140 / 145
懲りずに続編
花火大会悲喜こもごも……
しおりを挟む
ファーストフード店で時間を潰してから小田原家に向かった俺たちは、見事なまでの変身を遂げた女性陣と誠に視線を奪われた。艶やかな浴衣に普段とは違った大人びたメイクで魅力度倍増じゃねぇかよ、これまでの俺なら目移りしてしょうがねぇや。
「何か隣に立つのが申し訳ないや」
颯天は恋人であると浅元さんを見て顔を赤らめてる。一方の誠は一緒にいる野上さんの影に隠れてやがる、おいもうちょいちゃんと見せろ。
「もうまこちゃん、畠中君にちゃんと見せてあげなって」
志賀さんに接突かれてようやっと全身が見えるように立つ。浴衣もこの前より着慣れてて、メイクも誠のキャラに合った感じになってる。
「おぅ、案外似合ってんじゃねぇか」
「そ、そうかな……?」
誠は恥ずかしそうに下を向いてる。正直に言えば俺だって照れくさいけど、目の前の男は変に気を回して萎縮しちまうところがあるからなるべく照れは見せないようにする。
「馬子にも衣装ってこの事か?」
と余計なひと言を言ってみる、案外その方が緊張しなくて済むんじゃね?
「畠中、その言い方はどうかと思う」
「そうだよ、こんな可愛い子に言う台詞じゃないよ」
誠を嬉しそうに囲んでる輝と光畑は、俺を押しのけるが如く蝶よ花よと褒めそやしている。まぁ元々は仲良く(?)争奪戦してたんだもんなぁ……その二人が今は恋人同士だってんだから世の中何が起こるか分かんねぇもんだわ。
「そろそろ出た方がいいんじゃない?場所無くなっちゃうよ」
見た目通りの姐御肌タイプらしき野上さんがこの場を仕切り、俺たちは見物スポットとなる堤防へと向かう。この辺りの土地勘に詳しい誠と輝の先導に従い、出店で食い物買いながら祭り気分を味わっていた。
「やっぱそれなりに混んでんねぇ」
小柄な志賀さんは懸命に背伸びしながら河川敷を覗こうとしている。う~ん、多分今日はどこ行ってもこんな感じなのかも知れねぇな。
「何年か前までは橋からの見物もできたんだけど……」
輝はそんなことを言いなから少し離れた大橋を見ながら言う。確か混雑しすぎて転落事故があったんだよな?
「今はかろうじて歩きながら見るって感じだよね?」
誠も地元民だから輝の言葉に頷いてる。俺もちっと気になって橋に視線をやると、確かに人通りはそれなりだけど誰も立ち止まってないな。
「うん、写真撮るだけでも注意されるよ」
「う~ん、でもこれじゃあオープニングの滝花火が観れないよぉ」
志賀さんは野上さんに泣き言言ってるけど、ぶっちゃけ多分誰も見えねぇと思う。俺の身長でも上三分の一くらいがやっとだわ。
「そこは諦めな、みんな見えてないから」
なんてことを言ってると、始まったのか花火の音が聞こえてきた。俺らの位置にいる人たちの動きが慌ただしくなり、光畑もポケットを漁ってる。
「畠中、腕伸ばして動画撮影やってみよう」
えっ?そんな事やっていいのかよ?俺の疑問をよそに、低い位置から俺を突っつく感触が伝わってくる。誠だ。
「ここはメインの打ち上げがよく見えるスポットだから、オープニングはああやって……ほら」
そう言われて周囲を見ると、ホントだみんなやってるわ。
「はいケータイ」
おぅよく分かってんじゃねぇか、誠のやつの方がカメラ機能は抜群に良いからな。俺は誠のケータイを借り、光畑の動きを真似て腕を伸ばしてみる。腕前はあんま期待しないでくれ、と何とか見える部分を宛てに照準を合わせて滝花火の動画撮影に臨んでいた。
ほんの五分弱の滝花火撮影を終え、取り急ぎ動画をチェックしてみると……お~案外ちゃんと撮れてるわ。
「後でそれくれ」
と誠にケータイを返す。
「うん」
ケータイを受け取った誠は浴衣に合わせたデザインの巾着袋にケータイを入れ、暗くなり始めた空を見上げた。俺はその表情にドキッとしたが、それに浸る間もなく本格的に花火が打ち上がり始めた。
色鮮やかな光に誘われて俺も空を見上げる。この街の花火見るの何年振りだろ?誠も中学時代はいじめに苦しんでほとんど外出しなかったから、多分何年か振りの花火だと思う。
今隣にいるこの男は何を考えてんだろう?それが気になって俺はもう一度誠の顔を見る。最近ようやっと見せるようになってきた満面の笑みで夜空を見上げていた。薄化粧を施してるきめ細かい肌に、何色もの色で彩られた花火の光がほんのりと乗せられていく。
俺は何の気無しに恋人の頬をそっと触る。ちょっとびっくりした表情を見せてたけど、嫌そうにしてる様子はない。俺は顔を寄せて軽くキスをお見舞いしてやる。綾姉さんに貰ったっつってたフレグランスをまとった中にも、極甘なホットミルクの香りは健在だった。
「何か隣に立つのが申し訳ないや」
颯天は恋人であると浅元さんを見て顔を赤らめてる。一方の誠は一緒にいる野上さんの影に隠れてやがる、おいもうちょいちゃんと見せろ。
「もうまこちゃん、畠中君にちゃんと見せてあげなって」
志賀さんに接突かれてようやっと全身が見えるように立つ。浴衣もこの前より着慣れてて、メイクも誠のキャラに合った感じになってる。
「おぅ、案外似合ってんじゃねぇか」
「そ、そうかな……?」
誠は恥ずかしそうに下を向いてる。正直に言えば俺だって照れくさいけど、目の前の男は変に気を回して萎縮しちまうところがあるからなるべく照れは見せないようにする。
「馬子にも衣装ってこの事か?」
と余計なひと言を言ってみる、案外その方が緊張しなくて済むんじゃね?
