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前編
悪魔の片鱗と誤算
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(※動物に対する残虐な描写を含みます。苦手な方はご注意ください。番外編のエピソード、悪魔が目覚めた日を関連付けて書いています。そちらも読んでいただけると嬉しいです!)
人気のない白塗りの建物の裏手で、湿った土の上に膝をついた。
そして小さな手で、毛むくじゃらのその生き物の喉元を締め付ける。大きなビー玉みたいな目が、驚いたように見開かれた。その反応を眺めるのが面白くて、喉元を締め付けては緩める動きを繰り返した。手を引っかかれようが気にならなかった。
今度は喉元を締め付けながら、ふわふわしたそのお腹の毛に耳を当てる。必死に空気を吸い込もうと上下に動くお腹と、バクバクとうるさい心音が心地よくて、子守唄のように、まどろみの中に俺を連れていきそうだと思った。そのまま、その生き物のピンクの鼻先にも耳を近づければ、ヒューヒューと細い息が俺の耳をくすぐった。ふっと俺の口元から笑い声がわずかに漏れた。
ひとつの命を、俺の小さな手ひらが握っている。
その高揚感と、全能感がたまらなく気持ちよかった。
(天羽楓 視点)
「楓くん、こんなとこにいたのか。」
白衣を着て、黒縁メガネをかけたすらりとした男が近寄ってくる。
男の位置から猫の首を絞めている俺の姿が見えたのか、一度足を止めて間を置いてから、にこやかな笑みを浮かべて距離を詰めてきた。
やがて男はまだ若いくせに「どっこいっしょ」と、年寄りみたいなことを言いながら、俺の隣に座り込んだ。社会的地位の高さを示す、真っ白な白衣が汚れようがどうでもいい様子だった。
「君の本当に楽しそうな顔を見るのは、初めてだなぁ。
君、みんなの前で笑顔を振りまいているけど、感情は伴ってないように思えたから。
楓くんはこういうことをしている時の方が、心が動くのかな?」
眼鏡の奥のやさしげな一重瞼の瞳が静かに俺の顔を見つめる。そこに非難の色はなかった。
この男は他の大人たちとは違って、初めて会った時から俺の外面に騙されてないようだった。正直、操ることができない分、面倒に感じたが、それとは別に俺の本性を見せたらどんな反応をするのか、試してみたいという気持ちが湧いた。
そして男が見せたその反応は、幼い俺を素直にさせるには十分な力を持っていた。騙される大人たちを見下しながらも、本当の俺を見抜いて、理解しようとする姿勢の人間をどこかで求めていたのかもしれない。
手の中でミ゛ャッと潰れた短い鳴き声を漏らす猫から男へ視線を移し、取り繕わずに答える。こんなことは初めてだった。
「…そうだよ。だいたい誰といてもつまんなくて、退屈なことしか思わないけど、こうしてる時だけは何か自分の中からぶわって湧いてきて、気持ちよくなって、本当に生きてるって感じられる。」
「そっか。君のその感情と行動を、他の人に理解してもらうことは…ちょっと、難しいかもしれない。でも、先生は君のことを否定せずに、少しでも分かってあげたいと思うよ。」
男のその言葉に生まれて初めての安堵感を感じながらも、試すように言葉を返す。
「でも僕が本当に傷つけたいのはね、こんな反抗的で、毛むくじゃらの生き物じゃない。
この生き物みたいに怒ったり、引っかいて暴れたり、逃げようとしたりするのも悪くないけどーー
僕と同じ言葉を話して、同じ体温を持っているのに、何も言えなくて、何もできなくて、泣くことぐらいしかできないような…僕のこの手で簡単に壊れてしまいそうな、そんな子を傷つけたいんだ。」
真澄と初めて会った日。初めて芽生えた加虐心に駆られて、真澄の腕をつねった。その時の黒目がちな瞳から涙をこぼし、黙ったまま何もできずにいた真澄の姿を思い出しながら頬を緩めた。
「そういう子って、見ていて惨めだけど……すごく、綺麗に壊れそうでしょ。だから、その壊れていくところを、見てみたくなるんだ。」
そう言って、俺はいつの間にか、ぐったりして動かなくなった猫を地面に放り投げた。抜け殻になったそれにもう興味はなかった。
