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やっとこさ本編
…チャンスなのか?ピンチなのか?…
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輝君と別れた僕は一旦家の中に入りました。今のところ誰も居ません。玄関脇にあるコルクボードをチェックすると、お父さんと晋はスーパーマーケットへ買い物、お母さんは金曜日まで海外出張、お姉ちゃんは夜勤、勇は練習試合となっています。因みに僕はお出掛けとなっていて、それはもう終わっていますが降って涌いてきた変な気持ちで一人家に居るのが辛くなり、買ってきたお土産をダイニングテーブルに置いてから再び外へ出掛けます。『セイコちゃんサブレ』だけは手放さずに……。
僕は早歩きとも小走りともいえるペースでJR駅に向かっています。夕方になって涼しくはなりましたが、それでも夏直前なだけあってやっぱり暑いです。駅に着いて切符を買ってちょうど良く到着した快速電車に乗りました。
その間の三十分はとても長く感じました、精神状態の影響を無視しても、目的地までは一時間ほどかかります。僕は逸る気持ちを一生懸命鎮めようと、違う事を考えたりケータイゲームで気を紛らわそうとしましたが全て徒労に終わりました。
結局そわそわした状態のまま目的地の最寄り駅に到着し、最初と同じ様に早足で目的地に向かいます。半端無く短いコンパスを目一杯広げて一分一秒でも早く目的地を目指している僕の体は汗でびっしょり濡れています。そんな事も気にならずひたすらずんずん歩き進める事約十分、ようやく十五階建てのマンション入口まで来ました。エレベーターで六階に上がって一番奥の七○八号室の前で立ち止まり、ハンカチで汗を拭ってからインターフォンを押しました。
『はい』
物腰柔らかい優しい声……僕は名前を名乗って少し待つと、顔馴染みの憧れの男性……波那ちゃんが僕を出迎えてくれました。
「こんばんは、夜分遅く申し訳ありません」
「そこまで遅い時間じゃないから遠慮しないで」
ありがとうございます。僕はご自宅に上がらせてもらい、まずはお土産を渡しました。
「懐かしい~、『セイコちゃんサブレ』」
「さっきまで遊園地に行ってたんです」
「後で皆で食べよう♪伽月今寝てるけど」
二人お見舞いに来てくれたから。波那ちゃんは星哉君と泰地君の居るリビングに案内してくれますが……。
「あのっ、波那ちゃん。伽月君の部屋に行っても良いですか?」
えっ?波那ちゃんは一瞬驚いた表情を見せていましたが、構わないよと言ってくれたので、僕は伽月君の居る部屋の前に立ちました。
『あのっ、波那ちゃん。伽月君の部屋に行っても良いですか?』
俺はその声で慌てて体を起こした。何で誠がここに来てんだよ?輝とのデート早めに切り上げたのか?俺は変な緊張感を胸に誠が入ってくるのを待つ。
トントン。
「はい」
『誠です……入って良い?』
あぁ。俺の一声を待ってからそっとドアが開き、間違いなくデート帰り的なお洒落をしてる誠が部屋に入ってきた。チュニックにカプリパンツ、完全に綾姉さんのセンスだな。
「よぉ、遊園地楽しかったか?」
俺は当たり障り無い言葉を選ぶ。これはチャンスなのかピンチなのかよく分からん。ところが目の前に居る男はデート帰りにもかかわらず冴えない顔をしてやがる、何があったんだ?
「……うん、楽しかったよ」
イヤイヤ、俺には全く伝わってない。かと言って聞いても良いものなのか正直扱いに困ってる。
「だったら何でそんな顔してんだよ?」
悩むより先に口に出しちまった……もうしょうがねぇや、考えたって分かりゃしねぇんだ。
「……遊園地は凄く楽しかったし、輝君の事前よりも好きになったよ。でも……」
でも……何だよ?とは言わないが、思いっきりそういう顔はしてると思う。
「……恋じゃなかった」
へっ?俺の思考は誠と輝が付き合う前提だったせいか緊張の糸が切れたみたくドッと疲れが出た様な感覚だ。
「だから輝君とは恋人としてのお付き合いは出来ません、って今度会う時きちんと話す」
「輝はそんな風に思ってないだろ?」
「例えそうでも、輝君の気持ちがそうであれば尚更お付き合いなんて出来ないよ。だってそんなの失礼じゃない、本心隠して相手に合わせたってかえって傷付けるだけだから」
誠は俺の顔を見てはっきりとそう言った。これはむしろチャンス寄りか?でもこんな時に告って変な混乱させたくない。今のところは自重しよう。このところの急激な成長振りの誠が眩しく見える、俺自身はガキ臭さ全開で自己嫌悪中だ。
けど何でわざわざ家に来て俺にそんな話しに来たんだ?日を改めて輝と話し合えば済む事だ、俺に報告する義務なんて無いぞ。俺は誠の顔を見る、まだビミョーな表情で俺の事見つめてる。どうやら話は終わっちゃいないみたいだ。
