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1. 私、今日から普通の高校生!
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無機質な電子音が、鼓膜を規則正しく震わせる。意識がゆっくりと覚醒していく感覚の中、私は重たい瞼をこじ開けた。
視界に飛び込んできたのは、見慣れた白い天井。何の変哲もない、ごく普通の天井だ。木目調ですらない、量産型の壁紙が貼られた日本の一般的な住宅の天井。
「……うん、普通」
思わず口から漏れた声は、まだ少し眠気を含んでいた。私はゆっくりと体を起こし、ベッドの縁に腰掛ける。部屋を満たすのはカーテンの隙間から差し込む柔らかい朝日とどこかの家から漂ってくる味噌汁の香り。窓の外からはけたたましい猿のモーニングコールも、テントを揺らす砂嵐の音も、地響きのような象の足音も聞こえてこない。聞こえるのは通りのバイクが遠ざかる音と、カラスの鳴き声だけ。
これだ。これこそが、私が焦がれてやまなかった普通の朝!
私の名前は夢見ヶ崎 乃蒼、十六歳。今日から高校一年生。そして、長年の夢だった『普通の女子高生』になる記念すべき第一日目の朝を迎えていた。
ベッドから降り、フローリングの床の冷たさを足の裏で感じる。これもまた、普通。朝日に照らされて、部屋の一角にかけられた真新しい制服が誇らしげに揺れていた。紺色のブレザー、チェック柄のスカート、指定の白いブラウスと赤いリボン。ハンガーにきちんとかけられ、すぐにでも袖を通せそうなその姿は、まるで待ち焦がれているかのようだった。
「うわ……本物だ……」
まるで世界で最も尊い美術品に触れるかのように、そっと制服に指を伸ばす。ざらりとしたブレザーの生地の感触。アイロンがぴしっとかかったブラウスの襟。想像していたよりも少しだけ派手なチェック柄のスカートも今となっては愛おしくてたまらない。
多くの同級生にとってこの制服は今日から三年間、毎日着ることになる「ただの服」かもしれない。でも、私にとっては違う。これは私が血のにじむような努力の末に手に入れた、普通へのパスポートなのだ。
物心ついた頃から私の日常は普通とはかけ離れていた。原因は、私の両親にある。
父と母は、揃って現役の「冒険家」だ。
その肩書きが現代日本でどれだけ珍しい職業なのかはさておき、彼らは文字通り、地球のありとあらゆる秘境を踏破することを生業にしていた。そして、一人娘である私をベビーシッターに預けるという発想がなかったのか、あるいは単に面倒だったのか、私を常に荷物の一部として世界中へ連れ回したのだ。
アマゾンのジャングルで毒々しい色の蝶に囲まれて九歳の誕生日を祝い、サハラ砂漠のど真ん中でラクダの乳搾りをしながら分数の計算を習った。エベレストのベースキャンプで凍える指を温めながら書き取りの宿題をし、マサイ族の村では槍の投げ方を教わる傍らで英語の過去完了形を暗唱した。
同年代の女の子たちが流行りの服やアイドルの話で盛り上がっている頃、私は「毒蛇に噛まれたときの応急処置」や「飲料水を確保するためのろ過装置の作り方」を実践で叩き込まれていた。もちろん、友達なんてできるはずもなかった。数ヶ月単位で滞在場所が変わる生活では仲良くなる前に別れが来てしまう。日本の義務教育も、通信教育と現地でのレポート提出という形でなんとかこなしてきただけだ。いや、本当にきちんと義務教育を受けていたのかも、正直わからない。
そんな生活の中で、私の心の中には一つの強烈な憧れが芽生えていった。
――日本の、普通の学校に通いたい。
――自分の部屋で、毎朝同じ時間に起きたい。
――友達と放課後にカフェでおしゃべりしたり、カラオケに行ったりしてみたい。
――文化祭や体育祭で、クラスのみんなと一つのことに熱中してみたい。
そう、私が渇望していたのは、冒険でも、非日常でもない。どこにでもある、ありふれた普通の青春だったのだ。
だから私は、中学二年生の終わり、両親に生涯で初めての反抗をした。次に挑むという「南極大陸横断」への同行を、断固として拒否したのだ。