その様子を見て、男は少しの間、黙り込んだが優しげな眼差しは変わらなかった。
「…いいんだよ。そういう感情を持っていても。
自分と同じ人間で、自分よりも弱い存在を踏みにじりたくなる衝動なんて誰の中にもある。
君と同じ理由で、暴力を振るうわけじゃなくても、言葉で人を傷つける人はたくさんいる。
結局、みんな自分が優位に立っていると思いたいんだ。自分には力があるって、安心したいだけなんだよ。
人は時々、神にでもなったかのように振る舞いたくなるからね。
君だけが特別、悪い人間なわけじゃないよ。」
男のその言葉が、胸の奥に小さな違和感を残す。
確かに、みんなはそうかもしれないーー
でも、俺が真澄に対して感じているものは、そんな単純なものじゃない。
もっと深くて、甘くて、どこか危うい…
熱を孕んだ、得体の知れないものだ。
だけどそれが何なのか、まだ明確に言葉にすることはできなかった。
「さっ、楓くん、行こうか。
もっと君の話を聞かせてくれ。」
白衣についた土の汚れを払いながら男は立ち上がると、俺の足元に横たわる猫の亡骸をそっと抱き上げた。
まるでまだ生きているかのように、丁寧に腕の中に収めるその手つきには、俺の中には存在し得ない、命に対する敬意と祈りがあった。
今思えば、この男こそ、人生で唯一の理解者だったかもしれない。
彼がそばにいて、俺の中に巣食う悪魔をどうにかしてくれていたら、今の俺とは少し違っていたのかもしれない。
保健室のベッドで震えながら体を丸めた真澄の姿を思い出して、柄にもなく、そんなことを考えた。
まあ、そんな“もしかして”の話を考えても意味はないが。
屋上まで運んできた、害虫に目を向ける。
そいつの両手を背中に回して縛った後、無抵抗なその体をところどころ錆びた緑色のフェンスに引っかけた。
力の抜けた上半身がぐらりとフェンスの外側で揺れる。屋上側に残った下半身は、近くで困惑した表情を浮かべている男子生徒に持たせた。
フェンスにかけられたまま、呑気に気を失っているそいつに冷たい視線を向けた。
真澄から少し、目を離せばこのざまだ。
真澄みたいな弱くて拒むこともできない人間は、いろんな意味で標的にされやすい。こんなことがいつ起こるか分からないから、用心しているつもりだった。
普段からさりげなく心配しているふりをして、真澄と同じクラスの生徒たちに真澄の日中の様子を見ておくよう頼んでいた。
日頃から模範生徒を演じ、他の生徒への気配りを欠かさない俺は、特に怪しまれることなくこともなく、目的を果たすことができて安心していた。
けれど真澄づてにされた、水瀬のお願いでサッカー部の試合に出ることになり、放課後も練習に顔を出さなければならなくなった時に、不安がよぎった。
今までにないほど、真澄と離れる時間が長くなってしまう。さすがに、真澄と同じクラスの生徒に放課後の様子まで見るように頼めば、不自然に思われる。
それでもこのままでは何かあってもすぐに気づけない。
俺は、真澄と行動を共にしている苗代さつきの好意を利用して、真澄をより強く監視しようとした。常日頃から俺に心酔するような眼差しを向けてくる苗代なら俺の言うことを盲目的に聞くだろう。そう思った。
わざと自分の本性も少しだけ見せ、秘密を共有した。そうする方がより巧みに苗代という駒を使えると考えたからだ。思い込みの激しい人間に特別だと思わせておけば、あとは勝手に尽くし続けてくれる。苗代を他のどんなことに使おうか、思案するくらいに俺には余裕があった。
はずなのに。
苗代は、空き教室で下劣な生き物に襲われている真澄を見たにも関わらず、俺に報告しなかった。
どうせ、俺の関心が真澄に向いているのが気に食わず、嫉妬したとかそういう理由からだろう。
クソッ、クソッ、クソッ。
苗代のような偏執的な恋愛脳の人間を駒に選ぶべきではなかった。
俺へのくだらない恋心からくる嫉妬のせいで、真澄を他人の手で壊されるのを止められなかったなんて。そんなことあってたまるか。
気づけば、目の前のフェンスに蹴りを入れていた。鈍い金属音が屋上に響く。
フェンスから垂れた下半身を持ったまま、男子生徒が怯えた瞳をこちらに向けたが、気にも留めなかった。
苗代の罰は、あとでゆっくり考えるとしよう。
それよりも、今はこの害虫を駆除しなければ。
フェンスにぶら下がって気を失っているそいつの顔を、ためらいなく金網へと押し付けた。
人気のない白塗りの建物の裏手で、湿った土の上に膝をついた。
そして小さな手で、毛むくじゃらのその生き物の喉元を締め付ける。大きなビー玉みたいな目が、驚いたように見開かれた。その反応を眺めるのが面白くて、喉元を締め付けては緩める動きを繰り返した。手を引っかかれようが気にならなかった。
今度は喉元を締め付けながら、ふわふわしたそのお腹の毛に耳を当てる。必死に空気を吸い込もうと上下に動くお腹と、バクバクとうるさい心音が心地よくて、子守唄のように、まどろみの中に俺を連れていきそうだと思った。そのまま、その生き物のピンクの鼻先にも耳を近づければ、ヒューヒューと細い息が俺の耳をくすぐった。ふっと俺の口元から笑い声がわずかに漏れた。
ひとつの命を、俺の小さな手ひらが握っている。
その高揚感と、全能感がたまらなく気持ちよかった。
(天羽楓 視点)
「楓くん、こんなとこにいたのか。」
白衣を着て、黒縁メガネをかけたすらりとした男が近寄ってくる。
男の位置から猫の首を絞めている俺の姿が見えたのか、一度足を止めて間を置いてから、にこやかな笑みを浮かべて距離を詰めてきた。
やがて男はまだ若いくせに「どっこいっしょ」と、年寄りみたいなことを言いながら、俺の隣に座り込んだ。社会的地位の高さを示す、真っ白な白衣が汚れようがどうでもいい様子だった。
「君の本当に楽しそうな顔を見るのは、初めてだなぁ。
君、みんなの前で笑顔を振りまいているけど、感情は伴ってないように思えたから。
楓くんはこういうことをしている時の方が、心が動くのかな?」
眼鏡の奥のやさしげな一重瞼の瞳が静かに俺の顔を見つめる。そこに非難の色はなかった。
この男は他の大人たちとは違って、初めて会った時から俺の外面に騙されてないようだった。正直、操ることができない分、面倒に感じたが、それとは別に俺の本性を見せたらどんな反応をするのか、試してみたいという気持ちが湧いた。
そして男が見せたその反応は、幼い俺を素直にさせるには十分な力を持っていた。騙される大人たちを見下しながらも、本当の俺を見抜いて、理解しようとする姿勢の人間をどこかで求めていたのかもしれない。
手の中でミ゛ャッと潰れた短い鳴き声を漏らす猫から男へ視線を移し、取り繕わずに答える。こんなことは初めてだった。
「…そうだよ。だいたい誰といてもつまんなくて、退屈なことしか思わないけど、こうしてる時だけは何か自分の中からぶわって湧いてきて、気持ちよくなって、本当に生きてるって感じられる。」
「そっか。君のその感情と行動を、他の人に理解してもらうことは…ちょっと、難しいかもしれない。でも、先生は君のことを否定せずに、少しでも分かってあげたいと思うよ。」
男のその言葉に生まれて初めての安堵感を感じながらも、試すように言葉を返す。
「でも僕が本当に傷つけたいのはね、こんな反抗的で、毛むくじゃらの生き物じゃない。
この生き物みたいに怒ったり、引っかいて暴れたり、逃げようとしたりするのも悪くないけどーー
僕と同じ言葉を話して、同じ体温を持っているのに、何も言えなくて、何もできなくて、泣くことぐらいしかできないような…僕のこの手で簡単に壊れてしまいそうな、そんな子を傷つけたいんだ。」
真澄と初めて会った日。初めて芽生えた加虐心に駆られて、真澄の腕をつねった。その時の黒目がちな瞳から涙をこぼし、黙ったまま何もできずにいた真澄の姿を思い出しながら頬を緩めた。
「そういう子って、見ていて惨めだけど……すごく、綺麗に壊れそうでしょ。だから、その壊れていくところを、見てみたくなるんだ。」
そう言って、俺はいつの間にか、ぐったりして動かなくなった猫を地面に放り投げた。抜け殻になったそれにもう興味はなかった。
その様子を見て、男は少しの間、黙り込んだが優しげな眼差しは変わらなかった。
「…いいんだよ。そういう感情を持っていても。
自分と同じ人間で、自分よりも弱い存在を踏みにじりたくなる衝動なんて誰の中にもある。