「……一つ、お願いしても良い?」
「何だ?」
誠は少し間を置いて、一度大きく息を吐いた。そしてこれまであまり見せたことの無い強い目力で俺を見てくるので内心ちょっと怯む。
「上書き、して……くれないかな?」
……は?三度目ともなるとちょっとくどいな……。
僕は早歩きとも小走りともいえるペースでJR駅に向かっています。夕方になって涼しくはなりましたが、それでも夏直前なだけあってやっぱり暑いです。駅に着いて切符を買ってちょうど良く到着した快速電車に乗りました。
その間の三十分はとても長く感じました、精神状態の影響を無視しても、目的地までは一時間ほどかかります。僕は逸る気持ちを一生懸命鎮めようと、違う事を考えたりケータイゲームで気を紛らわそうとしましたが全て徒労に終わりました。
結局そわそわした状態のまま目的地の最寄り駅に到着し、最初と同じ様に早足で目的地に向かいます。半端無く短いコンパスを目一杯広げて一分一秒でも早く目的地を目指している僕の体は汗でびっしょり濡れています。そんな事も気にならずひたすらずんずん歩き進める事約十分、ようやく十五階建てのマンション入口まで来ました。エレベーターで六階に上がって一番奥の七○八号室の前で立ち止まり、ハンカチで汗を拭ってからインターフォンを押しました。
『はい』
物腰柔らかい優しい声……僕は名前を名乗って少し待つと、顔馴染みの憧れの男性……波那ちゃんが僕を出迎えてくれました。
「こんばんは、夜分遅く申し訳ありません」
「そこまで遅い時間じゃないから遠慮しないで」
ありがとうございます。僕はご自宅に上がらせてもらい、まずはお土産を渡しました。
「懐かしい~、『セイコちゃんサブレ』」
「さっきまで遊園地に行ってたんです」
「後で皆で食べよう♪伽月今寝てるけど」
二人お見舞いに来てくれたから。波那ちゃんは星哉君と泰地君の居るリビングに案内してくれますが……。
「あのっ、波那ちゃん。伽月君の部屋に行っても良いですか?」
えっ?波那ちゃんは一瞬驚いた表情を見せていましたが、構わないよと言ってくれたので、僕は伽月君の居る部屋の前に立ちました。
『あのっ、波那ちゃん。伽月君の部屋に行っても良いですか?』
俺はその声で慌てて体を起こした。何で誠がここに来てんだよ?輝とのデート早めに切り上げたのか?俺は変な緊張感を胸に誠が入ってくるのを待つ。
トントン。
「はい」
『誠です……入って良い?』
あぁ。俺の一声を待ってからそっとドアが開き、間違いなくデート帰り的なお洒落をしてる誠が部屋に入ってきた。チュニックにカプリパンツ、完全に綾姉さんのセンスだな。
「よぉ、遊園地楽しかったか?」
俺は当たり障り無い言葉を選ぶ。これはチャンスなのかピンチなのかよく分からん。ところが目の前に居る男はデート帰りにもかかわらず冴えない顔をしてやがる、何があったんだ?
「……うん、楽しかったよ」
イヤイヤ、俺には全く伝わってない。かと言って聞いても良いものなのか正直扱いに困ってる。
「だったら何でそんな顔してんだよ?」
悩むより先に口に出しちまった……もうしょうがねぇや、考えたって分かりゃしねぇんだ。
「……遊園地は凄く楽しかったし、輝君の事前よりも好きになったよ。でも……」
でも……何だよ?とは言わないが、思いっきりそういう顔はしてると思う。
「……恋じゃなかった」
へっ?俺の思考は誠と輝が付き合う前提だったせいか緊張の糸が切れたみたくドッと疲れが出た様な感覚だ。
「だから輝君とは恋人としてのお付き合いは出来ません、って今度会う時きちんと話す」
「輝はそんな風に思ってないだろ?」
「例えそうでも、輝君の気持ちがそうであれば尚更お付き合いなんて出来ないよ。だってそんなの失礼じゃない、本心隠して相手に合わせたってかえって傷付けるだけだから」
誠は俺の顔を見てはっきりとそう言った。これはむしろチャンス寄りか?でもこんな時に告って変な混乱させたくない。今のところは自重しよう。このところの急激な成長振りの誠が眩しく見える、俺自身はガキ臭さ全開で自己嫌悪中だ。
けど何でわざわざ家に来て俺にそんな話しに来たんだ?日を改めて輝と話し合えば済む事だ、俺に報告する義務なんて無いぞ。俺は誠の顔を見る、まだビミョーな表情で俺の事見つめてる。どうやら話は終わっちゃいないみたいだ。
「……一つ、お願いしても良い?」
「何だ?」
誠は少し間を置いて、一度大きく息を吐いた。そしてこれまであまり見せたことの無い強い目力で俺を見てくるので内心ちょっと怯む。
「上書き、して……くれないかな?」
……は?三度目ともなるとちょっとくどいな……。
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