俺は誰?

みゆたろ

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居酒屋

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居酒屋の店内は、少し薄暗くあちこちにポスターやら、シールが貼られ、至るところに目が奪われる。
少し落ち着かない。

「ご注文は?」
「生二杯で」
「かしこまりました。少々お待ちください」

店員は軽く頭を下げてその場を離れた。

暇なのだろうか?
それから少ししたら、今度は女の店員が生ビールを持ってきた。

この顔ーーどこかで、見た覚えがある。
記憶を辿る。

ーーあ。あの時の人だ。

ここで何をしているか、とか脅迫のような手紙を渡してきたあの女ーー。

厨房の方から声が聞こえてきた。

「おい、ここにあったビールどこやった??」

何人か男の声が「知らない」と答えている。

しょうがない。
もう一度、ビールを注ぎ、男の店員が持ってくる。

「お待たせしました」

ーーえ?
まだ誰も運んでいないはずのビールを、ここにいる二人の客は飲んでいるのだ。

「お客様、こちらのビールは誰が届けました??」

「名前はわからないけど、女の人だったよ?」
努と豊は答えた。

「ーー???」

訝しげな顔で、店員はとりあえずビールを置いていった。

厨房内にて。

「届いてました。ビール??」

「なに?」

「誰が届けたんだ?」
再度、店長が聞いた。

口々に知らないと答える従業員。

「お客様に誰が届けたか?聞いてみたんです。そしたら「女」だそうです」

「女って言ってもーーここには男しか勤めていないはずだが、、?」

「だから不思議なんです。今持ってったビールは置いてきました」

「それならしょうがない」

うーん。
女、、女、、。
ーーまさかな。
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