君と同じ理由で、暴力を振るうわけじゃなくても、言葉で人を傷つける人はたくさんいる。
結局、みんな自分が優位に立っていると思いたいんだ。自分には力があるって、安心したいだけなんだよ。
人は時々、神にでもなったかのように振る舞いたくなるからね。
君だけが特別、悪い人間なわけじゃないよ。」
男のその言葉が、胸の奥に小さな違和感を残す。
確かに、みんなはそうかもしれないーー
でも、俺が真澄に対して感じているものは、そんな単純なものじゃない。
もっと深くて、甘くて、どこか危うい…
熱を孕んだ、得体の知れないものだ。
だけどそれが何なのか、まだ明確に言葉にすることはできなかった。
「さっ、楓くん、行こうか。
もっと君の話を聞かせてくれ。」
白衣についた土の汚れを払いながら男は立ち上がると、俺の足元に横たわる猫の亡骸をそっと抱き上げた。
まるでまだ生きているかのように、丁寧に腕の中に収めるその手つきには、俺の中には存在し得ない、命に対する敬意と祈りがあった。
今思えば、この男こそ、人生で唯一の理解者だったかもしれない。
彼がそばにいて、俺の中に巣食う悪魔をどうにかしてくれていたら、今の俺とは少し違っていたのかもしれない。
保健室のベッドで震えながら体を丸めた真澄の姿を思い出して、柄にもなく、そんなことを考えた。
まあ、そんな“もしかして”の話を考えても意味はないが。
屋上まで運んできた、害虫に目を向ける。
そいつの両手を背中に回して縛った後、無抵抗なその体をところどころ錆びた緑色のフェンスに引っかけた。
力の抜けた上半身がぐらりとフェンスの外側で揺れる。屋上側に残った下半身は、近くで困惑した表情を浮かべている男子生徒に持たせた。
フェンスにかけられたまま、呑気に気を失っているそいつに冷たい視線を向けた。
真澄から少し、目を離せばこのざまだ。
真澄みたいな弱くて拒むこともできない人間は、いろんな意味で標的にされやすい。こんなことがいつ起こるか分からないから、用心しているつもりだった。
普段からさりげなく心配しているふりをして、真澄と同じクラスの生徒たちに真澄の日中の様子を見ておくよう頼んでいた。
日頃から模範生徒を演じ、他の生徒への気配りを欠かさない俺は、特に怪しまれることなくこともなく、目的を果たすことができて安心していた。
けれど真澄づてにされた、水瀬のお願いでサッカー部の試合に出ることになり、放課後も練習に顔を出さなければならなくなった時に、不安がよぎった。
今までにないほど、真澄と離れる時間が長くなってしまう。さすがに、真澄と同じクラスの生徒に放課後の様子まで見るように頼めば、不自然に思われる。
それでもこのままでは何かあってもすぐに気づけない。
俺は、真澄と行動を共にしている苗代さつきの好意を利用して、真澄をより強く監視しようとした。常日頃から俺に心酔するような眼差しを向けてくる苗代なら俺の言うことを盲目的に聞くだろう。そう思った。
わざと自分の本性も少しだけ見せ、秘密を共有した。そうする方がより巧みに苗代という駒を使えると考えたからだ。思い込みの激しい人間に特別だと思わせておけば、あとは勝手に尽くし続けてくれる。苗代を他のどんなことに使おうか、思案するくらいに俺には余裕があった。
はずなのに。
苗代は、空き教室で下劣な生き物に襲われている真澄を見たにも関わらず、俺に報告しなかった。
どうせ、俺の関心が真澄に向いているのが気に食わず、嫉妬したとかそういう理由からだろう。
クソッ、クソッ、クソッ。
苗代のような偏執的な恋愛脳の人間を駒に選ぶべきではなかった。
俺へのくだらない恋心からくる嫉妬のせいで、真澄を他人の手で壊されるのを止められなかったなんて。そんなことあってたまるか。
気づけば、目の前のフェンスに蹴りを入れていた。鈍い金属音が屋上に響く。
フェンスから垂れた下半身を持ったまま、男子生徒が怯えた瞳をこちらに向けたが、気にも留めなかった。
苗代の罰は、あとでゆっくり考えるとしよう。
それよりも、今はこの害虫を駆除しなければ。
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