしょう? それとも、潔癖なだけですか? それとも、あの秋尾みやびという女のせいですか」
「なっ、なに、をっ」
「ふぅ、ふぅん、はぁん。そんなにあの女が大切なのですか」
「みやびちゃんは、僕の大切な妹だ」
「血の繋がりなどないのに? 襲ってしまえば良かったのに」
「妹相手にそんなこと、できるわけ……!」
「わたくし、知ってますの。勇馬さまは、みやびさまのことを思って、マスターベーションをしていたってことを」
「っ」
お嬢さまが口にするとは思えない言葉と内容に、勇馬は唇を噛みしめた。
撫子の腰の動きは、勇馬を射精へと導くように蠢いていた。
「わたくしの心はとても広いんですのよ。わたくしのことを秋尾みやびだと思って、抱いておしまいなさい。ナカにも出し放題ですわよ。あぁ、わたくしも早く勇馬さまとの子どもを授かりたいですわ」
「くぅ……っ」
「ね、勇馬さま、ほら、そろそろ限界でしょう? イッてもよろしくてよ?」
撫子が言うように、勇馬はこの歳まで女性経験がなかった。
潔癖というのも当たりであるが、みやびに対して邪な思いを抱いていたからというのも他ならない。
しかし、今まで手を出せなかったのは、みやびの警戒心が強すぎたのもあるのだが、勇馬の勇気がなかったというのも大きい。
やろうと思えば、今回の撫子のように、睡眠薬を盛って無理矢理もできたのだが、尽くしていればいつかは振り向いてもらえると信じていたから、それをしなかったのだ。
「結婚式は半年後に、この間のホテルで盛大に行いましょうね。ふふふ、もしもこれで妊娠したら、お腹の大きな姿でドレスを着ることになりますわね」
「や……め、ろ」
「嫌ですわ。わたくしもとても気持ちがいいんですもの」
勇馬は今まで我慢していたのだが、撫子の腰の蠢きに我慢が効かなくなってきて、ゆるゆると腰を振り始めた。
「あぁ、勇馬さま、初めての割りにはとてもお上手ですわ。突き上げていただくと……あ、あぁっ」
「くぅ」
撫子が言うように突き上げると、勇馬の脳天に快感が痺れた。
しかも先ほどから、頭がぼんやりとしてきていた。
今、勇馬の上に乗っているのが撫子だということを忘れて、勇馬は必死になって腰を振った。
「ふっ、ふぅっ」
「あぁ、勇馬さま、素敵。今までで一番、気持ちがいいですわ。やはり、勇馬さまは最高のパートナーですわ」
撫子の腰の動きだけでは物足りなくなっていたが、それでも、もう、出したくて出したくて仕方がなかった。
「くぅ……イ……くっ」
「えぇ、来てくださいませ。撫子はいつでも大丈夫ですわ」
撫子の声に、勇馬は腰を思い切り押しつけ、ナカへと解き放った。
「あ……、熱……い」
「あぁぁぁ」
腕に付けられていた鎖はいつの間にか取られていたようで、撫子がぐったりと勇馬に抱きついてきたのを合図に、撫子を組み敷くと、勇馬は撫子のナカを擦り始めた。
「あ、待って! 今、イッてるところだからぁ」
「身体が熱い……! まだ出し足りない」
「あぁぁんっ」
勇馬は狂ったように撫子を突き上げ、何度も解き放った。
*
勇馬は、目が覚めたらすっきりしているけれど、妙に頭が痛かった。
「勇馬さま、起きましたか?」
その声に、けだるく目を開けると、目の前に上機嫌な撫子がいた。
「勇馬さま、とても素敵でしたわ」
「あ……」
その一言で、なにが起こったのか思い出し、目の前が真っ赤になった。
「わたくしのナカ、名器とよく言われますの。これを味わったら、もう他の女では満足できなくなるはずですわ」
「…………これは……」
勇馬がなにかを耐えるように唇を噛んでいるのを見て、撫子は笑った。
「逆レイプ、とでもおっしゃりたいのですか」
「きみは……!」
「わたくし、欲しいものはどういう手段を取ってでも、手に入れますの」
「…………」
「今日、勇馬さまにお話があったのは、実は二つではなくて、三つですの」
撫子は茶色く長い髪をかき上げ、にこりと笑った。
「一つは、結婚式の日取り。これはわたくしに一任させてくださいな」
「……任せた」
「二つ目は、わたくし、今まで働いたことがないのですの。ですから、結婚する前に一度、働いてみたいと思っていますのよ」
働きたいのなら、働けばいいのにと思ったのだが、撫子は続けた。
「そこで、勇馬さまにお力添えをしていただきたいんですの」
「……なにを?」
勇馬は先ほどの乱れた姿と、された内容を思い出し、内心は身悶えていた。だから余計に、素っ気ない態度になっていた。
「わたくし、エダス出版のプレイン編集部で働いてみたいんです」
撫子の思わぬ言葉に、勇馬は唖然とした。
まさか、みやびがいるところに乗り込んで、なにかしでかそうとしているのか?
婚約者の男に薬を盛って、逆レイプをするような相手だ、なにをするのか分からない。
「僕にはそんな力も権限もないよ」
「嘘ばっかり。勇馬さま、あそこに秋尾みやびがいるから、スポンサーをされているのでしょう?」
「…………」
「三つ目のお話は、勇馬さまがわたくしの言うことを聞かないと、秋尾みやびの身に危険が及ぶってことです」
「きみは! こんなことをしでかした上に、僕を脅迫するつもりなのかい!」
「そうでもしないと、勇馬さまの心は掴めませんもの」
と、とんでもないことをしれっと言ってきた撫子に、さすがの勇馬も戦慄した。
「みやびちゃんには手を出さないでくれ!」
「嫌ですわ。勇馬さまは撫子のことを一生、愛してくれることはないでしょうから、脅迫でもしない限り、絶対に結ばれることなんてありませんもの」
「やり方を間違っている!」
「そんなこと、勇馬さまに言われたくないですわ」
「僕はきみと違って、実行はしていない!」
「していないなんて、嘘ですわ。だって、ずーっと秋尾みやびの側から離れなかった。異性だけではなくて、同性が近づくのも嫌がって、独り占めしていたじゃないですか」
「みやびちゃんは僕の大切な妹なんだ! 信頼の置けない人物を側に置ける訳がないじゃないか!」
「それを独占欲と言わずして、なんと言うのですか? あなたの方がよほどひどいことをしている。あの秋尾みやびという女は、あなたのせいで、本当は楽しく気持ち良く送れた青春を送れなかったのですよ」
勇馬としてはそんなつもりはなかったので、首を強く振った。
「みやびちゃんはツンデレだから、実は喜んでいても、態度には出さなかっただけで、喜んでくれていたんだ!」
「よくそんなことを言えましたものね。そんなあなたに、わたくしの先ほどの行為を責められたものではありませんわ」
「くっ」
「だって、最後の方は薬が切れていたにも関わらず、わたくしのことを貪っていましたもの」
「…………」
「ね、だから勇馬さま。あなたのお力で、どうか少しの間でいいのですから、プレイン編集部で働かせてくださいな」
「……必ずとは約束できないが、できる限りのことはやってみる」
「まあ、やはりさすがは勇馬さまですわ。ありがとうございます!」
撫子の嬉しそうな笑みに、勇馬は苦々しい思いを抱いていた。
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