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第4話
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「あなたのお父さんと、私はまだ付き合ってたの」
同意を示すように俺は頷く。
「あの人が自殺をする様な精神状態なら、私が気がつくはずよ」
根拠のある話ではない事を知った。
だが、女には第六感があると言う。
俺もその第六感を信じてみたい気持ちになった。
「実は、、父さんの遺品の中から、こんなものが見つかったんです。ーーどう思いますか?」
秀二は、一枚の封筒を原口さんに手渡しする。
「ーー何これ?」
それを受けとると、原口は中の便箋を取り出す。
「ーー?」
女は言葉を無くす。
「俺、意味がわからないんですけど。父さんが残してくれたメッセージな気がしてならないんです」
「その可能性、高いと思うわ」
原口も頷く。
「なぜ、そう思いますか?」
「ここに書いてあるこの人たち、四人ーーあなたのお父さんとトラブルを起こした相手ばかりよ?」
「え?そうなん、、ですか?」
「彼らが原因で、私たちは結婚出来ずにいるのよーー」
「どーゆー事ですか?」
秀二は聞いた。
「私たち、結婚しようと言う話まで進んでたのーーもちろん結婚するつもりだったし、貴方とも一緒に暮らすはずだった。ーーでも、、」
原口は口ごもった。
「誰かはわからないけど、あの四人の中の誰かに狙われている、と健吾が行っていた。ーーだから、秀二の事も俺が守ると言って、貴方を引き取ったのよ。ーー私も一緒にいたら、危険な目に遭うかも知れないと、私を気遣って健吾は、結婚するのを、そのトラブルが終わるまで待とうと言ってーー」
原口は涙ぐんでいる。
ーーなるほど。
それで、父が婚姻届を持っていたのか、、。
俺はようやく父の人物像がわかった気がした。
「ーー俺、この四人に会ってみようと思うんです。」
「どうして?」
「父の死の真相が知りたいから」
「ーーくれぐれも気を付けなさいよ」
原口さんはそう言って、僕を真剣な眼差しで見た。母という存在に馴染みがないが、原口という人にはなぜか安心感を覚える俺がいた。
こうして俺は原口という女と別れた。
翌日、昼。
僕は父のケータイから、一本の電話をするつもりだ。
このケータイもいつまで維持出来るのか?わからない。ーー僕には時間がなかった。
まず山崎太郎と言う人物に僕は電話をかけた。
ケータイの電話帳に、彼ら四人の名前と番号が登録されていた。
山崎太郎。
三度目のコール音の後、鼻にかけるような女の声が聞こえてくる。
「ーーもしもし?」
「あなた誰?」
女はそう言いながら、タバコでも吸っているようにして、深い息を吐き出す。
ーー僕、間違えたかな?それとも電話番号が変わってる?
それはこっちが聞きたい。と思いながら、僕は聞いた。
「僕は斎藤と言います。山崎さんのケータイですよね?」
「そうよーー斎藤さん?ちょっと待って。太郎に変わるから」
受話器の向こうで女の声が言う。
「太郎ーー電話」
「はーい」
ーー良かった。間違いじゃない。
「もしもし、どなた?」
低めの男の声が響いてから僕は話始めた。
「いきなりのお電話ですいません。僕、斎藤秀二と言います」
「斎藤?ーーあー健吾の息子??」
「そうです。生前、父がお世話になったそうですので、父の事でお話しておきたい事があります」
「ーーどんな?」
不思議そうな声で、彼は言った。
「先月、父がなくなりましたーーそして、見てほしいものがあるので、一度お会いできないでしょうか?」
「あぁ、夜ならいーよ」
「それじゃ明日いいですか?」
「構わないよ。ーー何時にどこで?」
「夜8時、⚪️⚪️ファミレスでどうですか?」
「わかった。それじゃ明日、8時にーー」
声だけ聞いていると、とても誠実そうな人が思い浮かんだ。
同意を示すように俺は頷く。
「あの人が自殺をする様な精神状態なら、私が気がつくはずよ」
根拠のある話ではない事を知った。
だが、女には第六感があると言う。
俺もその第六感を信じてみたい気持ちになった。
「実は、、父さんの遺品の中から、こんなものが見つかったんです。ーーどう思いますか?」
秀二は、一枚の封筒を原口さんに手渡しする。
「ーー何これ?」
それを受けとると、原口は中の便箋を取り出す。
「ーー?」
女は言葉を無くす。
「俺、意味がわからないんですけど。父さんが残してくれたメッセージな気がしてならないんです」
「その可能性、高いと思うわ」
原口も頷く。
「なぜ、そう思いますか?」
「ここに書いてあるこの人たち、四人ーーあなたのお父さんとトラブルを起こした相手ばかりよ?」
「え?そうなん、、ですか?」
「彼らが原因で、私たちは結婚出来ずにいるのよーー」
「どーゆー事ですか?」
秀二は聞いた。
「私たち、結婚しようと言う話まで進んでたのーーもちろん結婚するつもりだったし、貴方とも一緒に暮らすはずだった。ーーでも、、」
原口は口ごもった。
「誰かはわからないけど、あの四人の中の誰かに狙われている、と健吾が行っていた。ーーだから、秀二の事も俺が守ると言って、貴方を引き取ったのよ。ーー私も一緒にいたら、危険な目に遭うかも知れないと、私を気遣って健吾は、結婚するのを、そのトラブルが終わるまで待とうと言ってーー」
原口は涙ぐんでいる。
ーーなるほど。
それで、父が婚姻届を持っていたのか、、。
俺はようやく父の人物像がわかった気がした。
「ーー俺、この四人に会ってみようと思うんです。」
「どうして?」
「父の死の真相が知りたいから」
「ーーくれぐれも気を付けなさいよ」
原口さんはそう言って、僕を真剣な眼差しで見た。母という存在に馴染みがないが、原口という人にはなぜか安心感を覚える俺がいた。
こうして俺は原口という女と別れた。
翌日、昼。
僕は父のケータイから、一本の電話をするつもりだ。
このケータイもいつまで維持出来るのか?わからない。ーー僕には時間がなかった。
まず山崎太郎と言う人物に僕は電話をかけた。
ケータイの電話帳に、彼ら四人の名前と番号が登録されていた。
山崎太郎。
三度目のコール音の後、鼻にかけるような女の声が聞こえてくる。
「ーーもしもし?」
「あなた誰?」
女はそう言いながら、タバコでも吸っているようにして、深い息を吐き出す。
ーー僕、間違えたかな?それとも電話番号が変わってる?
それはこっちが聞きたい。と思いながら、僕は聞いた。
「僕は斎藤と言います。山崎さんのケータイですよね?」
「そうよーー斎藤さん?ちょっと待って。太郎に変わるから」
受話器の向こうで女の声が言う。
「太郎ーー電話」
「はーい」
ーー良かった。間違いじゃない。
「もしもし、どなた?」
低めの男の声が響いてから僕は話始めた。
「いきなりのお電話ですいません。僕、斎藤秀二と言います」
「斎藤?ーーあー健吾の息子??」
「そうです。生前、父がお世話になったそうですので、父の事でお話しておきたい事があります」
「ーーどんな?」
不思議そうな声で、彼は言った。
「先月、父がなくなりましたーーそして、見てほしいものがあるので、一度お会いできないでしょうか?」
「あぁ、夜ならいーよ」
「それじゃ明日いいですか?」
「構わないよ。ーー何時にどこで?」
「夜8時、⚪️⚪️ファミレスでどうですか?」
「わかった。それじゃ明日、8時にーー」
声だけ聞いていると、とても誠実そうな人が思い浮かんだ。
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