経歴。

みゆたろ

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夢?

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「ーーあぁ、あの事か。俺、この10日間の間に夢を見たんだ。とても長く終わらない悪夢の様な夢だった」

ーー夢?どんな??

興味津々なのだろうか。
由美はこれ以上ないくらい、目を大きくしてこちらを見ていた。

「そこに神だと名乗る男がいて、彼は自分に名前はないから好きに呼べと言ったんだ。だから俺はソイツを悪魔と呼んだ」

「神様なのに、悪魔って名前になったのね。あなたらしいわ」

由美はにこやかな顔でそう言った。

「夢の中で突然、長い黒い髪の毛の男が現れてーーあ、これが後に俺が悪魔って呼ぶ人物なんだけど。彼はメガネをしていて、目元と口元にホクロがあって、妙にシワが多い人で、体は黒いマントみたいのをつけてたからよくわからなかったんだ」

ーーへぇ。
その人物に由美はまったく興味を示さなかった。そして俺の話を待っていた。

「そこで俺の罪に対する寿命を決めるって言ってた」

由美は黙ったまま、相槌を打っている。

「異世界に放り込まれてーー」

これまでほとんど黙って聞いていた由美が口を挟んだ。

「異世界ってどんなとこなの?」

「異世界ーーと言うよりは、異空間って言った方がぴったりくるくらいの狭い場所だった。背景は白と黒だけ。寿命を決めるとか言いながら、まるで葬式みたいだったーー誰もいない。時計すらもない。ただテレビが一つ置いてあって、俺の犯した罪の映像がずーっと流れてるんだ。それを見て、悪魔に何かを感じたか?一つの罪が流れ終わると、都度そう聞かれるんだ」

ーーまるで自己暗示。
ーーまるで洗脳。
それっぽい事を俺に悪魔はしていたのかも知れないと思ってしまう程だった。

「それで?」

「俺、自分がした事の罪を見ていても、特に何も感じなくてさ。今も悪い事をしたとは思えないんだーーでも、多くの人を傷つけたのは分かってる」

「翔太には感情がないの?」

「感情があるかないかについては、俺自身わからないんだ。ただ色んな事に関して、興味が持てない。別に何も感じない。ーーただ由美。お前の事だけは大好きだったし、興味を持てた。あと、その子の事はあんまり覚えてないんだけど!」

「まぁ、そうでしょうね。あなたが通り魔殺人の犯人として、逮捕されてから産まれた子だもの。あなたは目覚めた時に、初めてこの子を見たはずよ!名前は裕太ーーもう少しで3か月になるのよ」

由美はそう説明した。

ーーそう、だったのか。
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