26 / 35
第25話
しおりを挟む
15時。
約束の時間ちょーどになり、僕は三人と一つのテーブルを囲んだ。
「ーーお父さんの死から一ヶ月が立ちました。やはり母も精神的に疲れていた様で、倒れました」
僕は彼らに話した。
「ーー入院しているのか?」
そう聞いてきたのは、藤田しげるだ。
「はい。それで僕一人になっちゃったので、どーしたらいいのか?わからなくなってしまっていて、、。相談出来る相手もいなかったので、皆さんの知恵をお借りできたら、と思って」
「ーー僕らに出来る事なら何でも言ってくれよ。大変な事になってるんだな」
そう言って、僕を励ますように僕の肩に手を乗せたのは、沢田昌平だ。
「ーー困った時はお互い様だ」
そう言って頷いているのが、山崎太郎。
彼らもなかなかいい人なのかも知れない。周囲の人が見ている分にはーー。
僕は絶対に騙されない。
「ありがとーございます。いろいろと考えては見るんですが、、僕だけでは対処しきれない事の方が多いと思いますので、いろいろと教えて頂けると助かります」
「うむ。遠慮せずにいつでも電話くれれば、話を聞こう」
三人がそう言ってくれた。
「ありがとうございます。これからお願いします」
頭を深々と下げて、僕は先に店を出た。
三人はまだコーヒーを飲んでいく様だった。
「ーーどー思う?あいつ、、」
秀二が店を出てすぐに、口火を切ったのは藤田しげるだった。
「うむ。健吾の息子だからな、、油断はするなよ?」と、沢田昌平。
何も言わず黙って考え込んでいる山崎太郎。
「ーーほんとはアイツ、何にも分かってないのかも知れないな。まだ中学卒業したばかりだろ?」
山崎太郎がいうと、
「その可能性もあるなーー」
他の二人が同意を示す。
昨日、過労で倒れ眠っていた母の入院している病室に僕は歩いていった。
それほど離れていない距離だ。
徒歩でも数分でつけるはずだった。
街は夕暮れに染まり、商店街はライトアップされていく。
これから、この街にも夜が訪れる。
病院の透明なガラス戸を抜けると、待ち合い室がある。
まだ4時過ぎだと言うのに、もう誰も待ってはいなかった。
母の病室に向かう。
コンコンコン。
軽いノックをして室内に入ると、母が寝ているはずの病室の窓際に、別の人間が眠っていた。
ケータイを見てみる。
病院からの連絡が入っていた。
僕は急いで、ナースセンターに向かう。
「こんばんは。電話をもらってたみたいなんですが、原口恵の息子ですーー電話なんでした?」
約束の時間ちょーどになり、僕は三人と一つのテーブルを囲んだ。
「ーーお父さんの死から一ヶ月が立ちました。やはり母も精神的に疲れていた様で、倒れました」
僕は彼らに話した。
「ーー入院しているのか?」
そう聞いてきたのは、藤田しげるだ。
「はい。それで僕一人になっちゃったので、どーしたらいいのか?わからなくなってしまっていて、、。相談出来る相手もいなかったので、皆さんの知恵をお借りできたら、と思って」
「ーー僕らに出来る事なら何でも言ってくれよ。大変な事になってるんだな」
そう言って、僕を励ますように僕の肩に手を乗せたのは、沢田昌平だ。
「ーー困った時はお互い様だ」
そう言って頷いているのが、山崎太郎。
彼らもなかなかいい人なのかも知れない。周囲の人が見ている分にはーー。
僕は絶対に騙されない。
「ありがとーございます。いろいろと考えては見るんですが、、僕だけでは対処しきれない事の方が多いと思いますので、いろいろと教えて頂けると助かります」
「うむ。遠慮せずにいつでも電話くれれば、話を聞こう」
三人がそう言ってくれた。
「ありがとうございます。これからお願いします」
頭を深々と下げて、僕は先に店を出た。
三人はまだコーヒーを飲んでいく様だった。
「ーーどー思う?あいつ、、」
秀二が店を出てすぐに、口火を切ったのは藤田しげるだった。
「うむ。健吾の息子だからな、、油断はするなよ?」と、沢田昌平。
何も言わず黙って考え込んでいる山崎太郎。
「ーーほんとはアイツ、何にも分かってないのかも知れないな。まだ中学卒業したばかりだろ?」
山崎太郎がいうと、
「その可能性もあるなーー」
他の二人が同意を示す。
昨日、過労で倒れ眠っていた母の入院している病室に僕は歩いていった。
それほど離れていない距離だ。
徒歩でも数分でつけるはずだった。
街は夕暮れに染まり、商店街はライトアップされていく。
これから、この街にも夜が訪れる。
病院の透明なガラス戸を抜けると、待ち合い室がある。
まだ4時過ぎだと言うのに、もう誰も待ってはいなかった。
母の病室に向かう。
コンコンコン。
軽いノックをして室内に入ると、母が寝ているはずの病室の窓際に、別の人間が眠っていた。
ケータイを見てみる。
病院からの連絡が入っていた。
僕は急いで、ナースセンターに向かう。
「こんばんは。電話をもらってたみたいなんですが、原口恵の息子ですーー電話なんでした?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる