5 / 39
第一話
死に別れた大切な人との再会を願う魂 -1-
しおりを挟む
チリン……
酒場らしき店内の奥にひっそりとぶら下がっている鳥型のベルが、無風状態にも関わらず小さく揺れた。
「今日もお仕事みたいだよ♪」
本日も新たな客がやって来た様だ。この中に居る一番小さな女の子がいち早く出迎えに行く。
「いらっしゃいませ♪ビアホール【境界線】ヘようこそ♪」
女の子は早速猫人類の老婆に声を掛けたが、言葉が通じていないのかキョトンとした表情をしている。
「おっと間違えた♪」〈ビアホール【境界線】ヘヨウコソ♪〉
女の子はにっこりと微笑んで彼女が使っている言語に切り替えた。
〈……コノ地図二描イテアル場所ノ事カイ?〉
女性は手にしている紙を見せてくる。
〈ハイ♪本日ノゴ来店アリガトウゴザイマス♪ゴ案内ハ私“クー”ガ務メサセテ頂キマス♪〉
〈ゴ丁寧ニアリガトウネ、オ嬢チャン〉
〈『オ嬢チャン』デハナイケド……マァ良イヤ♪行キマショウ♪〉
二人が手を繋ぐと店の前まで一瞬で到着した。突然景色が変わって女性は辺りをキョロキョロとしている。
〈……絵本デ見タ死後ノ【道先案内所】ダネェ〉
〈ヨクゴ存知デ♪アナタノ国デハ割ト正確ニ伝ワッテル様デスカラネ♪ササッ、入リマショウ♪〉
クーがドアの前に立つとギギギ、と音を立てて自動で開く。二人で中に入ると、水の入ったグラスを乗せているトレーを持って立っている少年が、イラッシャイマセと声を掛けてきた。
「お客様、先ずはこちらをお飲みください」
〈???〉
〈コレハオ水デス♪飲ンデミテクダサイ♪〉
女性は戸惑いながらも言われるまま水を飲む。
「いかがですか?」
「普通のお冷やの様だけど……あらっ?」
少年と普通に会話が出来ている事に気付いた女性は手にしているグラスを驚いた表情で見つめている。
「お解り頂けましたか?これを飲めば世界中全ての言語を使えるようになるんです。僕たちだけなら言語の対応は問題ありませんが、お客様同士の交流も多いので入店時にお出ししているんです」
「とてもありがたいサービスですね」
「光栄なお言葉です、ここで出されるメニューは全て無料でご提供させて頂きます。ごゆっくり、心ゆくまでお楽しみくださいませ」
「では、お席へご案内致します♪」
クーは女性の手を引いて店内一番奥のテーブル席に案内した。
「良いのかしら?四人席を一人で使っても」
「勿論です♪あなたは【資格】を持ってここに来たのですから♪その地図は入店権利書みたいな物ですよ♪では、ここの従業員をさくっと紹介しますね♪
先ずは褐色肌の大男が店長のゾン♪
さっき水を出したのがメルクリウス♪
そこで女性客とチャラついてるのがマルス♪
そっちのおっさん客の相手してるのがジョーヴェ♪
懐中時計持ってる爺さんがクロノス♪
テーブル拭いてるのがプルートー♪
クネクネして酒運んでるのがネプテューヌ♪
几帳面に皿拭いてるのがウラーノ♪
厨房でフライパン振ってるのがヴィニエーラ♪
そして改めまして私がクー♪
以上がここの従業員です♪」
新たに九人もの名前を一気に言われてもすぐには覚えられそうになくて、女性の頭はクラクラしてくる。それにしても随分とまとまりの無いグループだなという印象を持った彼女は、クーにどのようにして集ったのかを訊ねてみた。
「……何となく、ですかね♪」
女性はその返答に苦笑いする事しか出来なかった。
酒場らしき店内の奥にひっそりとぶら下がっている鳥型のベルが、無風状態にも関わらず小さく揺れた。
「今日もお仕事みたいだよ♪」
本日も新たな客がやって来た様だ。この中に居る一番小さな女の子がいち早く出迎えに行く。
「いらっしゃいませ♪ビアホール【境界線】ヘようこそ♪」
女の子は早速猫人類の老婆に声を掛けたが、言葉が通じていないのかキョトンとした表情をしている。
「おっと間違えた♪」〈ビアホール【境界線】ヘヨウコソ♪〉
女の子はにっこりと微笑んで彼女が使っている言語に切り替えた。
〈……コノ地図二描イテアル場所ノ事カイ?〉
女性は手にしている紙を見せてくる。
〈ハイ♪本日ノゴ来店アリガトウゴザイマス♪ゴ案内ハ私“クー”ガ務メサセテ頂キマス♪〉
〈ゴ丁寧ニアリガトウネ、オ嬢チャン〉
〈『オ嬢チャン』デハナイケド……マァ良イヤ♪行キマショウ♪〉
二人が手を繋ぐと店の前まで一瞬で到着した。突然景色が変わって女性は辺りをキョロキョロとしている。
〈……絵本デ見タ死後ノ【道先案内所】ダネェ〉
〈ヨクゴ存知デ♪アナタノ国デハ割ト正確ニ伝ワッテル様デスカラネ♪ササッ、入リマショウ♪〉
クーがドアの前に立つとギギギ、と音を立てて自動で開く。二人で中に入ると、水の入ったグラスを乗せているトレーを持って立っている少年が、イラッシャイマセと声を掛けてきた。
「お客様、先ずはこちらをお飲みください」
〈???〉
〈コレハオ水デス♪飲ンデミテクダサイ♪〉
女性は戸惑いながらも言われるまま水を飲む。
「いかがですか?」
「普通のお冷やの様だけど……あらっ?」
少年と普通に会話が出来ている事に気付いた女性は手にしているグラスを驚いた表情で見つめている。
「お解り頂けましたか?これを飲めば世界中全ての言語を使えるようになるんです。僕たちだけなら言語の対応は問題ありませんが、お客様同士の交流も多いので入店時にお出ししているんです」
「とてもありがたいサービスですね」
「光栄なお言葉です、ここで出されるメニューは全て無料でご提供させて頂きます。ごゆっくり、心ゆくまでお楽しみくださいませ」
「では、お席へご案内致します♪」
クーは女性の手を引いて店内一番奥のテーブル席に案内した。
「良いのかしら?四人席を一人で使っても」
「勿論です♪あなたは【資格】を持ってここに来たのですから♪その地図は入店権利書みたいな物ですよ♪では、ここの従業員をさくっと紹介しますね♪
先ずは褐色肌の大男が店長のゾン♪
さっき水を出したのがメルクリウス♪
そこで女性客とチャラついてるのがマルス♪
そっちのおっさん客の相手してるのがジョーヴェ♪
懐中時計持ってる爺さんがクロノス♪
テーブル拭いてるのがプルートー♪
クネクネして酒運んでるのがネプテューヌ♪
几帳面に皿拭いてるのがウラーノ♪
厨房でフライパン振ってるのがヴィニエーラ♪
そして改めまして私がクー♪
以上がここの従業員です♪」
新たに九人もの名前を一気に言われてもすぐには覚えられそうになくて、女性の頭はクラクラしてくる。それにしても随分とまとまりの無いグループだなという印象を持った彼女は、クーにどのようにして集ったのかを訊ねてみた。
「……何となく、ですかね♪」
女性はその返答に苦笑いする事しか出来なかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる