どら焼は恋をつなぐ

谷内 朋

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やっとこさ本編

只今少々混乱中……

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 地獄の数学もどうにか乗り気った放課後、今週は教室の掃除当番なので輝と真幸と……アレ?遵斗は?
 「普段は気にならないけど今日フケられるのは……」
 珍しく真幸が文句をたれながら黒板を雑巾がけしてる。アイツそんなにフケてたか?
 「伽月そういうの気にしないからなぁ、ってかクソ真面目に黙々と働いてるからそれすらも気付いてなかったとか?」
 輝に図星を突かれて俺は言葉に詰まる。だってこんなの集中してさっさと終わらすのが一番良いんだよ!と思うんだけど。でも今日は颯天も居ないし猛だって登校出来るのは来週からだから、六人でする作業を三人でするのか……俺今日バイトなのに間に合うのか?
 「伽月今日バイトだろ?キリ良いところで帰んなよ」
 真幸が時計を見て気遣ってくれる。
 「ちゃんと終わらせてから行くよ、バイト先には後で話すし学校の事情なら注意もされないから」
 「それなら僕も手伝うよ、今日は塾行かなくていいから」
 数学の補習仲間結嶋が手伝いを名乗り出てくれる。コイツからすると自分のグループの時他の奴らにフケられて一人で掃除してたのを、真幸と手伝った事が借りだと思ってるのかも知れない。そこは気にしなくて良いけどその申し出はありがたい。
 「助かるよ、掃き掃除お願いして良いか?」
 輝は結嶋に声を掛けてから廊下の掃除を始める。結嶋も含めた四人で掃除をしてると史生谷先生が入ってきた。
 「おい結嶋、お前このグループじゃないだろ?」
 「はい、でも人数が少ないですし僕も手伝ってもらったんで」
 えっ?先生は廊下に居る輝、黒板を拭いてる真幸、机を拭いてる俺を見て遵斗が居ない事に気付いた様だ。
 「平泉はどこ行った?ホームルームの時には居たんだが……」
 分かりません。真幸は少々ムッとした顔で答える。はぁ~こういう時俺席が隣だからちゃんと見とけとか声掛けろとか言われるパターンだろ?と覚悟はしてたけど……。
 「明日本人に聞くよ、こんな事連帯責任にされても残ってる奴らだっていい迷惑だろ」
 俺も手伝う。先生はモップを手に取って床を拭き始める。先生の手伝いは予想外だったけど、お蔭で作業がはかどりバイトの方も無事に間に合った。

 翌日、いつもの様に教室に入ると真幸と遵斗が険しい表情で向き合ってる。昨日の掃除の事だろうな、きっと。
 「だったら上手く誤魔化せよ、『予定があるって言ってた』とかやりようがあるだろ」
 「あのさぁ、一度二度ならそれでも良いけどしょっちゅうじゃないか。同じグループだからってそこまで庇い立てしなきゃいけない訳?」
 「お前ちょっとケチ臭いんじゃねぇの?猛の短気が移ったのかよ?」
 今日の遵斗は明らかに普段と違う、何と言うかヘラヘラしててかなりムカつく態度だ。何があったんだ?
 「ケチ臭いとか言う問題か?だったらたかだか十五分二十分で済む掃除くらいちゃんとしろよ」
 あ゛ぁ!?遵斗はいきなり真幸に向けて椅子を振り上げる。おいっ!それは駄目だろ!?
 「下がれ!真幸!」
 気付けば俺はそう叫んで輪の中に入っていく。頼む遵斗、思い止まれ!俺が真幸を助けるのは多分間に合わねぇ、せめて遵斗の椅子をと腕を伸ばす。
 「おらぁ、やれぇ~!」
 と余計なヤジを発する一人の男、柳川ヤナガワだ。コイツ所謂不良と言う奴なんだがホントチンケな類いの男で、八神ヤガミ矢澤ヤザワ谷沢ヤザワ山科ヤマシナ山本ヤマモトの五人を従えては悪さばかりしてる。結嶋は不幸にも同じグループになってしまい何かと被害を被っていて、俺一度ブチギレた事あるんだよ。詳しい話は今度にする、今はあの二人を止めるのが先決だ!
 俺は間一髪遵斗の椅子を掴み惨事は免れる。真幸の方はクラス委員の喜多川キタガワが後方に引っ張りこんでくれてるから、俺が仮に間に合わなかったとしても怪我はしなかっただろうな。真幸は目を見開いて遵斗を凝視してしまってる、まさか掃除のもめ事ごときで椅子を振り上げられるなんて思わないだろ。喜多川を中心にクラスのほとんどが真幸を囲んで大丈夫か?と声を掛けてる、放ったらかし状態の遵斗の足元は心なしかおぼつかない。
 「……ハハッ、ちょっと脅かしてやっただけだよ」
 「だからって今のはナシだ」
 その時こっちに向けた遵斗の顔色はまるで死体だった。お、おい、普通に大丈夫なのかよ……?
 「顔色悪いぞ……」
 そうか……遵斗はそれだけの言葉をボソッと呟くとフラフラした足取りで教室を出ていく。俺は普通に心配になって後を追おうとしたけど、今日もまた物凄い力で腕を掴まれ行く手を阻まれた。
 「行かない方がいい」
 俺を引き留めたのは喜多川だった。
 「何でだよ?」
 「“ヤシクッス”が付いてったよ、それにアイツとは深く関わらない事をお勧めする」
 「席隣なのにそうもいくかよ」
 「さっきの顔見たろ?その事で話があるから昼飯付き合ってくれ」
 外出許可取りに行くぞ。俺は喜多川に腕を引かれて職員室に向かう羽目になった。
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