「私はもうジャングルも砂漠も氷河もこりごり! 日本で普通の高校生になるの! おじいちゃんの家に住まわせてください!」
最初は「ノアも反抗期か、これも成長だな!」などと笑っていた両親も、私の涙ながらの必死の訴えに、ようやく事の重大さを理解してくれたらしい。かくして私は、比較的常識人である父方のおじいちゃんの家に身を寄せ、一年間の猛勉強の末、無事にこの街の私立高校への入学を決めたのである。
ちなみに、そんな両親からは昨夜、簡潔なメッセージが届いた。
「ノア、ニュウガクオメデトウ。コチラ、コウテイペンギンノ ヒナノ タンジョウニ カンゲキ。オワリ」
……まあ、元気ならそれでいい。彼らなりの愛情表現なのだと、今なら少しだけ穏やかな気持ちで受け取れる。この物理的な距離が、私たちの親子関係を良好に保つ秘訣なのだ、きっと。
クローゼットの鏡の前に立ち、着慣れない制服の襟を整える。少し硬い生地が、これから始まる新しい生活への期待で高鳴る心臓を、優しく押さえてくれているようだった。スカートの丈は、校則通り膝が隠れるくらい。うん、完璧な優等生スタイル。目立たず、騒がず、穏やかに。それが私の目指す高校生活の基本方針だ。
リビングに下りると、おじいちゃんが淹れていたコーヒーの香ばしい匂いがした。
「おお、乃蒼。似合っとるじゃないか、その制服」
「ありがとう、おじいちゃん」
食卓には、こんがりと焼かれたトーストと、目玉焼き、そして牛乳。これ以上ないくらい普通で、最高に贅沢な朝食だ。一口一口、幸せを噛み締めながらトーストを頬張る。ジャングルで食べた得体の知れない木の実のスープや、砂漠でかじった干し肉なんかに比べたら、これはもう神々の食べ物だ。
「いってきます!」
玄関で真新しいローファーに足を通し、大きな声で挨拶をする。おじいちゃんの「いってらっしゃい、気をつけてな」という優しい声に送られて、私はついに、夢への第一歩を踏み出した。
家の門を出ると、そこには満開の桜並木が広がっていた。
ひらひらと舞い落ちる薄紅色の花びらが、まるで私の門出を祝福してくれているかのようだ。私と同じ制服を着た生徒たちが、友人同士で楽しげに喋りながら学校へ向かっている。
ああ、なんて素晴らしい光景だろう。
この景色が見たかった。この空気の中に、私も入りたかったのだ。
自然と早足になる。心臓がドキドキと音を立てているのが自分でもわかる。大丈夫、落ち着け、私。冒険家の娘だからといって、人より身体能力が高いのは知っている。ここで無駄に俊足を発揮してはいけない。周りの生徒と同じペースで、ゆっくりと、この桜並木を味わうんだ。
これから始まる三年間で、私はたくさんの『普通』を経験するのだ。
まずは、友達を作ること。当たり障りのない会話から始めて、連絡先を交換して、休日に一緒に出かけたりするんだ。
それから、部活動。文化部がいいかな。できれば、あまり活動が活発じゃない、それでいて文化祭ではちょっとだけ見せ場があるような、そんな都合のいい部活。
勉強も、もちろん頑張る。赤点を取るなんて目立つ行為は絶対に避けたいし、かといって学年トップを取るのも注目を浴びすぎる。常に平均点より少し上、それが私の目指すポジションだ。
そして、もしかしたら……もしかしたら、普通の恋なんかも、しちゃったりするのかもしれない。隣の席のちょっと優しい男の子と目が合って、ドキドキしたりとか……。
「……いやいや、落ち着け、私。高望みは禁物だ」
そこまで考えて、私はぶんぶんと首を振った。まずは友達作りからだ。焦りは禁物。平凡な日常は、一歩一歩、着実に築き上げていくものなのだから。
やがて、目的地の高校の、堂々とした校門が見えてきた。
私立 碧海高等学校
真新しい看板が、朝日を浴びて輝いている。深呼吸を一つ。肺いっぱいに吸い込んだ春の空気は、希望の味がした。
もう、泥水で喉の渇きを潤す必要はない。
もう、猛獣に怯えながら眠る夜もない。
今日から私は、夢見ヶ崎 乃蒼。ごく普通の、日本の女子高生。
さあ、行こう。私の、輝かしい『普通の青春』が待つ場所へ!