「畠中、その言い方はどうかと思う」
「そうだよ、こんな可愛い子に言う台詞じゃないよ」
誠を嬉しそうに囲んでる輝と光畑は、俺を押しのけるが如く蝶よ花よと褒めそやしている。まぁ元々は仲良く(?)争奪戦してたんだもんなぁ……その二人が今は恋人同士だってんだから世の中何が起こるか分かんねぇもんだわ。
「そろそろ出た方がいいんじゃない?場所無くなっちゃうよ」
見た目通りの姐御肌タイプらしき野上さんがこの場を仕切り、俺たちは見物スポットとなる堤防へと向かう。この辺りの土地勘に詳しい誠と輝の先導に従い、出店で食い物買いながら祭り気分を味わっていた。
「やっぱそれなりに混んでんねぇ」
小柄な志賀さんは懸命に背伸びしながら河川敷を覗こうとしている。う~ん、多分今日はどこ行ってもこんな感じなのかも知れねぇな。
「何年か前までは橋からの見物もできたんだけど……」
輝はそんなことを言いなから少し離れた大橋を見ながら言う。確か混雑しすぎて転落事故があったんだよな?
「今はかろうじて歩きながら見るって感じだよね?」
誠も地元民だから輝の言葉に頷いてる。俺もちっと気になって橋に視線をやると、確かに人通りはそれなりだけど誰も立ち止まってないな。
「うん、写真撮るだけでも注意されるよ」
「う~ん、でもこれじゃあオープニングの滝花火が観れないよぉ」
志賀さんは野上さんに泣き言言ってるけど、ぶっちゃけ多分誰も見えねぇと思う。俺の身長でも上三分の一くらいがやっとだわ。
「そこは諦めな、みんな見えてないから」
なんてことを言ってると、始まったのか花火の音が聞こえてきた。俺らの位置にいる人たちの動きが慌ただしくなり、光畑もポケットを漁ってる。
「畠中、腕伸ばして動画撮影やってみよう」
えっ?そんな事やっていいのかよ?俺の疑問をよそに、低い位置から俺を突っつく感触が伝わってくる。誠だ。
「ここはメインの打ち上げがよく見えるスポットだから、オープニングはああやって……ほら」
そう言われて周囲を見ると、ホントだみんなやってるわ。
「はいケータイ」
おぅよく分かってんじゃねぇか、誠のやつの方がカメラ機能は抜群に良いからな。俺は誠のケータイを借り、光畑の動きを真似て腕を伸ばしてみる。腕前はあんま期待しないでくれ、と何とか見える部分を宛てに照準を合わせて滝花火の動画撮影に臨んでいた。
ほんの五分弱の滝花火撮影を終え、取り急ぎ動画をチェックしてみると……お~案外ちゃんと撮れてるわ。
「後でそれくれ」
と誠にケータイを返す。
「うん」
ケータイを受け取った誠は浴衣に合わせたデザインの巾着袋にケータイを入れ、暗くなり始めた空を見上げた。俺はその表情にドキッとしたが、それに浸る間もなく本格的に花火が打ち上がり始めた。
色鮮やかな光に誘われて俺も空を見上げる。この街の花火見るの何年振りだろ?誠も中学時代はいじめに苦しんでほとんど外出しなかったから、多分何年か振りの花火だと思う。
今隣にいるこの男は何を考えてんだろう?それが気になって俺はもう一度誠の顔を見る。最近ようやっと見せるようになってきた満面の笑みで夜空を見上げていた。薄化粧を施してるきめ細かい肌に、何色もの色で彩られた花火の光がほんのりと乗せられていく。
俺は何の気無しに恋人の頬をそっと触る。ちょっとびっくりした表情を見せてたけど、嫌そうにしてる様子はない。俺は顔を寄せて軽くキスをお見舞いしてやる。綾姉さんに貰ったっつってたフレグランスをまとった中にも、極甘なホットミルクの香りは健在だった。
0
あなたにおすすめの小説
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
はじまりの朝
さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。
ある出来事をきっかけに離れてしまう。
中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。
これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。
✳『番外編〜はじまりの裏側で』
『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。
学校一のイケメンとひとつ屋根の下
おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった!
学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……?
キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子
立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。
全年齢
イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話
タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。
瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。
笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる