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23話
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「……アシル。もしかしてルミナスの言っている仕事って、『異世界』の話をしているんじゃない?」
「……あ」
サーナが何かに気づいて、アシルに助言をする。アシルは何かに気づいたように「あ」と間の抜けた声を上げて固まった。
「……というかアシル。まさかルミナスが起きてから、何も説明をしていたのでは?」
「…………」
すごんだサーナから、静かに顔を逸らすアシル。ルミナスがもう一度サーナを見ると、アシルを睨む彼女の額は、先ほどより深く眉間に皺が寄せられていた。
「アシル~~!!」
サーナの怒声が部屋中に響き渡る。
「なんで説明もしないで、あなただけスヤスヤと無責任に寝ているんですか! おかげでルミナスが無茶しちゃったんじゃないですか~! 何が『あとはオレに任せておけ』ですか! 任せたばかりにルミナスに無茶をさせることになっちゃったんじゃないですか~!」
アシルを叱る声が、怒涛の勢いでサーナの口から飛び出てくる。
そんなサーナの勢いを軽やかに回避していくアシルのそれはまさに『柳に雪折れなし』、という感じだ。
しかし、二人が何で言い合っているのかルミナスにはさっぱり理解が出来ず、仕事のことといいどうしようと困っていると、ようやくサーナの怒りが鎮火してくれた。
「ひとまず、つまりここに来てから何も状況がわからないルミナスのために、いろいろと説明をしなければいけませんね」
そのサーナの言葉にアシルが、「じゃあオレが……」と挙手しようとするのを、ギロリとひと睨みで黙らせてしまった光景に、ルミナスのほうが縮み上がってしまった。
「でもまずは朝ご飯にしましょう。ルミナスもまだ回復途中で、食べ物からの栄養が必要不可欠ですから、少しだけでも食べてくださいね?」
にこりと優しく微笑みかけてくれるサーナに、ルミナスはどういう感情を用いたら良いのか判断が付かなかった。
笑顔でいたかと思えば、アシルを叱る時は鬼のような表情をする……その落差に、ルミナスはすっかり怯えてしまっている。
「アシル、退いてください」
サーナに促されると、しぶしぶという様子でアシルはルミナスの上から退いた。
「ルミナス、立てますか?」
「あ、は、はい……」
逆らうのが怖くて、ルミナスはこくこくと小刻みにうなずく。そんなルミナスを見て、サーナが困ったように眉尻を下げながら笑った。
「怖がらせちゃいましたね、ごめんなさい。でも大丈夫です。アシルを叱っていたのは、アシルの素行の悪さや、デリカシーのなさやら、そういう行いを咎めていただけなので。真面目に生きている人間に目くじらを立てるということはしませんので、どうか信用してくださいませんか?」
アシルはそこまで言われるほどのコトをしたのだろうか。出会ってからまだそれほどの時間が経っていないこともあり、ルミナスには分からなかった。
しかし、そこまで説明をされなくとも、ルミナスは今まで自分の存在や言動で波風を立てないよう生きてきたため、何を『命じられて』も、『お願いされて』も、了承するしか選択肢がない『イエスマン』だったので、信じてほしいと言われたら信じるだけである。
「……は、はい。信用します」
ルミナスの言葉を素直に受け止め、疑うことなく喜ぶサーナを見て、少し罪悪感を覚えた。
「先ほどの様子を見るからに、少しの距離なら歩くことが出来るまで回復されたようですね。ですが、食堂までの道はやや長いため、今のルミナスでは負担にしかなりません。なのでアシル、ルミナスを食堂まで抱きかかえて行ってくれますか?」
「言われなくても連れて行くっての」
「……あ」
サーナが何かに気づいて、アシルに助言をする。アシルは何かに気づいたように「あ」と間の抜けた声を上げて固まった。
「……というかアシル。まさかルミナスが起きてから、何も説明をしていたのでは?」
「…………」
すごんだサーナから、静かに顔を逸らすアシル。ルミナスがもう一度サーナを見ると、アシルを睨む彼女の額は、先ほどより深く眉間に皺が寄せられていた。
「アシル~~!!」
サーナの怒声が部屋中に響き渡る。
「なんで説明もしないで、あなただけスヤスヤと無責任に寝ているんですか! おかげでルミナスが無茶しちゃったんじゃないですか~! 何が『あとはオレに任せておけ』ですか! 任せたばかりにルミナスに無茶をさせることになっちゃったんじゃないですか~!」
アシルを叱る声が、怒涛の勢いでサーナの口から飛び出てくる。
そんなサーナの勢いを軽やかに回避していくアシルのそれはまさに『柳に雪折れなし』、という感じだ。
しかし、二人が何で言い合っているのかルミナスにはさっぱり理解が出来ず、仕事のことといいどうしようと困っていると、ようやくサーナの怒りが鎮火してくれた。
「ひとまず、つまりここに来てから何も状況がわからないルミナスのために、いろいろと説明をしなければいけませんね」
そのサーナの言葉にアシルが、「じゃあオレが……」と挙手しようとするのを、ギロリとひと睨みで黙らせてしまった光景に、ルミナスのほうが縮み上がってしまった。
「でもまずは朝ご飯にしましょう。ルミナスもまだ回復途中で、食べ物からの栄養が必要不可欠ですから、少しだけでも食べてくださいね?」
にこりと優しく微笑みかけてくれるサーナに、ルミナスはどういう感情を用いたら良いのか判断が付かなかった。
笑顔でいたかと思えば、アシルを叱る時は鬼のような表情をする……その落差に、ルミナスはすっかり怯えてしまっている。
「アシル、退いてください」
サーナに促されると、しぶしぶという様子でアシルはルミナスの上から退いた。
「ルミナス、立てますか?」
「あ、は、はい……」
逆らうのが怖くて、ルミナスはこくこくと小刻みにうなずく。そんなルミナスを見て、サーナが困ったように眉尻を下げながら笑った。
「怖がらせちゃいましたね、ごめんなさい。でも大丈夫です。アシルを叱っていたのは、アシルの素行の悪さや、デリカシーのなさやら、そういう行いを咎めていただけなので。真面目に生きている人間に目くじらを立てるということはしませんので、どうか信用してくださいませんか?」
アシルはそこまで言われるほどのコトをしたのだろうか。出会ってからまだそれほどの時間が経っていないこともあり、ルミナスには分からなかった。
しかし、そこまで説明をされなくとも、ルミナスは今まで自分の存在や言動で波風を立てないよう生きてきたため、何を『命じられて』も、『お願いされて』も、了承するしか選択肢がない『イエスマン』だったので、信じてほしいと言われたら信じるだけである。
「……は、はい。信用します」
ルミナスの言葉を素直に受け止め、疑うことなく喜ぶサーナを見て、少し罪悪感を覚えた。
「先ほどの様子を見るからに、少しの距離なら歩くことが出来るまで回復されたようですね。ですが、食堂までの道はやや長いため、今のルミナスでは負担にしかなりません。なのでアシル、ルミナスを食堂まで抱きかかえて行ってくれますか?」
「言われなくても連れて行くっての」
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