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別れの真相

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隣で受話器の後ろに耳をつけて、話を聞いていた茜が、大輝の携帯を奪い取って、話し始める。

「ーーおい、お前よ!なめた真似してくれんじゃねーか?」

狂暴化した茜の声がした途端、和樹は心臓が飛び出すようだった。

「そ...その声は、アカネ?」

声が震えている。
目の前じゃなくても、恐ろしい。

「ーーちゃんと話せ!話さないと...わかってんな?」

茜が放つその言葉の真意はわからないが、とにかく今の茜が相当怖い。
受話器越しの声だけで、怒りと言う感情が伝わってくる。

「ーーわかった。話すよ!話すから」

さすが根っからのイエスマン。
俺(和樹)の辞書に、否定と言う言葉はない。
それに茜のこの迫力で迫られたら、断ることなど出来るはずがなかった。

「ーー実は俺(和樹)は、友人の借金の保証人になってて、その友人が逃げたんだ。そのせいで、俺には200万の借金が出来たんだ。それで...」

「ーーところで借金作って逃げた友人って誰なんだ?」
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