120 / 145
やっとこさ本編
バースデーパーティー……
しおりを挟む
この日がついに来たよ、俺は波那ちゃんと兄さんと一緒に小田原邸にお邪魔する。もちろんプレゼントを抱えて……って大袈裟じゃないぞ、見た目も含めかなりデカイ代物だからな。
どんな安物でも五桁の代物なので、話し合いの結果全員からのプレゼントと言うところに収まった。誠にとっては高頻度に使うであろう物だし、それなら兄貴も含めた四人からにしてランクを上げた方が良いと言う波那ちゃんの意見を採用して決めたんだ。
「こんばんは、お招きありがとうございます」
「いらっしゃい、準備できてるからな上がって」
出迎えてくれたおじさんは俺たちを客間に案内した。既に小田原家の面々も揃っていて、料理の方も準備万端だ。う~腹減ってきたわ。
「んじゃ今回も席決めね」
「またぁ!?」
勇の一声に晋は不満の声を上げてるがあっさり却下、それにしても勇の奴何で毎回席決めなんかするんだ?
「最上座は兄ちゃん、今日の主役だからね」
勇は有無を言わせず誠を誕生日席に座らせる。
「上座側は伽月君、波那ちゃん、星哉君の順で座ってね」
俺たちは言われた通り上座に移動、毎回なんだが俺の隣には常に誠がいる。まぁそれに対してどうこう思った事は一度も無いが。
「んじゃ下座側はお父さん、お母さん、姉ちゃんの順ね。晋は星哉君か姉ちゃんの隣、どっちでも良いよ」
「僕まこ兄ちゃんの隣が良い!」
晋が珍しく反旗を翻す。この展開前にも一度あったなぁ。
「何でそうなるんだよ?お父さんより上座っておかしいだろ」
「それならまこ兄ちゃんの隣は波那ちゃんだよね?」
「伽月君は兄ちゃんの彼氏なんだから隣に座るのは当然だろ?」
んーこりゃ完全にあん時のデジャブだわ、晋が五歳くらいん時に俺の隣に座りたがって大泣きしたのを思い出す。
「今それ言う?五年前からずっとじゃん」
今回は譲らねぇなぁ晋……ここは折れた方が良さそうだぞ勇。
「夏海、綾、席一つずつずれて。晋、おいで」
結局喧嘩になる前におじさんたちが席をずらして晋の願いが叶えられる。確か前回も誠が席を譲って晋は俺の隣に座ったんだった、んで勇が誠に向かいの席を譲って……あれ?これひょっとしてひょっとするのか?
「また末っ子の特権使いやがった……」
「フォーマルな場でもないのに何で席決めなんかするの?」
晋はしれっとして誠の隣に座る。最近はなりを潜めてるけど晋も何だかんだで超が付くほどのお兄ちゃん子だ。勇はマジで溺愛レベル、とは言ってもベタベタするのとはまた違うんだが。
「そんなワガママ本来通用しないんだからな」
「だから家ん中で行使してバランス取ってんの」
あ~あ、兄弟喧嘩が始まっちまった。この二人歳も三つしか離れてないからこの手の喧嘩はしょっちゅうだけど、俺は兄さんで十六、兄貴とも八つ離れてるから兄弟喧嘩なんてした記憶が無い。でもこうやって本音をぶつけ合えて、ちょっとの時間で仲直りしちまうこの二人の関係性は正直羨ましく思う事もある。
「もうそれ位にしない?折角のお料理が冷めちゃうよ」
ここで誠が仲裁に入る。これもいつもの展開、二人共誠の言う事は案外素直に聞く。一見頼んねぇ風に見えるけど誠はしっかりお兄ちゃんしてるんだよ。
「夏海さん、冷蔵庫お借りしてもいい?」
兄弟喧嘩が収まったところで波那ちゃんが手にしている箱を掲げてみせると、おばさんはそれを受け取って客間から出て行った。俺は中身を知ってるからワクワクしてる、あ~早く食いたい♪もう食欲も二人分に戻ってるから現時点でかなり腹ペコだ。
それから少ししておばさんが茶色の物を持って……さっき波那ちゃんが渡してた箱の中身だ、その上に軽くバースデー仕様にデコレイトして既にろうそくにも火が灯ってる。
「晋、電気消してくれる?」
おばさんの一声に晋は電気を消しに行く。誠は満面の笑顔で目の前に置かれてる……波那ちゃん特製“特大どら焼(バースデー仕様)”を見つめてる。誠の瞳がろうそくの火に照らされてキラキラと輝いてる。俺はこの笑顔が大好きだ、絶対に失わせないと密かに心に誓った事は内緒にしておく。こういうのは言葉にすると一気に安っぽくなる、しかも『俺がお前を守る』とか言ってる奴に限って恋に恋して相手の事を思いやってないのがほとんどだ。
中坊に毛が生えた程度の俺が言えるこっちゃないけど、恋愛は相手が居てこそ成立するものだから自分の思いだけを恩着せがましく押し付けるのは違うと思うんだ。これまで付き合ってきた女の子に対してろくに考えてこなかったのが申し訳無いくらいだよ、それどころか受け身過ぎてただただ流されてたとも言えるんだけどさ(なぎさに対してはそんな事無かったと言い訳させてくれ)。こんな事考えてたら恋愛が難しく感じてきた、取り敢えず誠の十六歳を祝おうではないか。
どんな安物でも五桁の代物なので、話し合いの結果全員からのプレゼントと言うところに収まった。誠にとっては高頻度に使うであろう物だし、それなら兄貴も含めた四人からにしてランクを上げた方が良いと言う波那ちゃんの意見を採用して決めたんだ。
「こんばんは、お招きありがとうございます」
「いらっしゃい、準備できてるからな上がって」
出迎えてくれたおじさんは俺たちを客間に案内した。既に小田原家の面々も揃っていて、料理の方も準備万端だ。う~腹減ってきたわ。
「んじゃ今回も席決めね」
「またぁ!?」
勇の一声に晋は不満の声を上げてるがあっさり却下、それにしても勇の奴何で毎回席決めなんかするんだ?
「最上座は兄ちゃん、今日の主役だからね」
勇は有無を言わせず誠を誕生日席に座らせる。
「上座側は伽月君、波那ちゃん、星哉君の順で座ってね」
俺たちは言われた通り上座に移動、毎回なんだが俺の隣には常に誠がいる。まぁそれに対してどうこう思った事は一度も無いが。
「んじゃ下座側はお父さん、お母さん、姉ちゃんの順ね。晋は星哉君か姉ちゃんの隣、どっちでも良いよ」
「僕まこ兄ちゃんの隣が良い!」
晋が珍しく反旗を翻す。この展開前にも一度あったなぁ。
「何でそうなるんだよ?お父さんより上座っておかしいだろ」
「それならまこ兄ちゃんの隣は波那ちゃんだよね?」
「伽月君は兄ちゃんの彼氏なんだから隣に座るのは当然だろ?」
んーこりゃ完全にあん時のデジャブだわ、晋が五歳くらいん時に俺の隣に座りたがって大泣きしたのを思い出す。
「今それ言う?五年前からずっとじゃん」
今回は譲らねぇなぁ晋……ここは折れた方が良さそうだぞ勇。
「夏海、綾、席一つずつずれて。晋、おいで」
結局喧嘩になる前におじさんたちが席をずらして晋の願いが叶えられる。確か前回も誠が席を譲って晋は俺の隣に座ったんだった、んで勇が誠に向かいの席を譲って……あれ?これひょっとしてひょっとするのか?
「また末っ子の特権使いやがった……」
「フォーマルな場でもないのに何で席決めなんかするの?」
晋はしれっとして誠の隣に座る。最近はなりを潜めてるけど晋も何だかんだで超が付くほどのお兄ちゃん子だ。勇はマジで溺愛レベル、とは言ってもベタベタするのとはまた違うんだが。
「そんなワガママ本来通用しないんだからな」
「だから家ん中で行使してバランス取ってんの」
あ~あ、兄弟喧嘩が始まっちまった。この二人歳も三つしか離れてないからこの手の喧嘩はしょっちゅうだけど、俺は兄さんで十六、兄貴とも八つ離れてるから兄弟喧嘩なんてした記憶が無い。でもこうやって本音をぶつけ合えて、ちょっとの時間で仲直りしちまうこの二人の関係性は正直羨ましく思う事もある。
「もうそれ位にしない?折角のお料理が冷めちゃうよ」
ここで誠が仲裁に入る。これもいつもの展開、二人共誠の言う事は案外素直に聞く。一見頼んねぇ風に見えるけど誠はしっかりお兄ちゃんしてるんだよ。
「夏海さん、冷蔵庫お借りしてもいい?」
兄弟喧嘩が収まったところで波那ちゃんが手にしている箱を掲げてみせると、おばさんはそれを受け取って客間から出て行った。俺は中身を知ってるからワクワクしてる、あ~早く食いたい♪もう食欲も二人分に戻ってるから現時点でかなり腹ペコだ。
それから少ししておばさんが茶色の物を持って……さっき波那ちゃんが渡してた箱の中身だ、その上に軽くバースデー仕様にデコレイトして既にろうそくにも火が灯ってる。
「晋、電気消してくれる?」
おばさんの一声に晋は電気を消しに行く。誠は満面の笑顔で目の前に置かれてる……波那ちゃん特製“特大どら焼(バースデー仕様)”を見つめてる。誠の瞳がろうそくの火に照らされてキラキラと輝いてる。俺はこの笑顔が大好きだ、絶対に失わせないと密かに心に誓った事は内緒にしておく。こういうのは言葉にすると一気に安っぽくなる、しかも『俺がお前を守る』とか言ってる奴に限って恋に恋して相手の事を思いやってないのがほとんどだ。
中坊に毛が生えた程度の俺が言えるこっちゃないけど、恋愛は相手が居てこそ成立するものだから自分の思いだけを恩着せがましく押し付けるのは違うと思うんだ。これまで付き合ってきた女の子に対してろくに考えてこなかったのが申し訳無いくらいだよ、それどころか受け身過ぎてただただ流されてたとも言えるんだけどさ(なぎさに対してはそんな事無かったと言い訳させてくれ)。こんな事考えてたら恋愛が難しく感じてきた、取り敢えず誠の十六歳を祝おうではないか。
0
あなたにおすすめの小説
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
はじまりの朝
さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。
ある出来事をきっかけに離れてしまう。
中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。
これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。
✳『番外編〜はじまりの裏側で』
『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。
学校一のイケメンとひとつ屋根の下
おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった!
学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……?
キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子
立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。
全年齢
イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話
タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。
瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。
笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる