どら焼は恋をつなぐ

谷内 朋

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やっとこさ本編

今何つった?……

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 それから二日経って水曜日になり、いよいよ体調も普段通りに戻って明日から学校に行ける事になった。兄貴も午前中のうちに新潟に戻り、今は一人で明日の支度をちまちまとしてるところだ。
 誠の方も今朝ようやく熱が下がって明日から学校に行く予定だそうだ、誕生日当日隼人悪ガキに飛び出す絵本をプレゼントされて浮かれまくってたけどな。相変わらずちゃっかりしてやがるよアイツ、抜け目無ぇと言うか何と言うか。
 俺焦って波那ちゃんにプレゼントの話題振ったら『当日に引き取りに行ける様手配しておいたよ』との事、ホント頼りになる“お母さん”だ。『隼人君土曜日のパーティーに参加出来ないんだから仕方無いでしょ?』と笑われた。う~ん、隼人はそこらの奴らより頭回るし、誠の事かなり熟知してるから油断も隙もあったもんじゃねぇんだよな、ある意味輝より恐ろしい……。
 それでも俺は隼人の事嫌いじゃない。アイツは他人を思いやれる優しい奴だし、普段悪態ばっか吐いてる(俺限定)けど言動にトゲは全く感じない。最近は勉強教えろとか鉄棒教えろとかがほとんどだけど何故か泣き言があると俺の所に来る。うん、可愛いとこあるんだよ、たま~にしか見せないけどそれは内緒にしといてやる。

 ……なんて考えてるとケータイがブルブルと震え出す。誰だ?と思って画面をチェックすると光畑だった。俺に何の用だ?さっぱり分からん……取り敢えず出るか。
 「はい」
 『畠中ん家寄っていいか?ちょっと話したくて』
 「あぁ、待ってればいいのか?」
 うん。光畑はそれだけの用事で通話を切ったが……声が神妙過ぎてちょっと緊張するぞ……それよりアイツ犬は平気なんだろうか?聞くの忘れてたわ。

 それからほんの数分後に光畑が家に来た。今俺の部屋で小ちゃいテーブルを挟んで向かい合わせに座ってる。因みに麦茶と兄貴が持って来てた地域限定のスナック菓子でもてなしてる状態なのだが、さっきから取り留めの無い話題ばかりで本題に辿り着かない。
 「そういや話って何だ?」
 痺れを切らして(と言うほど苛ついてた訳じゃねぇけど)俺の方から話を切り出すと、光畑は俺の顔を見てうん、と頷いた。
 「実は輝昨日から体調悪くて学校休んでんだ。小田原君から何か聞いてないかと思って……」
 「俺に聞くより本人に聞いた方が良いんじゃねぇのか?」
 「そうしたいんだけど普段と様子が違ってて……彼なら何か知ってると思ったんだ」
 「いや、『楽しかった』としか聞いてない」
 そう……口ではそう言ってても納得してる顔つきじゃない、まぁ『恋じゃなかった』とも言ってたけど、誠自身も体調悪くて学校休んでるし今の時点で輝と連絡を取り合ってるとは思えない。
 「偶然だと思うけど誠も今体調崩して学校休んでんだわ」
 「そうなのか?でも何でそんな事知ってんだ?」
 「何で?って一昨日メールしたから」
 「そっか……小田原君と畠中ってひょっとしてひょっとする?」
 「へっ!?」
 「いやさ、前に一応否定はしてたけど鵜呑みにしてる訳じゃないから。実際のところ好き同士だったりするんじゃないかと思って」
 前その話題になった時は確かに何も無かった……輝より先に話すのも気が引けるがここで隠すのも後味悪いな、ただどう答えていいものか。
 「……」
 「それは肯定って事でいいのか?ならには好都合だよ」
 光畑はこれまでに見せた事の無い“男”の表情を見せてきた。コイツ柔和な奴だと思ってたけどこういう顔する時もあるんだな、正直ちょっと驚いた。
 「好都合って何がだ?」
 「そうだね、確かにその説明は要るよね。もう肯定前提で話進めるけど」
 「あぁ、それで良いよ」
 “好都合”に食い付いちまった以上不要な隠し事はしない方が良い、俺の頷きにうっすらと笑みを浮かべた光畑は実に分かり易い“説明”をしてくれた。
 「輝が好きなんだ」
 おぅそうか、お前ら二人知り合って一時間で大親友状態だったもんな……ってマジかっ!!?ほんこの前まで『白雪姫が〜♡』とか言ってなかったか?
 「最初は本当に『宣戦布告』のつもりで声を掛けたんだけど、彼と敵対するのは何か違う気がしてさ。それでまずは相手を知ろうと色々話してくうちにもっと輝の事知りたくなってきて。
  あれから三日後くらいには小田原君からお断りされたけど、フラレたショックもさほど引き摺る事無く、輝と一緒に居る時間がとにかく楽しかったんだ。
  そしたら小田原君との時間を優先する……って輝の気持ちなら当たり前の事なんだけどそれが何だか悔しくてね、俺を信用してくれてるのは嬉しいけど小田原君の事で相談されるのがキツくなって。
  その時初めて気付いたよ、俺別のところに気持ちが行ってる輝に嫉妬してるって。んで月曜日に会ったら元気無くて、話聞いてみたら小田原君にキスした事後悔してるって言い出して……それっきり学校休んでる状態なんだ」
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