7 / 20
《七話》みやびの休日
しおりを挟む
勇馬が散々な目に遭っていた土曜日と日曜日。
みやびは、一人で買い物に来ていた。
物心がついてから、一人で外出をすることなんて、実は初めてだったりするみやびは、最初こそ落ち着かなかったものの、勇馬に気兼ねすることなく、自分のペースで見て回れることに気がついて、感動していた。
まずはお気に入りの雑貨店を見て回り、その後、インテリアを見るために、家具を扱っているお店に移動しようとしたところで、見知った人影が見えた。
「あれって、水無瀬さん……?」
急な取材が入ることもあり、いつもはスーツ姿しか見たことがないが、今日はさすがに休日なので、私服を着ていたけれど、遠目でもすぐに麦だとみやびは気がついた。
声を掛けてもいいものかとしばらく見ていたけれど、スマートフォンをいじってなにかを調べているだけで、だれかを待っているわけでも、彼女とのデートの途中という訳でもなさそうだったので、みやびは思い切って声を掛けた。
「水無瀬さん」
「……あ? 秋尾か。どうした、一人か?」
「はい」
「珍しいこともあるな」
「ははは……」
みやびは思わず、乾いた笑いを返すしかなかった。
仕事中はともかくとして、行きも帰りも、ましてや休日も、常に勇馬が貼り付いていたため、一人でいるのが珍しいのには間違いない。だが、その状況も、みやびが好き好んでいたわけではない。
「沖谷さんがいつも勝手に着いてきていただけです」
「そうなのか。秋尾は実はお嬢さまで、いつもひっついている男は執事だともっぱらの噂だったが、違ったのか」
「違います!」
そんな噂が流れているのは知っていたけれど、否定するタイミングがなかったのだ。なぜなら、面と向かって言われたのは今が初めてだからだ。
「沖谷と言えば、うちのスポンサーだけど、どうしてそんな人が、秋尾の護衛をやってるんだ?」
「護衛ではないですよ。勝手につきまとっているだけです」
「つきまとっている……? ストーカーか?」
「……似たようなモノです」
似たようなモノとは言ったけれど、実質、ストーカーと呼んでも差し支えないとみやびは思っていた。
みやびは何度か勇馬に直接、迷惑だ、恥ずかしい、困ると言ったことがあるのだが、勇馬の思い込みの激しさのせいで、すべて曲解され、果てはツンデレでかわいいと、訳の分からないことを言い始めたのだ。
もっと強く嫌だという態度を取っていれば、つきまとわれなくて済んだのだろうか。
しかし、言ったところで、勇馬が受け入れてくれたとは思えない。
「沖谷財閥の御曹司を捕まえて、ストーカー呼ばわりするのは、秋尾くらいだぞ」
「……あれだけつきまとわれてみれば分かりますよ」
「いや、遠慮する」
社内でもたまにする、気安いやりとりをしているうちに、みやびはなんだか嬉しくなってきた。
今まで、休日といえば、勇馬が後ろから影のようについてきて、外出するか、それが嫌で家でじっとしてゲームをしているかのどちらしかなかったみやびに、初めて訪れたゆったりとした時間。
「水無瀬さん」
「なんだ?」
「これからどこか行くご予定でもありますか?」
「あー、この間、オープンしたというインテリア雑貨のお店に行こうと思って場所を検索していたんだけど……」
「もしかして、シトラス・ジューノスですか?」
「そう、そこだそこ」
「柚子に関連した商品ばかり集めた、少し変わった雑貨店ですよね」
「そうそう」
「わたし、さっき覗いてきたんですけど、行ってみます?」
「お、行ったのか! 場所、よく分かったな」
「確かに少しわかりにくいところでしたね」
みやびと麦は自然と並んで、お店へと向かう。
取材の時などでも、二人でこうして外出をすることがあったけれど、休日に偶然、出会って、というのは初めてで、みやびは段々とドキドキしてきた。
「それにしても秋尾、休日の服は普通なんだな」
「普通ってなんですかっ」
今日はみやびが通信販売で買った、お気に入りのワンピースに、麻の編み込みカーディガンを着ていた。バッグは籐でできた籠だ。
「いつも着てるスーツ、いかにもオーダーメイドです! って感じのピシッとしたヤツだろ。休日はひらひらの服でも着てるんじゃないのかってこっちも噂になってたぞ」
「……スーツは沖谷さんが勝手に作っちゃったんですよ」
「へー、すごいな、それ!」
「すごくないですよ。新人に不相応なスーツで、これでも肩身の狭い思いをしているんですから」
「そうだったんだ」
服にそれほど詳しくない人でも、みやびが着ているスーツがどれだけの物か分かるほど、物が良すぎてみやびは困っていた。
「でも、あんまり安物でも、取材先で舐められてしまいますから、そこそこ助かってはいます」
「まぁな。インテリアや雑貨を扱ってるだけあって、見る目は結構あるからな、あの人たち」
「そうなんですよ」
気難しいオーナーも中にはいて、みやびのスーツを見て、取材を許可してくれたということが何度かあったので、それはそれで助かってはいた。
