どら焼は恋をつなぐ

谷内 朋

文字の大きさ
135 / 145
懲りずに続編

……楽しい楽しい体験教室?

しおりを挟む
 同じ頃、僕は青蓮君と生菓子作りの体験教室にいました。ここもガラ空きで、基本は予約制なのですがあまりにも暇だからと中に入れてくれました。
 「今日は雨宿りの方も来やしない」
 指導員の女性は外を見ながら苦笑いしてらしてました。風まで吹いてきてもう台風レベルのお天気になっちゃってるもんね。今先生の指導の元和菓子を作っててめちゃくちゃ楽しいです、たまには雨もいいね♪
 「それにしても上手だねぇお嬢ちゃん・・・・・
 えっ?僕男です(泣)確かに僕百五十二センチしかないけど……。
 「あれ?まこちゃんおじょうちゃんなのぉ?」
 青蓮君は不思議そうに僕を見上げてきます。
 「うっ……ううん」
 「えっ!?男の子なの!?」
 せ、先生驚きすぎです。そして他の方もそんなにガン見しないでください……。
 「あらぁ~、うちの娘より美少女よ」
 「お肌ぷるぷるだし、髪の毛もふわふわでちょっと赤くて可愛い~。僕何年生?」
 いつの間にか僕の周りには奥様方が集まってきてペタペタと触ってきます。高一です……そう言いたかったのですがこういう時の女性の集団って恐いよぉ……と思っていたらお父さんが教室内に入ってきました。
 「すみません、息子がお世話になってます……ハハハ」
 お父さんは奥様方に囲まれている僕を見て苦笑いしていました。お父さんにもこの集団には勝てなさそうです……僕無事に帰れるんでしょうか?
 「あらお父様ですか?良いですわねぇこんな可愛いお子様がいらして」
 「か、可愛い……ですか。高校一年生の男の子なんですが」
 お父さんの言葉に奥様方が一瞬固まってから……。

 「「「「「えええぇぇーーーっ!!!」」」」」

 と物凄く驚かれて僕の事をガン見してくる奥様方。ご、ごめんなさい、言うのが遅かったです……。
 「男子高校生ってもっとムサイわよね」
 「ウチの息子もうギトギトよ」
 「どうしても脂ぎる年頃だからねぇ」
 ……あの、ご自身の息子さんをボロカス言わないであげてください。多分僕の方がおかしいんだと思います。
 「ひょっとして君ジェンダーなの?」
 その中で一番若そうな女性がそう聞いてきます。そこ意識した事無かったなぁ、男に違和感を覚えた事は無いですから。
 「いえ、そのつもりは無いのですが……クラスメイトが全員女の子なので身嗜みは多少気にすると言いますか……」
 「ん~、にしても可愛いわぁ~。折角だから見本の浴衣持ってくるわ」
 浴衣?そんなのあったっけ?
 「夏祭りシーズンでしょう?出張着付教室もやってるのよ」
 へぇ、そんなのがあるんだね……って誰が着るの?
 「ねぇメイクした方が良いわよね?何某さん呼んでこようか」
 奥様方はテキパキと準備を始めています。スゴい、デキるこの方たち。
 「ちょっとここでバタバタすんじゃないわよ、食材あるんだから……あら、そっちの僕もなかなかの力作ね」
 先生はこの騒ぎの中で黙々と創作活動をしていた青蓮君に話し掛けています。僕が揉みくちゃにされてる中でもちゃんと青蓮君を気にかけてらしたもんなぁ……女性の視野の広さって凄すぎる。
 「うん!ガ○○○○だよ!」
 あの人気キャラクターを生菓子で作るとは……お子ちゃまの発想力は無限です。
 「上手に出来てるね、食べるの勿体無いくらい。後でお写真撮らせてくれるかな?」
 うん良いよ!青蓮君は嬉しそうに返事をして最後の仕上げに取り掛かっています。はっ、僕も作り上げないと!
 「じゃあ君も仕上げに入ろうね、この後忙しくなるから」
 へっ?僕忙しくなるの?それ言われちゃうとこの喧騒嫌な予感しかしないんですが……。
 「きっと可愛くなるわよぉ、着付けが終わったらお菓子と一緒にお写真撮りましょうね♪」
 ……やっぱり。

 「ううぅ……(泣)」
 和菓子創作を終えて浴衣姿にさせられてしまった僕は奥様方に写真を取られまくっています。
 「はぁ~やっぱり可愛いわぁ」
 喜んでくださって何よりです?僕は男として何かを失っていってる様な気がします……しくしく。
 「ちょっと館内歩いてみましょうよ」
 「良いわねぇ、宣伝になるわ」
 「なりませんから!どうかご勘弁を~!」
 僕は必死に首を振って抵抗しましたが、それも虚しく奥様方の恰好の餌食状態でございます。お父さんももはや助けてくれません、それどころか一緒になって写メを撮り、お母さんに送ったみたいです。
 「夏海の反応も上々だよ。今頃綾が張り切って浴衣買いに行ってるんじゃないかな?」
 ……これで僕の夏祭りスタイルは確定したようです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

はじまりの朝

さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。 ある出来事をきっかけに離れてしまう。 中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。 これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。 ✳『番外編〜はじまりの裏側で』  『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。

学校一のイケメンとひとつ屋根の下

おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった! 学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……? キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子 立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。 全年齢

イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話

タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。 瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。 笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

処理中です...