高鳴る胸を押さえ、私は期待に満ちた足取りで、ゆっくりと校門をくぐり抜けた。
この数時間後に、私のささやかな願いが木っ端微塵に打ち砕かれることになるとは、この時の私は、知る由もなかったのである。
視界に飛び込んできたのは、見慣れた白い天井。何の変哲もない、ごく普通の天井だ。木目調ですらない、量産型の壁紙が貼られた日本の一般的な住宅の天井。
「……うん、普通」
思わず口から漏れた声は、まだ少し眠気を含んでいた。私はゆっくりと体を起こし、ベッドの縁に腰掛ける。部屋を満たすのはカーテンの隙間から差し込む柔らかい朝日とどこかの家から漂ってくる味噌汁の香り。窓の外からはけたたましい猿のモーニングコールも、テントを揺らす砂嵐の音も、地響きのような象の足音も聞こえてこない。聞こえるのは通りのバイクが遠ざかる音と、カラスの鳴き声だけ。
これだ。これこそが、私が焦がれてやまなかった普通の朝!
私の名前は夢見ヶ崎 乃蒼、十六歳。今日から高校一年生。そして、長年の夢だった『普通の女子高生』になる記念すべき第一日目の朝を迎えていた。
ベッドから降り、フローリングの床の冷たさを足の裏で感じる。これもまた、普通。朝日に照らされて、部屋の一角にかけられた真新しい制服が誇らしげに揺れていた。紺色のブレザー、チェック柄のスカート、指定の白いブラウスと赤いリボン。ハンガーにきちんとかけられ、すぐにでも袖を通せそうなその姿は、まるで待ち焦がれているかのようだった。
「うわ……本物だ……」
まるで世界で最も尊い美術品に触れるかのように、そっと制服に指を伸ばす。ざらりとしたブレザーの生地の感触。アイロンがぴしっとかかったブラウスの襟。想像していたよりも少しだけ派手なチェック柄のスカートも今となっては愛おしくてたまらない。
多くの同級生にとってこの制服は今日から三年間、毎日着ることになる「ただの服」かもしれない。でも、私にとっては違う。これは私が血のにじむような努力の末に手に入れた、普通へのパスポートなのだ。
物心ついた頃から私の日常は普通とはかけ離れていた。原因は、私の両親にある。
父と母は、揃って現役の「冒険家」だ。
その肩書きが現代日本でどれだけ珍しい職業なのかはさておき、彼らは文字通り、地球のありとあらゆる秘境を踏破することを生業にしていた。そして、一人娘である私をベビーシッターに預けるという発想がなかったのか、あるいは単に面倒だったのか、私を常に荷物の一部として世界中へ連れ回したのだ。
アマゾンのジャングルで毒々しい色の蝶に囲まれて九歳の誕生日を祝い、サハラ砂漠のど真ん中でラクダの乳搾りをしながら分数の計算を習った。エベレストのベースキャンプで凍える指を温めながら書き取りの宿題をし、マサイ族の村では槍の投げ方を教わる傍らで英語の過去完了形を暗唱した。
同年代の女の子たちが流行りの服やアイドルの話で盛り上がっている頃、私は「毒蛇に噛まれたときの応急処置」や「飲料水を確保するためのろ過装置の作り方」を実践で叩き込まれていた。もちろん、友達なんてできるはずもなかった。数ヶ月単位で滞在場所が変わる生活では仲良くなる前に別れが来てしまう。日本の義務教育も、通信教育と現地でのレポート提出という形でなんとかこなしてきただけだ。いや、本当にきちんと義務教育を受けていたのかも、正直わからない。
そんな生活の中で、私の心の中には一つの強烈な憧れが芽生えていった。
――日本の、普通の学校に通いたい。
――自分の部屋で、毎朝同じ時間に起きたい。
――友達と放課後にカフェでおしゃべりしたり、カラオケに行ったりしてみたい。
――文化祭や体育祭で、クラスのみんなと一つのことに熱中してみたい。
そう、私が渇望していたのは、冒険でも、非日常でもない。どこにでもある、ありふれた普通の青春だったのだ。
だから私は、中学二年生の終わり、両親に生涯で初めての反抗をした。次に挑むという「南極大陸横断」への同行を、断固として拒否したのだ。
「私はもうジャングルも砂漠も氷河もこりごり! 日本で普通の高校生になるの! おじいちゃんの家に住まわせてください!」