「社会人になっても、ずっと沖谷さんがつきまとっていて、なんだか一人前になった気がしなくて……」
「親が常に着いてきているような感じか?」
「そうですね。沖谷さんは自称、わたしの兄らしいので」
「兄? あれはでも、兄ってより……」
麦はみやびの言葉に、うーんと唸って、それから口を開いた。
「兄ってより、男の目をしてたぞ」
「……………………」
麦にそう言われて、ようやくみやびが居心地の悪さを感じていた理由が分かった。
みやびには、勇馬ではない、実の兄がいる。その兄は、就職と同時に家を出たのだが、兄はあんな目でみやびを見てきたことがなかった。
それどころか、幼い頃は、よく兄にこき使われていたのだ。
それが普通のきょうだいであり、勇馬の態度はきょうだいのソレではないけれど、なんと言えばいいのか分からないでいたのだが、そういうことだったのか。
そんな話をしているうちに、目的のお店であるシトラス・ジューノスにたどり着いた。
「ここです」
「おー、ここかぁ。この近くまでは来てたんだけど、それらしいお店がなくて、引き返していたんだよな」
「わたしも同じで、一度、引き返したんですよ」
小径を奥まったところの上、看板がこぢんまりとしていて、注意して見ないと見落としてしまう。
「秋尾は一度、行ったんだよな」
「行きましたけど、もう一度、ゆっくり見たいからいいですよ」
「それなら遠慮なく、入らせてもらう」
「はい」
みやびは木の扉を開けて、店内へと入った。その後ろから、麦が遠慮がちについて入ってくる。
勇馬と出かけると、勇馬は店内まで入ってくる頃は稀だった。
ただ、買い物をしようとレジに並んでいると、すかさずやってきて、みやびがいいというのに強引に支払いを済ませるのだ。
今日はそんなことがなくて、本当に気兼ねなく買い物ができて、気が楽だった。
「こんにちは、また来ました」
「いらっしゃいませ」
みやびは先ほど、店を去る前に店長に名刺を渡していたため、みやびが戻ってきたことに不思議そうな表情をされた。
「実は同僚とたまたま会って、連れてきたんです」
「まあ、そうだったのね」
「プレイン編集部の水無瀬です」
麦はそつなく名刺を取り出すと、店長と交換していた。
「できて間もないお店だから、プレインさんに掲載していただけると、とっても嬉しいわ」
「次の号に掲載するかどうか、検討させていただきますので、店内を見せていただきますね」
「えぇ、どうぞ」
店内はみやびと麦の二人だけで、ゆっくりと店内を見ることができた。
みやびは、一人で買い物に来ていた。
物心がついてから、一人で外出をすることなんて、実は初めてだったりするみやびは、最初こそ落ち着かなかったものの、勇馬に気兼ねすることなく、自分のペースで見て回れることに気がついて、感動していた。
まずはお気に入りの雑貨店を見て回り、その後、インテリアを見るために、家具を扱っているお店に移動しようとしたところで、見知った人影が見えた。
「あれって、水無瀬さん……?」
急な取材が入ることもあり、いつもはスーツ姿しか見たことがないが、今日はさすがに休日なので、私服を着ていたけれど、遠目でもすぐに麦だとみやびは気がついた。
声を掛けてもいいものかとしばらく見ていたけれど、スマートフォンをいじってなにかを調べているだけで、だれかを待っているわけでも、彼女とのデートの途中という訳でもなさそうだったので、みやびは思い切って声を掛けた。
「水無瀬さん」
「……あ? 秋尾か。どうした、一人か?」
「はい」
「珍しいこともあるな」
「ははは……」
みやびは思わず、乾いた笑いを返すしかなかった。
仕事中はともかくとして、行きも帰りも、ましてや休日も、常に勇馬が貼り付いていたため、一人でいるのが珍しいのには間違いない。だが、その状況も、みやびが好き好んでいたわけではない。
「沖谷さんがいつも勝手に着いてきていただけです」
「そうなのか。秋尾は実はお嬢さまで、いつもひっついている男は執事だともっぱらの噂だったが、違ったのか」
「違います!」
そんな噂が流れているのは知っていたけれど、否定するタイミングがなかったのだ。なぜなら、面と向かって言われたのは今が初めてだからだ。
「沖谷と言えば、うちのスポンサーだけど、どうしてそんな人が、秋尾の護衛をやってるんだ?」
「護衛ではないですよ。勝手につきまとっているだけです」
「つきまとっている……? ストーカーか?」
「……似たようなモノです」
似たようなモノとは言ったけれど、実質、ストーカーと呼んでも差し支えないとみやびは思っていた。
みやびは何度か勇馬に直接、迷惑だ、恥ずかしい、困ると言ったことがあるのだが、勇馬の思い込みの激しさのせいで、すべて曲解され、果てはツンデレでかわいいと、訳の分からないことを言い始めたのだ。
もっと強く嫌だという態度を取っていれば、つきまとわれなくて済んだのだろうか。
しかし、言ったところで、勇馬が受け入れてくれたとは思えない。
「沖谷財閥の御曹司を捕まえて、ストーカー呼ばわりするのは、秋尾くらいだぞ」
