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由美の素晴らしさ
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ーーあー、俺、由美に恋してホントに良かった。
「ーーでもね、これまでのあなたが犯罪者である事実は消えない。だからこれからは真面目に、私たちだけじゃなく、すべての人に対して優しく過ごす事を約束して!!」
指切りを求めるように、由美は小指を立てて俺の方に向ける。
俺もまたそれに応じて小指を差し出す。
「わ...わかった。そう言えば、俺あの時に悪魔に言われたんだ」
「ーー何を?」
「この世界でいい行いをすると130年から縮まるらしい。だけど悪い事をすると寿命がまた増えるらしい」
「そうなの?それならどんどん良いことをしましょう!そしたら、だんだん寿命が減っていくわ!」
どこまでも前向きな考えを持つ女である。
それが今の俺を、少しずつ前向きにしてくれている。そんな風に感じられた。
ーー由美はステキな女だ。
ーー俺の目に狂いはなかった。こんな俺をまだ愛してくれているなんて。
ーー俺はただの殺人鬼なのに。
俺、こんなに幸せでいいんだろうか?
こんな素晴らしい女と暮らし、今後も温かい気持ちで過ごしていいんだろうか?
そうだ。もう一度やり直そう。俺の人生を、この人と息子、裕太とーー。
「これからは二人の中に、秘密は無しにしてよ!」
上目遣いで由美は言った。
ーーあぁ、分かってる。こんな隠し事をしててすまない。
地に擦り付けるようにして俺は土下座をして、由美に謝る。
「ーー顔を上げて。事件自体はもう終わった事よ!ただ被害者の方たちの中では、それは永久に終わらない。どーしたら許してもらえるのか。それをこれから考えて行きましょう!」
由美はそう言って笑った。
窓から差し込む夕日が、由美の頬を照らされ、彼女の表情はまるで神様のように神秘的な光を帯びていた。
思わず、由美を抱き締める。
「由美、ごめんな。こんな事してほんとにゴメンーーちゃんと罪を償ってくるからな」
目頭が熱くなるのを感じる。
それはだんだんと頬に口許にと流れていく。
泣いてる?
俺が??
どうして??
俺は十数年振りに泣いているのだと気づいた。
その日のうちに、俺は警察に行き通り魔殺人の犯人であると自首をした。
どうやって突き止めたのか?わからないが、警察署の至るところに張ってある張り紙には、俺の似顔絵が書かれていた。
そして俺は罪を償うため刑務所に入る。
これから由美と裕太と三人で過ごせる未来を、ただただ楽しみにしながら。
「ーーでもね、これまでのあなたが犯罪者である事実は消えない。だからこれからは真面目に、私たちだけじゃなく、すべての人に対して優しく過ごす事を約束して!!」
指切りを求めるように、由美は小指を立てて俺の方に向ける。
俺もまたそれに応じて小指を差し出す。
「わ...わかった。そう言えば、俺あの時に悪魔に言われたんだ」
「ーー何を?」
「この世界でいい行いをすると130年から縮まるらしい。だけど悪い事をすると寿命がまた増えるらしい」
「そうなの?それならどんどん良いことをしましょう!そしたら、だんだん寿命が減っていくわ!」
どこまでも前向きな考えを持つ女である。
それが今の俺を、少しずつ前向きにしてくれている。そんな風に感じられた。
ーー由美はステキな女だ。
ーー俺の目に狂いはなかった。こんな俺をまだ愛してくれているなんて。
ーー俺はただの殺人鬼なのに。
俺、こんなに幸せでいいんだろうか?
こんな素晴らしい女と暮らし、今後も温かい気持ちで過ごしていいんだろうか?
そうだ。もう一度やり直そう。俺の人生を、この人と息子、裕太とーー。
「これからは二人の中に、秘密は無しにしてよ!」
上目遣いで由美は言った。
ーーあぁ、分かってる。こんな隠し事をしててすまない。
地に擦り付けるようにして俺は土下座をして、由美に謝る。
「ーー顔を上げて。事件自体はもう終わった事よ!ただ被害者の方たちの中では、それは永久に終わらない。どーしたら許してもらえるのか。それをこれから考えて行きましょう!」
由美はそう言って笑った。
窓から差し込む夕日が、由美の頬を照らされ、彼女の表情はまるで神様のように神秘的な光を帯びていた。
思わず、由美を抱き締める。
「由美、ごめんな。こんな事してほんとにゴメンーーちゃんと罪を償ってくるからな」
目頭が熱くなるのを感じる。
それはだんだんと頬に口許にと流れていく。
泣いてる?
俺が??
どうして??
俺は十数年振りに泣いているのだと気づいた。
その日のうちに、俺は警察に行き通り魔殺人の犯人であると自首をした。
どうやって突き止めたのか?わからないが、警察署の至るところに張ってある張り紙には、俺の似顔絵が書かれていた。
そして俺は罪を償うため刑務所に入る。
これから由美と裕太と三人で過ごせる未来を、ただただ楽しみにしながら。
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