最初は「ノアも反抗期か、これも成長だな!」などと笑っていた両親も、私の涙ながらの必死の訴えに、ようやく事の重大さを理解してくれたらしい。かくして私は、比較的常識人である父方のおじいちゃんの家に身を寄せ、一年間の猛勉強の末、無事にこの街の私立高校への入学を決めたのである。
ちなみに、そんな両親からは昨夜、簡潔なメッセージが届いた。
「ノア、ニュウガクオメデトウ。コチラ、コウテイペンギンノ ヒナノ タンジョウニ カンゲキ。オワリ」
……まあ、元気ならそれでいい。彼らなりの愛情表現なのだと、今なら少しだけ穏やかな気持ちで受け取れる。この物理的な距離が、私たちの親子関係を良好に保つ秘訣なのだ、きっと。
クローゼットの鏡の前に立ち、着慣れない制服の襟を整える。少し硬い生地が、これから始まる新しい生活への期待で高鳴る心臓を、優しく押さえてくれているようだった。スカートの丈は、校則通り膝が隠れるくらい。うん、完璧な優等生スタイル。目立たず、騒がず、穏やかに。それが私の目指す高校生活の基本方針だ。
リビングに下りると、おじいちゃんが淹れていたコーヒーの香ばしい匂いがした。
「おお、乃蒼。似合っとるじゃないか、その制服」
「ありがとう、おじいちゃん」
食卓には、こんがりと焼かれたトーストと、目玉焼き、そして牛乳。これ以上ないくらい普通で、最高に贅沢な朝食だ。一口一口、幸せを噛み締めながらトーストを頬張る。ジャングルで食べた得体の知れない木の実のスープや、砂漠でかじった干し肉なんかに比べたら、これはもう神々の食べ物だ。
「いってきます!」
玄関で真新しいローファーに足を通し、大きな声で挨拶をする。おじいちゃんの「いってらっしゃい、気をつけてな」という優しい声に送られて、私はついに、夢への第一歩を踏み出した。
家の門を出ると、そこには満開の桜並木が広がっていた。
ひらひらと舞い落ちる薄紅色の花びらが、まるで私の門出を祝福してくれているかのようだ。私と同じ制服を着た生徒たちが、友人同士で楽しげに喋りながら学校へ向かっている。
ああ、なんて素晴らしい光景だろう。
この景色が見たかった。この空気の中に、私も入りたかったのだ。
自然と早足になる。心臓がドキドキと音を立てているのが自分でもわかる。大丈夫、落ち着け、私。冒険家の娘だからといって、人より身体能力が高いのは知っている。ここで無駄に俊足を発揮してはいけない。周りの生徒と同じペースで、ゆっくりと、この桜並木を味わうんだ。
これから始まる三年間で、私はたくさんの『普通』を経験するのだ。
まずは、友達を作ること。当たり障りのない会話から始めて、連絡先を交換して、休日に一緒に出かけたりするんだ。
それから、部活動。文化部がいいかな。できれば、あまり活動が活発じゃない、それでいて文化祭ではちょっとだけ見せ場があるような、そんな都合のいい部活。
勉強も、もちろん頑張る。赤点を取るなんて目立つ行為は絶対に避けたいし、かといって学年トップを取るのも注目を浴びすぎる。常に平均点より少し上、それが私の目指すポジションだ。
そして、もしかしたら……もしかしたら、普通の恋なんかも、しちゃったりするのかもしれない。隣の席のちょっと優しい男の子と目が合って、ドキドキしたりとか……。
「……いやいや、落ち着け、私。高望みは禁物だ」
そこまで考えて、私はぶんぶんと首を振った。まずは友達作りからだ。焦りは禁物。平凡な日常は、一歩一歩、着実に築き上げていくものなのだから。
やがて、目的地の高校の、堂々とした校門が見えてきた。
私立 碧海高等学校
真新しい看板が、朝日を浴びて輝いている。深呼吸を一つ。肺いっぱいに吸い込んだ春の空気は、希望の味がした。
もう、泥水で喉の渇きを潤す必要はない。
もう、猛獣に怯えながら眠る夜もない。
今日から私は、夢見ヶ崎 乃蒼。ごく普通の、日本の女子高生。
さあ、行こう。私の、輝かしい『普通の青春』が待つ場所へ!
高鳴る胸を押さえ、私は期待に満ちた足取りで、ゆっくりと校門をくぐり抜けた。
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