どら焼は恋をつなぐ

谷内 朋

文字の大きさ
107 / 145
やっとこさ本編

……体調は最悪だけど

しおりを挟む
 結局お父さんは仕事を休み、お姉ちゃんも家に居てくれて心細さからは解放されました。その上お姉ちゃんの恋人田ノ上爽輔タノウエソウソケさんもお見舞い……と言うか本当はデートのお迎えだったのですが、予定を変更して自宅デートにした様です。彼は両親とも仲良しだし、僕たちお子ちゃま三兄弟にも親切に接してくれます。お姉ちゃんは恋人が出来る度に自宅に連れてくるのですが、やっぱり僕は爽輔さんが一番素敵な方だと思います。両家公認のお付き合でご家族も皆良い方ばかりだし、将来も視野に入れてるっぽくて最近賃貸マンションを探してるみたいなんです。
 僕は引き続きベッドに横になってケータイをいじってます。伽月君から届いたバースデーメール、このスタンプカワイイなぁ♡なんて思いながらニヤニヤしてしまいます。
 
 ……昨日は一日忙しかったなぁ……朝から輝君とほぼ半日遊園地デートして、一旦帰宅したけど本当の気持ちに気付いたら居ても立ってもいられなくて伽月君の家に行っちゃったんだよね。んで結局彼の方から『好き』って言われて……//これだけ怒涛な一日だったんだから疲れて熱を出しちゃう事もあるよね(えっ?無い?)?それに帰ってから勇にあれこれ根掘り葉掘り聞かれちゃって、珍しくお母さんに国際電話で報告まで始める始末で、『帰ったらお赤飯炊きましょ♪』って嬉しそうに……ってお祝い扱い?
 
 そうだ、伽月君にメールのお礼と…学校休んでる事も一応伝えて……っと、するとほぼ即レスで【俺の風邪移したかも!】と言う返信。多分違うと思うよ、だって喉も鼻も正常だもん。そっか、伽月君も知ってるもんね、僕が人の病気を貰いやすい事。それで気に掛けてくれてるんだと思います。
 【伽月君のせいじゃないから気に病まないで】
 余計な心配掛けちゃったみたいだからここは即レスします。
 【ゆっくり休めよ、俺の方はもう大丈夫だから】
 【ありがとう、そうする】
 伽月君の即レスにほっこりした気分になって僕は返信だけしてケータイを置きました。それからケータイに動きは無く、いつの間にかぐっすりと眠りに付いたのでした。

 たっぷり眠って目を覚ますと午後の雰囲気に変わっていました。時計で時間を確認すると十五時十五分……あっ!ミルク粥食べ損ねた!僕は慌てて飛び起き(られてなかったけど)一階に降ります。朝よりも体調も良くなって階段も何とか降りられました。
 「よく眠れたみたいだね」
 「……ごめんなさい、起きられなくて」
 「体調が悪い時は睡眠が最優先、謝る事無いよ。今からでも作ろうか?」
 うん。と頷くとお父さんは体温計を手渡してきました。
 「待ってる間に体温測って、今朝は八度八分あったって勇が言ってたよ」
 「えっ!!?ウソッ!!?」
 そんな事態になってたんだ……そりゃあ倒れるはずです。
 「それで『今日学校休む!』って言い出すもんだからこれはお父さんが家に居た方が良さそうだなぁ、で今に至る」
 学校休むって……部活動大事な時なのにそれダメでしょ?僕の学年の不祥事のせいで今の三年生にとっては最初で最後の公式戦なんだし、折角県大会の切符を手にしてる訳だから僕の一時の高熱くらいで……ねぇ。
 「今日はクラブ活動だけだから早く帰ってくるって言ってたよ」
 そうなの?と言っているとただいまぁと玄関から聞こえてきました、この声は晋です。
 「お帰り、隼人君もいらっしゃい」
 「こんにちは、まこちゃんの誕生日今日ですよね?土曜日のパーティーに参加出来ないからプレゼント渡したくてうかがいました」
 「わざわざありがとう、誠は今こんな状態なんだけど」
 晋と隼人君を連れてきたお父さんは僕のパジャマ姿を見て言います。……あっ、ちょっと油断しすぎたかな?なんて考えをよそに隼人君かなり僕を心配そうに見つめています。
 「まこちゃん、体ツラくない?」
 「まだちょっと辛いけど、朝よりは楽になったよ」
 優しい言葉を掛けてくれる彼に僕は笑顔を返します。
 「でもあんまり顔色良くないね、こんな時にアレだけどお誕生日おめでとう//」
 隼人君はそう言って紙袋を手渡してきました。比較的平べったくて重さはそれなりにある……何かな?
 「開けてもいい?」
 うん♪と嬉しそうに頷く隼人君、相当気合を入れて選んでくれたみたいです。僕は中身を取り出してなるべく丁寧にラッピングをほどきます。中には本が……飛び出す絵本じゃない!しかも結構高いんだよこの本!小学生のお小遣いで買うのなかなか大変だったと思う、しかも大型書店でないと無い本なのに……それだけにめちゃくちゃ嬉しいっ!!!
 「ありがとう……なかなか見付からなかったでしょ、この本」
 「うん……でもまこちゃんに喜んで欲しかったんだ//今年はお父さんとお母さんも協力してくれたから、ムカエ家からのプレゼントだよ」
 おじさんとおばさんまで……僕自身欲しかった物の一つだし、可愛い息子のために色んな書店で探し回ってくれたんだろうなと思うと何だかとっても感動します。
 「僕がこの本欲しいってよく分かったね。ありがとう、大切にする」
 「うん//早く元気になってね」
 隼人君は可愛い笑顔を見せてから晋と二階に上がっていきました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

はじまりの朝

さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。 ある出来事をきっかけに離れてしまう。 中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。 これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。 ✳『番外編〜はじまりの裏側で』  『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。

学校一のイケメンとひとつ屋根の下

おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった! 学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……? キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子 立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。 全年齢

イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話

タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。 瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。 笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

処理中です...