ナヨナヨ男vs筋肉ムキムキ女の恋

友人、堺敏也(さかいとしや)

「その友人ってのはあの...堺敏也《さかいとしや》って言うんだけど」

「そっか。とりあえず今すぐ来い！話しはそれからだ」

「ーーわ、分かったよ」

そう答えてから、和樹は慌てふためいた。

ーー猛烈に怒ってる茜のとこにいくの？絶対、殺されんじゃん？？

顔から血の気が引いて、真っ青になっていく自分(和樹)の顔が浮かんだ。
自分の顔は見えないけど、俺(和樹)は今、おそらくその通りの顔をしているだろう。

覚悟を決め外に出ると大輝の家に向かう。

どうして、俺(和樹)は断れないんだろう。こんな時はせめて断れればーー。

ノーと言えない事を悔やみながら、俺は大輝の家に到着した。
今日が俺の命日になるかも知れない。

ドキドキしながら大輝の家のインターフォンを鳴らす。

ドアの向こうから、バタバタとした足音がする。ドアから顔を覗かせたのは大輝だ。

「ーー茜、怒ってる？」

「当然だよ。あの別れ方はないよーーちゃんと話し合え！そして、俺を巻き込まないでくれ！」