「……あれだけつきまとわれてみれば分かりますよ」
「いや、遠慮する」
社内でもたまにする、気安いやりとりをしているうちに、みやびはなんだか嬉しくなってきた。
今まで、休日といえば、勇馬が後ろから影のようについてきて、外出するか、それが嫌で家でじっとしてゲームをしているかのどちらしかなかったみやびに、初めて訪れたゆったりとした時間。
「水無瀬さん」
「なんだ?」
「これからどこか行くご予定でもありますか?」
「あー、この間、オープンしたというインテリア雑貨のお店に行こうと思って場所を検索していたんだけど……」
「もしかして、シトラス・ジューノスですか?」
「そう、そこだそこ」
「柚子に関連した商品ばかり集めた、少し変わった雑貨店ですよね」
「そうそう」
「わたし、さっき覗いてきたんですけど、行ってみます?」
「お、行ったのか! 場所、よく分かったな」
「確かに少しわかりにくいところでしたね」
みやびと麦は自然と並んで、お店へと向かう。
取材の時などでも、二人でこうして外出をすることがあったけれど、休日に偶然、出会って、というのは初めてで、みやびは段々とドキドキしてきた。
「それにしても秋尾、休日の服は普通なんだな」
「普通ってなんですかっ」
今日はみやびが通信販売で買った、お気に入りのワンピースに、麻の編み込みカーディガンを着ていた。バッグは籐でできた籠だ。
「いつも着てるスーツ、いかにもオーダーメイドです! って感じのピシッとしたヤツだろ。休日はひらひらの服でも着てるんじゃないのかってこっちも噂になってたぞ」
「……スーツは沖谷さんが勝手に作っちゃったんですよ」
「へー、すごいな、それ!」
「すごくないですよ。新人に不相応なスーツで、これでも肩身の狭い思いをしているんですから」
「そうだったんだ」
服にそれほど詳しくない人でも、みやびが着ているスーツがどれだけの物か分かるほど、物が良すぎてみやびは困っていた。
「でも、あんまり安物でも、取材先で舐められてしまいますから、そこそこ助かってはいます」
「まぁな。インテリアや雑貨を扱ってるだけあって、見る目は結構あるからな、あの人たち」
「そうなんですよ」
気難しいオーナーも中にはいて、みやびのスーツを見て、取材を許可してくれたということが何度かあったので、それはそれで助かってはいた。
「社会人になっても、ずっと沖谷さんがつきまとっていて、なんだか一人前になった気がしなくて……」
「親が常に着いてきているような感じか?」
「そうですね。沖谷さんは自称、わたしの兄らしいので」
「兄? あれはでも、兄ってより……」
麦はみやびの言葉に、うーんと唸って、それから口を開いた。
「兄ってより、男の目をしてたぞ」
「……………………」
麦にそう言われて、ようやくみやびが居心地の悪さを感じていた理由が分かった。
みやびには、勇馬ではない、実の兄がいる。その兄は、就職と同時に家を出たのだが、兄はあんな目でみやびを見てきたことがなかった。
それどころか、幼い頃は、よく兄にこき使われていたのだ。
それが普通のきょうだいであり、勇馬の態度はきょうだいのソレではないけれど、なんと言えばいいのか分からないでいたのだが、そういうことだったのか。
そんな話をしているうちに、目的のお店であるシトラス・ジューノスにたどり着いた。
「ここです」
「おー、ここかぁ。この近くまでは来てたんだけど、それらしいお店がなくて、引き返していたんだよな」
「わたしも同じで、一度、引き返したんですよ」
小径を奥まったところの上、看板がこぢんまりとしていて、注意して見ないと見落としてしまう。
「秋尾は一度、行ったんだよな」
「行きましたけど、もう一度、ゆっくり見たいからいいですよ」
「それなら遠慮なく、入らせてもらう」
「はい」
みやびは木の扉を開けて、店内へと入った。その後ろから、麦が遠慮がちについて入ってくる。
勇馬と出かけると、勇馬は店内まで入ってくる頃は稀だった。
ただ、買い物をしようとレジに並んでいると、すかさずやってきて、みやびがいいというのに強引に支払いを済ませるのだ。
今日はそんなことがなくて、本当に気兼ねなく買い物ができて、気が楽だった。
「こんにちは、また来ました」
「いらっしゃいませ」
みやびは先ほど、店を去る前に店長に名刺を渡していたため、みやびが戻ってきたことに不思議そうな表情をされた。
「実は同僚とたまたま会って、連れてきたんです」
「まあ、そうだったのね」
「プレイン編集部の水無瀬です」
麦はそつなく名刺を取り出すと、店長と交換していた。
「できて間もないお店だから、プレインさんに掲載していただけると、とっても嬉しいわ」
「次の号に掲載するかどうか、検討させていただきますので、店内を見せていただきますね」
「えぇ、どうぞ」
店内はみやびと麦の二人だけで、ゆっくりと店内を見ることができた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる